アジア人財事典

アジア人財カンパニー株式会社 井上一幸 がお届けする粋な話題の数々

『勤労の秋』

2009-08-25 | メールニュース
皆さん、おはようございます。㈱グッドジョブクリエーションズです。本日はメールニュース第27号をお届けにあがりました。今年の夏はあまり暑くなく、近頃朝晩はすっかり秋の気配ですね。秋といえば、食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋、そして勤労の秋!?景気も良くなってきたようで、さぁ、働きましょう!というお話です。

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勤労の秋
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「日本経済はバブル経済の崩壊後、ほとんど成長していない」。先日、そういう出だしの新聞コラムがあった。昨今の経済の収縮で統計的にそうなるらしい。きわめて衝撃的である。
確かに、バブルのピークを平成3年=1991年とすると、それ以降昨年度までのGDP成長率は平均して1.0%。今年度(平成21年度)の予想値で計算したら、なんと年平均 0.7%でしかない。これは驚異的に低い!
かつて「失われた10年」という言葉が流行った。数年前には「失われた15年」という表現を聞いたことがある。そしてこのコラムのタイトルは「失われる20年」… 

いったい我々は、この20年間何をしてきたのか。20年前にはインターネットもEメールもカーナビも無い。携帯電話も一般庶民は使っていない。まさに隔世の感である。なにより、今度の総選挙には平成生まれが初めて投票するのだ。一人の人間が成人するまでの間に、その国がほとんど成長していないとは驚くべき、そして恥ずべきことだ。

原因はなんだろう。
「行き過ぎた改革を是正しよう」という主張が、選挙を前に声高に聞こえる。反論を承知で言うが、とんでもない。世界のグローバル化の流れは絶対に変わらない。日本がグローバル社会に組み込まれ続けることも不変である。ついて行けなければ沈むしかない。地方や中小企業が疲弊したと言うが、ついて来られなかっただけのことだ・・・

総理大臣がコロコロ変わる様を見て、リーダー不在を嘆く人がいる。この国にはリーダーがいない、だから経済危機も克服できないのだと言う。これもとんでもない話。リーダーはいる。リーダーを支えようという忠誠心と、リーダーに従おうという自制心が無いだけだ・・・

で、原因は?
逃げるわけではありませんが、ここで簡単に答えられる問題でもなく、ただ先日読んだ本に面白い話があったので紹介します。(*)

それによると、単純明快。成長率が低いのは労働時間が減ったから。80年代後半のバブル真っ盛りの頃、日本人は働きすぎだと言われて、残業を厳しく監視し祝日を増やした。その結果、年間総労働時間は、昭和62年(1987年)の2111時間から平成19年(2007年)の1807時間まで14%も減っている。(**) 無理もない、これでは経済は拡大しない。

この20年間、我々は仕事時間を減らすことばかり考えてきたのだ。
楽をしても儲からない。勤労こそ美徳。働くべし!(***)


(*)『なぜ世界は不況に陥ったのか』日経BP社
(この本では労働時間の減少とともに、労働生産性の伸びの低さが挙げられています。ただ、「私たち一人ひとりの生産効率が悪い」と言っているのではなく、「生産性上昇率の低い業種が、政策によって温存された」と説明されています。)
(**) http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/04/s0428-7b1a.html
(***)「私は今でも残業漬けだ!」という方、ご容赦ください。