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投資用マンションでインフレに対抗できるか

2010年12月20日 23時17分26秒 | お仕事・学び
この連載の目次

(前回から続く)

前回は、1000万円で購入した中古ワンルームマンションが10年後に700万円になると想定して、その場合の減価がどの程度の物価上昇率に相当するかを計算しました。計算の結果、年3.6%で物価が上昇する場合の貨幣価値の下落に相当することが分かりました。

また、築8年の中古ワンルームマンションを1400万円で購入して45年間保有し続け、最後に土地の持ち分250万円が残った場合の減価は、年3.9%の物価上昇に相当しました。

いくつか他の物件についても計算してみると分かりますが、中古ワンルームマンションの減価は、緩やかな物価上昇による貨幣価値の下落に比較的近いようです。

ここから、もうひとつ面白い結論を得ることができます。
マンション投資の元本は、緩やかなインフレに対抗できない。


投資先が純粋に土地だけであり、その土地を貸し付けることで地代を得ようとする場合は、投資元本が目減りすることはありません。土地は減価しませんし、物価が上昇すれば地価も上昇するので、土地はインフレに負けません。もちろん、インフレの進行が緩やかであろうと急激であろうと、土地はインフレに対抗できます。

しかし、建物にも投資する場合は事情が違います。

建物は減価します。マンション (土地の持ち分と建物の総体としてのマンション) の減価は緩やかなインフレ (年率2~3%) よりやや早く進行しますから、インフレが緩やかに進行する状況では、マンションの資産価値は減少し続けます。

つまり、マンションに投資した元本は緩やかなインフレに対抗できません。鉄筋コンクリート製のマンションでさえそうなのですから、木造アパートの場合はなおさらです。ただし、家賃は物価に連動して上昇しますから、家賃収入は緩やかなインフレにも対抗できます。

言い換えると、インフレ耐性があるのはフロー (家賃収入) の部分であり、ストック (マンション自体) は緩やかなインフレに無力である、ということです。

ではマンションがインフレにまったく無力かというと、そうではありません。

あくまで「緩やかな」インフレに対抗できないだけであって、マンションであっても急激なインフレには十分に対抗できます。年率10%ものインフレが進行する場合は、貨幣価値の下落ペースがマンションの減価ペースを大きく上回るので、マンションが減価しても十分にインフレに対抗できます。

表4: ワンルームマンション投資におけるインフレ耐性






項目マンション家賃収入
デフレ××
ごく緩やかなインフレ
(年3%以下)
×
比較的緩やかなインフレ
(年3~5%)
中程度以上のインフレ
(年5%以上)

注: インフレ率の数値は目安です。条件は物件によって異なります。

よく不動産投資の本に「不動産にはインフレ耐性がある」と書いてありますが、うのみにするのは危険です。

繰り返しますが、
マンションは緩やかなインフレに対抗できない

のです。マンションでインフレに対抗するためには、インフレが比較的高率 (年5~10%以上) であるか、購入資金を低金利で借り入れてレバレッジを利かせるなどの条件が必要です。

(連載終わり)