アジア人財事典

アジア人財カンパニー株式会社 井上一幸 がお届けする粋な話題の数々

「最近の」若者

2010-12-27 | メールニュース
皆さん、おはようございます。アジア人財カンパニーの井上です。本日はメールニュース第43号をお届けにあがりました。早いもので今年も年の瀬。皆さんにとって平成22年はどんな年だったでしょうか・・・ なんて今の時期、普通に交わされる決まり文句ですね。前号に続いて今月も、決まり文句の一考察です。

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「最近の」若者
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前号で「優秀な」外国人の話を書いたら様々な反響をいただきました。本当にありがとうございます。今回はそれとの対比で、「最近の」若者という決まり文句に対する私の感想を書きたいと思います。

「優秀な留学生」が文字通り良い意味で使われるのに対し、「最近の若者」は否定的なニュアンスを強く持ちます。なかには「最近のバカ者」なんて韻をふんで言う人もいるくらいですから。そして、ここでいう若者は日本人限定で、留学生を指して「最近の若者」とは言わない。だから幅を広げて「最近の日本人」と言うこともあります。

ちなみに私の辞書には次のような例文が載っています。
「最近の若者は挨拶もろくにできない」
「最近の日本人は根性がない」
「最近の若者は、ちょっと怒るとすぐに逃げる」

本当ですかね。私はそうは思いません。
私が新入社員の頃だって「最近の若者は・・・」って説教食らったもんです。そう言った当時の中堅社員だって、新入社員の時はそう言われたいたに違いないんです。そして今、われわれが「最近の若者は・・・」って言っている。だいたい古今東西、若者は悪く言われる存在なんです。ただの決まり文句。
最近こんなことがあってショックでした。ある就活イベントで隣にいた入社3年程度の若手社員が言うんです。
「最近の新卒ってホント根性ないんスよ。自分たちの時は違ったんですけどね~」
寝言かと思いました、一瞬。(3年目の言う台詞か、まったく・・・)
もし、毎年毎年、若者がダメになっていくのなら、この世界はとっくの昔に破滅していると思います。

いつの世もどこの人も考えることは同じ。自分より上の世代を古いと言い、下の世代をおかしいと言う。人間はしょせん、自分が中心なんです。ただ、上の世代に対して「古い」なんて面と向かって言いにくいし、下に向かって「新しい」なんてもっと言えない。だから「最近の若者は・・・」とこぼすんでしょう。
十年一昔という言葉があるように経済も社会も国際情勢も移り変わる。それを反映して世代毎に意識が異なるのは当然だ。しかしその違いをダメだとかおかしいとか言うのは、ただの愚痴に過ぎない。

いいですか! 私が新入社員の頃、上の世代は「ワープロ」をまともに使えなかった。そんな人たちを、「古いなぁ、あの人」と内心笑っていたのと全く同じ思考回路で、あの方々は私を「最近の若者は・・・」と言って説教していたんです。その図式は今でも全く同じ。現代の若者がいとも簡単にやってのけることを、我々はできないかもしれないんですよ。
Mixiやってますか?Facebookは?Twitterは? やっている!というあなた、どれくらい使い込んでますか。携帯のメール、どれだけ早く打てますか。(えっ、両手打ち?)YouTube に動画をアップして友達とシェアしてますか?「最近の若者」にとってはそんなこと当り前ですよ。じゃあ、ボランティア活動は? いま普通ですよ、若者の間では。

「優秀な」留学生を見る眼も本質は同じです。彼らは日本人の若者以上に違う部分がある。しかし、外国人であるがゆえに遠慮してしまうのか、「優秀な」という言葉をかぶせてその先を見ようとしない。と言うよりも、優秀な面だけを見ようとする。さらに、違うのは当り前だからその違いを理解してあげるべきだ、と優しさを見せる。
逆に「最近の」若者には、日本人であるがゆえに気をつかわず、「ダメだ」「おかしい」と平気で言い放ち、違う面を強調し、その違いを悪だとする。
これは不公平です!!

今どきのシューカツ(昔の言葉で言うと就職活動)をご存じですよね。自己分析、自己PR、エントリーシート、集団面接、グループディスカッション・・・ 
私は今でもまともにこなせる自信がありません。見事に社会にデビューした彼らは、激しい競争を生き抜き、勝ち残った強者ですよ。
絶対に私より優秀です。