海鮮丼が500円だよ、と友達に誘われて、一緒に食べに行くことにしました。
お寿司や海鮮丼は大好きです。特に、旅行先では頼りになるメニューです。旅先で頼れるのは自分の体だけです。食べないと体力が落ちてしまうので、旅先ではしっかり食べるように心がけています。お寿司や海鮮丼はさっぱりした口当たりで食べやすいので、旅先では何度も助けてもらっています。
その海鮮丼をいただきに、わざわざ仕事を休んで、のこのこと出て来ました。
お店に入って席に着くなり、
「海鮮丼ください」
「申し訳ございません。海鮮丼は夜のメニューになっております」
なぁーんですとぉーっ!? それが目当てでこのお店に来たというのにーっ!
お昼のメニューは御膳 (ごぜん) でした。値段は500円。この値段ならいいか。ないものは仕方ないので、御膳で。
でも、煮魚に甘い煮汁がよくしみてて、ご飯にぴったりだったよ。
海鮮丼があきらめきれない私たちは、夜、お店を再訪。意外としつこいです。
お店に入って席に着くなり、店員が一言。
「お昼に続き、夜もお越しくださいまして、ありがとうございます」
私たちがお昼に来たことを店員は覚えていたようです。海鮮丼が夜のメニューとは知らずにお昼に注文したことも覚えているに違いありません。海鮮丼 食べたさにまた来たことは、とっくに悟られているはずです。
片や海鮮丼が注文されるはずと待つ店員、片やメニューを手に取る私たち。
海鮮丼に興味がないフリをすべきか、堂々と注文すべきか。
見栄を張るべきか、実利を取るべきか。
ここで本来の目的を見失ってはいけません。海鮮丼が500円になるという情報は先週の金曜日にキャッチしており、それから実に6日もの間、何日に行くか、待ち合わせの場所はどこにするか、何時に会うかなど、綿密な打ち合わせを重ねてきたのです。この日のために休暇も確保したのです。つまらない意地を張っては、すべてが台無しになってしまいます。頂くものは頂くのです。
「海鮮丼ください」
今度という今度は逃さないからねっ!
確保しました、海鮮丼。霜が降ったトロに、オレンジ色のぷるぷるサーモン。濃い赤だし。あぁ、まさしく海鮮丼。
ツーンと鼻を抜けるわさびに涙をこらえながら、一気に食べてしまいました。
締めにアイス。友達はちょっとグレードを上げて白玉ぜんざいアイス。彼女は、3日間、食べたくて食べたくて頭の中がいっぱいだったという白玉ぜんざいに満面の笑み。