松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

弓の素材としての櫨 その1

2007-07-31 20:23:23 | 和弓と櫨
櫨は、染料の他に何か使い道はあったのだろうか?
そう思っていたら、やっぱりありました!

なんと和弓の原材料として重宝されていたのです。
和銅五年(712)に献上された日本最古の歴史書「古事記」に、
「櫨」で作られた弓の記述がありました。
そこで古事記のお話をおさらいしながら紹介したいと思います。

天照大神の天の岩屋事件やヤマタノオロチ退治事件の後
須佐之男命(すさのおのみこと)の子孫である
大国主神(おおくにぬしのかみ)が登場します。
因幡の白ウサギの話で有名ですね。

大国主神は美形で女性にもてたためか、
何かと嫉妬されて受難にあうパターンばかりですが
なんとか女性に助けられちゃいます。

須佐之男命の娘、須勢理毘売(すぜりひめ)と結婚した後、
大国主神は豊葦原水穂国の国作りをはじめます。
いたる所で多くの妻を娶って子供ができたので
神様の数もどんどん増えていきます。

ある日、天照大神は自分の子供である
天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)に
豊葦原水穂国を治めよと命令します。
しかし命が天の浮橋から見下ろしてみると、
大勢の神様たちがてんでに大騒ぎしていたので
降りる気にならず、引き返してしまいます。

そこで大神は高皇産霊神(たかみむすびのかみ)と共に
天安河(あめのやすのかわ)の河原に八百万の神を集めて相談し、
天菩比神(あめほひのかみ)を遣わせることにしました。

ところが天菩比神は大国主神の手下になってしまって
三年経っても戻らなかったため
今度は天若日子(あめわかひこ)が降りることになりました。
大神は天之麻迦古弓(あめのまかこゆみ)と
天之波波矢(あめのははや)を天若日子に授けます。
ところがまたもや戻ってきません。
天若日子は大国主神の娘を娶ってしまったからです。

天照大神と高皇産霊神は、またもや相談して
「名鳴女(ななきめ)」という雉(きじ)を送り出します。

きじの名鳴女は、天若日子の門の側の木に止まって
細部まで大神の言われた通りに伝えますが
その時、天佐具売(あめのさくめ)という女性が
「いやな鳴き声を出す鳥を射てしまいなさい。」と
天若日子をそそのかします。
天若日子は大神から授かった天之波士弓(あめのはじゆみ)と
天之加久矢(あめのかくや)を持って
雉の名鳴女を射殺してしまいます。

…とまあ、まだまだ古事記の楽しい話は続くのですが
で、どこに櫨が出てくるかというと
天照大神が天若日子に授けた天之麻迦古弓(あめのまかこゆみ)、
または天之波士弓(あめのはじゆみ)こそ、
はじ→はぜ(櫨)で作った弓だといわれているのでした。

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選挙いろいろ

2007-07-30 23:18:41 | ニュース
選挙が終わって、
マスコミは大がかりな「安部オロシ」の大合唱です。
民主党は大躍進でしたね。

毎回のことですが、
「ああ、この人は当選してもらいたかったのに。」とか
「なんでコイツが当選してるんだ!」とか
自分の予想とかけ離れることが多いですね。

今回は、そもそも野党が過半数を取るとは思いませんでした。
でも以前に小泉チルドレンが生まれた時、
あそこまで自民党が議席を取るとは全然思わなかったので、
それを考えると、やっぱり自分の予想ってのはハズレるんだと思いました。

さて、今回得票数が一番気になったのは若尾文子さん。
政治とは全く縁遠い感じですが
女優というだけでどこまで得票できるのかと思っていたら
なんと64,755票も獲得していました。
やはりファンの強みですね。

しかしよく考えたら政治家は、ある意味「俳優」なわけで、
TVで見る限り、最初は戸惑い気味だった若尾さんも、
選挙戦が進むにつれて「候補者」の役を、
それなりに演じていたのかもしれません。
旦那の黒川紀章さんも70,275票も獲得してました。
お二人の選挙カーの様子をTVで見るにつれ、
いつも和ませていただきました。

