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投資用マンションの減価をどうとらえるか・4 (減価とインフレ)

2010年12月19日 22時20分53秒 | お仕事・学び
この連載の目次

(前回から続く)

例として、1000万円の中古ワンルームマンションを購入したとします。近所には10年前にも似た間取りのマンションが建てられており、そのマンションが現在700万円で取り引きされているとします。この場合、購入した1000万円のマンションは10年後に700万円になると予想できます。

仮に当初の1000万円を現金で持ち続けた場合は、物価の上昇に応じてその1000万円の価値が下落していきます。現金で持たずに預金や債券で運用した場合も同じです。物価が毎年2%上昇すると、10年後には820万円相当になります。物価上昇率が年3%の場合は、10年後に744万円相当になります。10年後のマンションの価格が700万円ですから、このマンションは、年率3%の物価上昇と似た減価をすることが分かります。

では、10年間でのこのマンションの減価はどの程度の物価上昇率に相当するのでしょうか。

購入価格Pの物件がn年後に価格P'に減価するとします。n年間の物価上昇率がrで一定であるとすると、以下の式が成立します。
P/(1+r)n = P'

これより、
r = (P/P')1/n - 1

P=1000、P'=700、n=10を代入すると、
r = (1000/700)1/10 - 1 ≒ 0.0363

年率にして約3.6%の物価上昇に相当することが分かります。

ここから、このマンションの減価はここ15年ほどの先進各国の物価上昇率に近い値での減価であり、決して理不尽な減価ではないことが分かります。建物が老朽化するからといって気に病む必要はなさそうです。

逆に、年率3.6%で物価が上昇すれば、この物件の価値は10年後も (10年後の貨幣価値で) 1000万円であると言えます (地価の変動は考慮していません)。

いくつかのケースを想定して計算してみましょう。

(例1)
1200万円で購入した中古ワンルームマンションが20年後に500万円に減価する場合は (P=1200、P'=500、n=20)、
r = (1200/500)1/20 - 1 ≒ 0.0447

おおよそ年4.5%の物価上昇に相当します。

(例2)
築8年の中古ワンルームマンションを1400万円で購入したとします。このマンションの土地の持ち分は250万円とします。このマンションがあと45年稼動して寿命を迎えるとすると、どの程度の減価と考えられるでしょうか。寿命を迎えたときに建物の価値が0になり、物件の価値として土地の価値だけが残ると考えると、P=1400、P'=250、n=45ですから、
r = (1400/250)1/45 - 1 ≒ 0.0390

おおよそ年3.9%の物価上昇に相当します。

逆の見方をすると、年率3.9%で物価が上昇すれば、この物件は45年後も1400万円と評価されます (ただし、地価の変動は考慮していません)。

(例3)
新築のワンルームマンションを2500万円で購入したとします。土地の持ち分は300万円とします。このマンションがあと50年稼動して寿命を迎えるとすると、P=2500、P'=300、n=50ですから、
r = (2500/300)1/50 - 1 ≒ 0.0433

年4.3%の物価上昇に相当します。

いろいろな値を代入して計算してみると面白いですよ。

(次回に続く)