都心では35度を記録した猛暑の今日、エトワール・ガラのBプロも観てきた。
今回はプティパ振り付けの純クラが少しあるものの、コンテンポラリー色が強かった。
ガラに「海賊」「ドンキホーテ」がないのは・・・という時代ではなくなったことを嬉しく思う。
前者は前者で好きですけれどね。
★ 以下、チマチマ書いていくよ~(あくまでも主観ですのでご了承くださいませ)。
1) 「眠りの森の美女」 より“青い鳥”のパ・ド・ドゥ
(振付:プティパ 音楽:P.I.チャイコフスキー)
メラニー・ユレル、アレクサンドル・リアブコ
青い鳥の彼、リアブコはよかったです。
ファイイ アッサンブレ は、綺麗な5番で着地。伸びのあるジャンプ。
青い鳥は若くないとキツイといわれるヴァリアシオンで体力を要する。
ブリゼボーレの跳躍はさほど高くは無いものの正確にこなされていた。
でも、ユレルは可愛い系は踊らないで欲しいほどだ。
技術はもの凄く高いんですけど、ガラならではの演目挑戦でしょうか?
Aプロのジュリエットも、頑張ってんだけど可憐に見えなくて辛かったです。
それと、ポワントがしっくりきてないように思えたけど・・・
2) 「モーメンツ・シェアード」
(振付:R.V.ダンツィヒ 音楽:F.ショパン)
エレオノラ・アバニャート、マニュエル・ルグリ/ピアノ:上田晴子
そして、ルグリとアバニャートの演目が死ぬほど退屈でした。
藤色の目が覚めるように美しい衣装
綺麗でリフトも吸い付くように安定してて秀逸なのに、魅力がない。
高度なテクなのにな~・・・なんでだったんだろ?
ショパンのピアノの調べは美しく、それに踊りが付随した感じです。
芸大出身、現在パリ国立高等音楽院室内楽科助教授をされている上田さんのピアノが素敵でした。
3) 「白鳥の湖」 第2幕より
(振付:M.プティパ/L.イワーノフ 音楽:P.I.チャイコフスキー)
スヴェトラーナ・ルンキナ、マチュー・ガニオ
ルンキナの白鳥は素晴らしかったです。まるでお人形さんのように綺麗。
これまた、マチューも美しいので、ふぁ~っと溜息が出るほどの美を堪能!
心地よすぎて、お仕事疲れの私は、まった~りしてしまい危うく寝そうに。
踊る人によっては、いやらしくもなる白鳥なので、このキャストは大満足。
この2人で全幕見たい気持ちになるね。マチュー王子はハマりすぎよん。
4) 「ロミオとジュリエット」 第3幕より“寝室のパ・ド・ドゥ”
(振付:J.ノイマイヤー 音楽:S.プロコフィエフ)
シルヴィア・アッツォーニ、バンジャマン・ペッシュ
ロミジュリ、ペッシュは、ちょいヤバかった(本当のヤバイの意味で)。
だけど、彼女、シルヴィア・アッツォーニは魅了される。
Aプロでも素晴らしい「ベラ・フィギュラ」を見せてくれた!
すっかり「とりこ」になってしまう。
最終的にペッシュが彼女の表現に引っ張られる形で良くなってるよね・・・
昨年の「牧神の午後」のエロエロペッシュの印象が抜けないよ。
彼はエトワールとして決して体型に恵まれているわけじゃない。
今回の踊りを観てて、軸も強くないように思えた。(調子悪かったのか?)
男の色気がムンムンしているところ、実は大好きで、ダメを差し引いても、プラスになる評価だったりする。
---------休憩---------
5) 「カノン Canon in D major」
(振付:J.ブベニチェク 音楽:J.パッヘルベル)
マチュー・ガニオ、アレクサンドル・リアブコ、イリ・ブベニチェク
一部が酷かったので(と言っても辛口なだけ)
二部でやっとカーッと目が開いた。それもブベニチェクのおかげ。
あまりにも有名で耳慣れた曲「カノン」なんだけど、素敵。
しか~しっ!リアブコ、ブベニチェクが凄すぎだよ!
コンテに戸惑いは何も感じない。日常ともいうべきほどに体に馴染んでいる。
だから、マチューのコンテが下手くそで泣けました。手足長いし綺麗なのに惜しい!
バレエの基礎だけで踊れるものではないって実証かな。
3人のユニゾンで踊るところは見せ場だが、2人が上手すぎるので、ハラハラしながらマチューを観た。
床の動きが遅れてしまうのは、手を床につけること自体に躊躇さが見えたり。
動きに柔軟性がかけてたりしてしまうよね、タッパがあるから残念だった。
でも スタイルは抜群ですよね・・・
二人がちんちくりんに見えてしまうぐらいにね(笑)
6) 「瀕死の白鳥」
(振付:M.フォーキン 音楽:C.サンサーンス)
マリ=アニエス・ジロ/ピアノ:上田晴子
ジロが瀕死・・・って、うひゃ~チャレンジャーだぁ
キーロフのマハリナが「ルジマトフのすべて」で 瀕死を踊ったときとかぶった。
なんか元気すぎる気もしてくる。ガラならではのこと!普通ならキャスティングしない。
とても暗く落とした照明、仄暗い中に長い手足の彼女が後ろ向きでパドブレしながら登場。
この瞬間に気持ちは持っていかれる。ジロがパドブレで魅せるってことにやられてしまうのだ。
でも派手な彼女の踊りが好き。どうしても物足りない気持ちが残る。
それでも終わった後の、彼女の背中の汗が半端じゃない!
