アジア人財事典

アジア人財カンパニー株式会社 井上一幸 がお届けする粋な話題の数々

『制度の問題』 

2009-01-31 | メールニュース
皆さま、新年明けましておめでとうございます。㈱グッドジョブクリエーションズです。本日はメールニュース第20号をお届けにあがりました。今年最初のメーニュースですし、中国などの近隣では旧正月をお祝いしている皆さんも多いと思うので、この挨拶から入りました。

さて、このメールニュースでは政治ネタは避けているのですが、今回はアメリカで新大統領が誕生したことですし、珍しく政治の話をしてみようと思います。

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制度の問題
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先週のオバマ新大統領の就任に当たって、アメリカ本国で盛り上がるのは至極当然だが、日本での熱狂振りには少々びっくりしている。「さすがアメリカ」、「アメリカは羨ましい」「アメリカおめでとう」等々、そんな調子の文章をよく目にするのだ。

比べて確かにこの国の政治には、熱狂できない理由がゴマンとある。ただ私の個人的な想いからすると、外国のリーダーにはあれほど熱狂するのに、自国の政治にはサメザメしているのはどうも気に食わない。

そこで、政治への関心度を見る手段として投票率を比較してみましょう!!
実は日本の投票率はアメリカより高い。

日本は大統領選挙がないので、政権選択選挙という意味で衆議院議員選挙の投票率を調べてみると、平成5年の第40回総選挙までだいたい70%前後。その後ガクンと落ち込んで第41回、第43回総選挙では60%、ところが前回の第44回、郵政解散による総選挙では再び“定位置”に戻して67.5%となっている。
http://www.akaruisenkyo.or.jp/070various/sg.html
(ちなみに、いつから数えて“第44回”かというと、明治23年の帝国議会選挙が第一回だそうです。)

では、アメリカ大統領選挙の投票率はどれくらいでしょう?

いつもだいたい50%台。
今回の選挙で40年振りに60%を超えたのだが、つまり1968年の選挙を最後に、投票率はほぼいつも50%台。1996年にはその50%をさえ割り込んでいる。その頃は「有権者の半数しか投票しない選挙で国のリーダーが決まっていいのか?」という議論もあったほどだ。(1968年は共和党ニクソン候補が当選。96年は現職だったクリントン大統領が再選された選挙。)
http://www.afpbb.com/article/politics/2534378/3486762
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp1-20081225-443746.html
(ちなみにアメリカ大統領選挙では投票率の公式集計がない。よって出所によって若干数字が異なります。)

つまり、日本の総選挙の投票率は、どの選挙をとっても同時代のアメリカ大統領選挙より高い。

アメリカの熱狂は理解できる。「ブッシュは最悪だった」と皆が言う中で8年振りの政権交代だ。しかも史上初の黒人大統領である。じゃあ、外国の大統領の就任にあれだけ熱狂するこの国はいったい何なんだ??それほどまでにこの国のリーダには魅力がないのか。

いやいや、政治家個人の問題ではないと思う。似たような熱狂は日本でもある。かつて小泉純一郎氏が総理大臣になった時、多くの日本人は熱狂した。今からわずか2年ほど前にも、安部総理が誕生した時はずいぶんと期待したものだ。しかし安部元総理に関してはその後の崩れ様もお見事。今の政治の混乱はあの時代(の参院選)に原因があると言っても過言ではない。

なぜこんなになってしまったのか?浅薄とは知りつつも私の考えでいうと、この国の制度設計の問題だと思う。

▼ 選挙なしで首相がコロコロ変わるなんてもう慣れっこだが、そうとは言え気分悪い。
▼ 衆参逆転下では何も決まらないなんて、今回まで誰にもわからなかった。
▼ 離党だの結集だの毎年のように聞くが、それであの議員たちは何を変えてくれたのか。

もし首相公選制だったら?もし一院制だったら?もし単純小選挙区制(=二大政党制)だったら?今とは違う別の制度を持っていればきっと政治情勢も違ったと思う。

日本人は「何党が勝とうが、誰が総理大臣をやろうが、どうせ変わらない…」などと決まり文句のように言っているが、投票率を見る限り意外と選挙には行っている。
我々自身「日本人は政治に冷めている」と思っているようだが、それはただの思い込みで、「この国を良くしたい」という願いは我々にも強いと信じたい。

結果が出ないのは国民や政治家の問題ではない、制度の問題である。