アジア人財事典

アジア人財カンパニー株式会社 井上一幸 がお届けする粋な話題の数々

人材のチカラ!

2008-02-06 | コラム
いつも新聞を何気なく読み流してしまうことが多いのだが、「人材」とか「職」とかいう単語があるとどうしても目がいってしまう。その中でも「おぉーっ!」と感激したのが少し前だが、竹中平蔵教授(前の総務大臣)の「社会が求める人材、必要な4つの力」という慶応大学での講演の要約記事(平成19年11月23日)。ここでその一部を紹介することにします。

竹中教授は『「新しいものを生み出すのは資本ではなく、人間の力である」と考える。そして、この四つの力を身につける教育こそ、未来を切り開く人材の育成につながる。』のだそうだ。その四つの力とは・・・テクノロジー、デザイン、マネジメント、ポリシーである、ってちょっとカタカナ多くてわかりづらいが。

新しいものを生み出すのは資本ではなく、とはこういうこと。かつて国民所得倍増計画で名を知られる池田内閣のブレーンだった下村治氏は、将来を作るのは資本の力だ、と主張したそうだ。実際この理論は当時は正しくて、成長とはどれだけ投資し、資本を蓄積できるかで決まる時代が続いた。1960年前後の日本の高度成長も近年のアジア経済の発展も資本の力で成し遂げられた。

残念なことに経済成長とともに投資比率と資本の生産性が落ち、成長率も下がっていく。これも自明のこと。一般に先進国の成長率より発展途上国のそれの方が大きい。ところが90年代のアメリカはこの理論を覆した。世界で最も成熟しているアメリカ経済の成長力が急速に高まった。それはIT革命(デジタル革命と言っても同じことだと思う)による新しい技術を社会が取り込み、活用できるようになったからだと考えられるのだそうだ。

続いて翌24日の日経新聞の社説でこんなのがあった。「最近の世界経済で目を引くのは、アイルランドやフィンランドなど人口一千万人に満たない元気な小国だ。これらの国はITを軸に独自の産業集積を実現し、世界の中で存在感を獲得した。」えっ、そういう国が目を引いているの?と思うかもしれないが、それは実際にそうで、これらの国の一人当たりGDPを見ると如実に上昇、世界の順位は一桁台で、かつて何の不思議もなく世界トップクラスだった日本はいまや20番台の手前だ。これら北欧の小国はデジタル革命を経て成長力を高めたのだと考えられる。

今起こっているのはデジタル革命なのだそうだ。デジタルと普通に使っていてもどういうことかというと、音声、映像、文字などの情報を数字に置き換える技術のことを言うそうだ。目に見える情報がなんでもデジタル=数字に置き換わって世界中と交信できる、それがデジタル時代だ。

このデジタル革命が90年代のアメリカで起こって、その革命がいま世界中に伝播している最中なのだろう。図らずも私はその時アメリカに住んでいて、会社でも家でも何でもメールだなぁと驚いたものだが、それが革命のはしりだったのだろうか・・・

北欧のアイルランドは硬貨の発行がほとんど無くなってしまったらしい。なぜかというと、クレジットカードや非接触式ICカード(エディやスイカのようなカード)が社会の隅々まで普及しているから。
なるほど、キーワードはIT、IT、IT・・・ 私がよく相談を持ちかけるある会社の社長も、これからはITとアジア、ってよく言ってる。

そういえば最近よく分からない単語が増えてきた。SNSとかセカンドライフとか。まずいな、ついていかないと・・・
これからの時代、成長をリードするのは資本(=お金)じゃない、人材、つまり自分自身の生産性だ。

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