アジア人財事典

アジア人財カンパニー株式会社 井上一幸 がお届けする粋な話題の数々

なごり雪

2010-03-30 | メールニュース
皆さん、おはようございます。アジア人財カンパニーの井上です。本日はメールニュース第34号をお届けにあがりました。ここのところ寒いですね。昨日(3月29日)は、東京でも一部で雪が舞ったようです。

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なごり雪
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日本人は四季に恵まれて暮らしてきたせいか、季節感が豊かで、それを表す言葉も豊富。寒さにちなむ言葉でいうと、真冬のいちばん寒い時期は底冷え。春を目の前にしたこの時期は花冷え、そして昨日のなごり雪。そう、桜が咲いてから雪が降るのも決して珍しいことではありません。

ところで、私は子供の頃から雪が好きなので、雪を表す表現に出会うとワクワクします。しんしんとつもる雪、こんこんと降る雪、さらさらと舞う雪・・・ 粉雪、綿雪、細雪。そしてこの季節は「蛍の光、窓の雪」・・・もそうですが、なごり雪。

だいぶ古い歌に『なごり雪』というのがありますが、何度もカバーされているので皆さん知っているでしょう。この時期、この歌がどこからともなく流れてきて、別れを惜しんだり、悔やんだり、懐かしんだりする人も多いはず。私もその一人です。寒いとどうしても哀しくなって、昔を思い出すんでしょうね。

もともと4月は一年でもっとも気温の上昇幅が大きく、月初は今週のように真冬の寒さもあれば、月末の連休前には真夏の暑さになったりもする。そうなったら、寂しさを感じたり、昔を振り返ったりしなくなるものだ。だからこそ「なごり雪」は名曲なのでしょう。

ところで教育制度改革の話の中で、9月入学なんてことがよく言われます。もしそうなったら、別れの季節は8月でしょうか。そしたらさすがに、なごり雪なんて言えないし、暑い盛りに別れの情緒もあったモンじゃない、と心配する向きが出てくるかもしれません。

でも、そうはならないでしょう。いえ、8月がその季節になったとしても、季節感たっぷりの歌はまた生まれると思います。「真夏の夜の夢」とか「夏の終わり」という表現をもつ歌は今でもたくさんあるわけだし、そもそも、自然界の気温のベクトルが向きを変える時、人間の気持ちも変化するのでしょうね。3~4月は気温が上がる時期で、8~9月は下がる時期です。だからきっと、なごり雪はなくとも、海や星や夜空を季語にして、いい歌ができるでしょう。