蕎麦彷徨

ひとりの素人が蕎麦について考えてきたことを書きしるすブログ

栽培 (55)

2006-12-07 | 栽培
私は、「現代農業理論」に基づいても、うまいソバはできまいと考えていた。それは誰でも採用している方法と考え、その理論でうまいソバができれば日本中にうまいソバが満ち溢れていると考えたからである。だから、作物栽培法の「王道」とは少し距離がある栽培法、すなわち「微生物農法」や微量要素を重視する農法に共感を覚えてきた。

しかし、武田健氏や東京農大の後藤逸男氏(『農家のための土壌学』)の土壌学の考え方を学ぶと、まずはここを出発点にしなければならないと考えるようになった。なぜならば、土壌学が明らかにしている作物栽培の基礎をまるで知らなかったからである。ただ、これだけで、うまいソバがそう簡単にできるとは考えてはいないが・・・。

「土」とは何か。まず、この根本の問題から考察を進めたい。

それは、小さな粒子の集まりである。その粒子は岩石が風化された無機成分と植物体が分解された腐植と呼ばれる有機成分から構成される。
岩石は、その成分の壊れ易さの違いから、粒子の大きさが異なってくる。このうち小さい粒子は粘土となり、それほど小さくないものは砂となる。砂といっても小さい粒子である。この粘土と砂が様々な割合で混ざったものが土の一方を構成する。そして、死滅した動植物が微生物などにより分解されたものが腐植と呼ばれ、これが土のもう一方を構成する。
これら両者が混然と一体化しているものが「土」である。