発明家のドクター・中松は92,512票。
選挙に勝てる「発明」はないんでしょうか。
この人の政見放送を、ぜひ一度見てみたいんですけど
残念ながら無所属だから地方じゃ見られない。

いろんな地域で出馬しては落選している羽柴秀吉さん。
今回は夕張市長選に引き続き、北海道で出ていました。
103,282票。かなりの得票数でしたが、
天下統一までの道のりはもうちょっと長いようです。

又吉イエスで有名な人気?の又吉光雄さんは、
10度目の選挙にして始めて最下位を脱出したそうで、5,289票。
しかし5000人以上の方が、
又吉さんを応援しているってのも凄すぎです。
この方の政見放送はネットで見られますが
やっぱりTVで見てみたいんですよね。

東京はこうしたキワ者候補の宝庫なので、
政見放送も楽しいだろうなあと思うと、
こればかりは羨ましいですね。

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ウナギ、食べる?

2007-07-29 23:14:09 | ニュース
30日は土用の丑の日。
野党大躍進の参院選も終わって、なんか気の抜けた私ですが
あなたはウナギ、食べますか?

スーパーやコンビニの広告を見ると
やたらと国内産が目立ちますね。
東国原知事の宮崎産ウナギなんて
まさにタイムリーな商品です。
こんなに国内産ウナギが揃っているなら
中国産を食べなくてすむじゃない。
これで安心ね

な~んて、安心できるわけない!
最近新聞で知ったのですが、
2005年に国内で供給されたウナギは97000トン。
うち国産はたったの19700トン。約65%が中国産ですよ。

現在、氾濫している国内産は、本当に国内産なのか?
実はトリックがあったようです。
ここのサイトによると

引用----------------------
垣田氏はまた、店頭でパッケージに詰める惣菜や弁当、外食にはまったく内容の表示義務が無いことも問題視する。同じ加工食品でも、工場で包装されたものには一定の表示義務があるが、店頭でパッケージされる商品には基本的に表示義務は無い。そのため、実は中国産の「静岡産うなぎ」や、オーストラリア産「和牛」などがいたるところで売られているのが実情だと言う。
----------------------------
だそうです。
これではスーパーがどんなに「国内産」だと大きく書いたって
それが本当だとは信用できません。

同サイトで垣田食品表示アドバイザーが指摘しています。
-------------------------
食品表示については、農林水産省管轄下のJAS法を含め、厚生労働省下の食品衛生法、公正取引委員会が管轄する景品表示法、経済産業省の不正競争禁止法など4つの法律が存在するが、いずれも業界寄りであったり、食中毒などの被害が起きるまで発動されないなど、消費者の安全を守るという観点から見ると、明らかにザル法と言わねばならないものばかりなのが実情なのだ。
--------------------------
このザル法が、こんな状況になった原因みたいです。
業者の利権を守るための法律が
結局は業者の首を絞めてしまってるわけですね。

EUはウナギの稚魚を輸出規制するし、
これからますますウナギは食べにくくなってくるようで
ウナギのせいろ蒸しが大好きな私としては
とても残念です。

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29日は選挙

2007-07-28 23:14:13 | ニュース
29日は参議院議員選挙ですね。
選挙の醍醐味といえば、やはり開票速報。
誰でも自分の一票で変わるとは思わないけど
自分の一票の行方は気になるものです。

4月の選挙では
初めて開票の様子を見ました。
インターネットTVで
久留米市の開票場の様子が
リアルタイムで放送されていたのです。

数えて整理された投票用紙の束が、
一束ずつ候補者の名前の上に載せられていきます。
最初は律儀に、それぞれ一つの束を揃えて
載せられていくのですが
時間が経つにつれて、候補者により差が出てきます。
あんまり動きのない画面なんですが
いつ、どの候補者に束が置かれるのかと思うと、
見てて結構飽きなかったりします。

