蕎麦彷徨

ひとりの素人が蕎麦について考えてきたことを書きしるすブログ

栽培 (56)

2006-12-11 | 栽培
腐植の過程をもう少し詳しくみていきたい。

土に、落葉であれ何であれ有機物を施せば、まずはシロダニやミミズのような土壌動物が有機物を分解していく。
この細かく砕かれた有機物中の炭水化物やタンパク質などは土壌微生物によって分解・無機化され、作物に吸収される。また、空気中に放出されもする。有機のまま残っものはさらに他の微生物のエサになる。そして今述べた過程が繰り返される。微生物は、有機物をエサとして抱え込んだまま死滅する場合もある。そうすれば、さらに他の微生物がその微生物をエサにする。
とりわけ分解されにくいリグニンやタンニンなどは長い時間の中で少しずつ分解されていくことになる。こうして、「腐植」が進行、完成することとなる。

これは、単純に1つの側面から考えれば、「落葉」のような大きなものが、多くの土壌生物により幾度となく分解を繰り返され極小の粒子となる過程と考えられる。とすると、粘土の小さな粒子と有機物が分解された小さな粒子が別々に存在するのが土というこになる。
実際には、土はそのようになっていない。有機物は分解される過程で粘土と少しずつ結合していっている。土壌生物は、エサとなる有機物と共に、小さな粒子である粘土を区別できず、体内に取り込んでしまう。そして、体内を通過中に「粘液」で両者をくっつけてしまう。これはミミズを考えれば判りやすい。さらに、微生物の中には、粘性のある排出物を出すものもいる。こうして分解されていく有機物はその過程の中で粘土と結合されていくのである。
これが、作物に与えるの養分をたっぷり保持できる「粘土腐植複合体」と呼ばれるものである。