それをみたら、どうにも感動してしまった。表現者は限りなく挑戦するものだね。
ありがと、やっぱり ジロが好きです!!!
7) 「マーラー 交響曲第5番 アダージェット」
(振付:J.ノイマイヤー 音楽:G.マーラー)
シルヴィア・アッツォーニ、バンジャマン・ペッシュ
シルヴィア・アッツォーニが好きなのと、マーラー「アダージェット」が好き!
アダージェット、色んな人が踊ってる。あらゆる形であらゆる演出で・・・
私の今日のベスト演目。
切ないし、シルヴィアが何ともはかない美しさで魅了される。
でも、ペッシュが負けてるな~ちょいと残念。
あとペッシュは、もう王子は踊れないかも?無理っ。
モダンでもコンテでも、もっともっと極めて踊りきれるようになれーって思う。
それは嫌いじゃないから、そう思うのであって・・・これからも期待してる。
昨年の彼はリフトがボロボロだった。けど、今回の公演でのリフトは安定してたね。
ほ~んとに難しいリフト連続の演目を選ぶかなぁ?って信じられなかった。
が、今夜は小柄なシルヴィアだし、二人の身長差もいい感じ。
(アバニャートだと、でかい気がして振り回される気がする)
この二人のコンビネーションはいい。
8) 「ドリーブ組曲」
(振付:J.マルティネス 音楽:L.ドリーブ)
エレオノラ・アバニャート、マチアス・エイマン
これはアニエスの品の良さには誰も及ばない。
もの凄い技巧パの連続なのに、そうと思わせないぐらいの楚々とした美しさ。
パリオペラ座バレエ団でアニエスに継ぐ品のよさはミリアムだと思ってる。
昨年はミリアムが踊ったけど、少し緊張は否めなかったね。
またミリアムで観たいと思わされた。
でも、だからと言って、アバニャートのコレも嫌いじゃない。むしろ好き。
まるで違うドリーブ組曲だと思える。楽しい!!楽しいと思えたのは彼女のおかげ。
ジョゼ&アニエスだと、ただ舞台の後ろに向かって歩くだけで魅せる。
アバニャートは満面の笑顔でポーズをドンドン決めてくるところが気持ちいい。
マチアスがまた伸び盛り!で、ジョゼを彷彿させる、きっと傾倒してるねー。
伸びやかな手足、ぶれない回転・・・どんどん上手くなる!これからがもっと楽しみ。
コーダの右回転しながら左回りのマネージュ、よく出来るよー。
ジョゼだと、左回転しながら右回りのマネージュだったっけ。
---------休憩---------
9) 「トリオ」
(振付:S.L.シェルカウイ 歌:C.ブランコ)
マリ=アニエス・ジロ、イリ・ブベニチェク、アレクサンドル・リアブコ
最初、タイトル「デュオ」の予定だったが、リアブコが入って「トリオ」に変わった。
ジロは得意とするコンテ、でも彼女のパートの振り付けが今ひとつな気がする。
男性のデュオが素晴らしかった。常にどこかで繋がっている。
大好きな人とずっとどこかで繋がっていたい気持ちを思い起こされる。
上からのスポット照明に照らされる腕の動きがきれい。
二人の肉体が離れてしまっても、今度はそれぞれが床と繋がってる。
スポットからは、一人だけ外れる結末。
あれ?この演目だったっけ・・・
ジロとブベニチェクのパドドゥ、彼女の衣装のスカートが二重構造。
とても上手く使っての演出。この二人の踊りは体のラインの魅せ方が素敵だった。
ラスト全員の踊りのコンタクト、もっとスマートに行かないものか?
ジロの膝にサポーター。最後がいもむしゴ~ロゴロ~☆
私もコンテクラスで時々やった。
たまらなく愉快になるんで是非やってみるといい。
10) 「マノン」 第1幕第2場より“パ・ド・ドゥ”
(振付:K.マクミラン 音楽:J.マスネ)
スヴェトラーナ・ルンキナ、マニュエル・ルグリ
ルグリは文句なし。寝室のパドドゥのルグリは素敵だ。
うんうん、確かに若返ったぞ~って感じ。
この演目でルンキナはルグリに引き寄せられ、表現がとても豊かになった。
でも、このひとはAプロから、クラシック演目ばかりを踊っていた。
この「マノン」でさえ、挑戦してるような感じ。少し純クラから脱して本人も満足そう!
もっともっと幅広いダンスをすることに目覚めてくれたらいいな。
彼女はロシアのダンサーだけど、悪くないや。
今日はBプロ、明日ラストはAプロ
渋谷BUNKAMURAオーチャードホールでの公演が続く。
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私はいつものように末席だったが、余裕があれば1F社交界(笑)で観るのがベスト。
会場には、東バの水香嬢の姿
それと、バレエ知らない人でも、IWGPで顔が知られた西島王子の姿も・・・
褒め殺し王子のレッスンをいまだに受ける機会に恵まれてません
王子・・・いつか、きっと
天に登らせてください