一方、TV特番では、
全国各地の当選者や落選者の表情が
悲喜こもごもと映し出され、
一種の熱気に包まれるわけですね。
こういっては不謹慎かも知れませんが
ドラマなんかよりずっとおもしろかったりします。
(4月は長崎市長選挙が大注目でしたね。)

今回はマスコミによると自民が敗北
民主党が大勝利のようですが
果たして、本当にそんなに民主党に勢いがあるのかな?と
かなり疑問です。
自分の感覚が世間とずれているのか
マスコミが世間とずれているのか
今回の結果で、ある程度わかるのではないかと思うと
夜の開票速報が興味津々です。
私はもう期日前投票を済ませました。
みなさんも、開票速報を楽しむためにも
ぜひ投票に行きましょう。

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ハゼノキの歴史は謎だらけ その2

2007-07-27 21:28:23 | 櫨染(はじぞめ)プロジェクト
画像は櫨の心材を使った「櫨染」の色です。
大学の先生が化学的興味で試験的に染められたものを
見せていただきました。

染色の世界では「櫨色(はじいろ)」や
「櫨染(はじぞめ)」という言葉があるので、
それはハゼノキを使っているのか、
それともヤマハゼを使っているのか
はたまたヤマウルシを使っているのかを
染色の専門家Tさんにお聞きしてみました。

すると、そもそも今では櫨を素材としては
もう使っていないそうです。
染色として櫨を使うには、切り倒さなくてはならないわけで
櫨の素材自体が少なくなっている今の日本では
ほとんど不可能に近いということでした。

昔の文献もわからないことだらけです。
「延喜式」などの文献に残っている
黄櫨染(天皇陛下の色)については、材料のみで、
染色の方法などについては一切不明なのです。

以前のエントリでお伝えしていますが
古代は色で身分や地位を表していましたから、
染色職人は、今で言えば最新技術を誇る技術者たちです。
そんな人たちが自分たちの生み出した染色の最新技術を
文献に残すわけはないだろう、
やはり一子相伝のような扱いではないかとのことでした。

また、お米の研ぎ方や味噌汁の作り方を
書いている料理本が、ほとんどないように、
当たり前だと考えられている物事は
書き残す必要がありません。
ですから当たり前と思われている物事は
文献には残りにくいわけです。

櫨の染色については、どちらにもあてはまりました。

染色技術は、時代が移り変わるにつれて
素材が変わり、技術も変わり、特に文献に残ることなく
昔の記憶が失われていったわけです。

ところで櫨のことを「黄櫨」と呼ぶ場合があります。
これは今では櫨の別名とされていますが
もともとは南欧から中国にかけて分布する
ウルシ科の「ハグマノキ」で、
心材から黄色染料を採ることで
この名前があるという説がありました。
しかし黄色の染料は、同じウルシ科の
ヤマウルシ、ヤマハゼ、ハゼノキでも
同じように採れるそうですから、
これもまた一つの説と考えるべきでしょう。

なんだかますますアヤフヤになってきました。
とはいえ、一つだけ断言できるのは
昔から「櫨」とよばれるウルシ科の植物が
日本にあったことだけは確かだってことです。
「櫨色」「櫨染」「黄櫨染」という言葉が残っている、
それだけは櫨(の種類)が身近に存在したという証ですね。

さて、古代日本で櫨が活躍していたものが
染色の他に、もう一つあります。
それは「弓」です。
次回から「弓」の材料としての櫨について書く予定です。

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ハゼノキの歴史は謎だらけ その1

2007-07-26 22:18:43 | 復活奮闘日記
櫨(ハゼノキ)の歴史を調べてみようと思って
軽~い気持ちで本や文献を見ていたら
しょっぱなから大きくつまづいてしまいました。

ハゼノキとヤマハゼのことです。
この二つの品種ははっきりと分けられています。
特徴も違うし。(葉に毛の生えている方が山櫨)

ハゼノキについては、
江戸時代初期に中国から伝来したという文献が残っていますが、
以前のエントリでお伝えしたように
櫨色(はじいろ)などは万葉の昔からあったわけです。
江戸時代に伝来してるはずのハゼノキが
なぜに古代日本に存在していたのか?

そこで私はてっきり
ハゼノキ=中国から伝来
ヤマハゼ=古代から日本に存在
そう頭の中で解釈していました。

ところが、世の中なんでも断言できるとは限りません。
実はハゼノキも古代から日本に存在していた可能性を
否定できないというのです。
ただちょっとばかし蝋分の多いハゼノキが
江戸時代に入ってきたという説も成り立つわけです。

古代の日本には植物学者はいませんでした。
ハゼノキとヤマハゼを、きちんと区別した書など存在しません。
区別どころか、ヤマウルシ、ヤマハゼ、ハゼノキの三品種は全て
櫨(ハゼ)と、ひとくくりにされていたようです。
おまけに呼び名は方言も混じるので、
ハゼ、ハジ、ハンジノキ、ハニシ、オニウルシ
アラ、ユミギ、ユバノキ、ヤマアジサ
イヌハゼ、ハデ、ハデキ、リウモク、ハゼウルシ
マケノキ、サツマ、サツマウルシ、タゥハゼ
(上原敬二「樹木大図鑑」による別名・
出典「ハゼノキ今昔物語」愛媛県内子町)

ま、ざっとこんな調子です。
これらの名前が、
ヤマウルシだろうと、ヤマハゼだろうと
ハゼノキだろうと、お構いなく
適当に呼ばれているのです。
ハゼウルシって何だよそれ…(-_-)

とはいえ、さすがにウルシとツタウルシの場合は、
「櫨」とは呼ばれず、しっかり区別されていたようです。
ちなみに呼び名は
ウルシの場合、ウルシノモエ、ウルス、アカメ、カブレ、カブレノキ
ツタウルシの場合、ウルシヅタ、タニウルシ、ヤマウルシ、カキウルシ、
ダイコンジタ、ウマコロシ、イヌクズ、ノクズ、フジウルシ

「ウマコロシ」ってすごすぎる…。
ツタウルシが、どんだけ恐れられていたか想像がつきますね。

さて、ハゼノキとヤマハゼ。
品種は違うんだから、
何か他に区別するものはないんでしょうか。

植物図鑑ではこれ以上埒があかないので
実際に「ハゼノキ」を使っている現場の人に
聞いてみることにしました。
まずは染色に詳しい方です。

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大河ドラマ「風林火山」で思ったこと

2007-07-25 20:11:46 | 感動したモノ
今日はちょっと櫨から離れてドラマの話をしたいと思います。
NHKの大河ドラマ「風林火山」は毎週見ていますが、
前回の最後で、板垣信方と甘利虎泰が死んだため、
こないだはその後の話となりました。

板垣は武田軍の重鎮ですし、
ドラマの中では大きな役です。
だから一番の見せ場であったのはわかります。
わかるんだけどね、
ドラマが始まって20分間、
延々と板垣の事を悲しむ展開なんですよ。
勘弁してくれ~。
あまりのタルさに画面を見ながら、
目がどうしてもウツロに彷徨ってしまい、
危うく眠ってしまうところでした。

この「風林火山」は、初回から見ているドラマなんですが
時折こうした脚本のヌルさが現れてしまい、
がっかりしてしまいます。

そういうヌルさを感じたことは、
少なくとも海外ドラマではあまりありません。
今放送されているwowowの超大型時代劇(?)「ROME」などは
息つくヒマもなく次から次へと展開していきます。
セットや衣装が豪華とか、そういう問題ではありません。
エピソードの積み重ねが多く
たわいもないエピソードと、深刻なエピソードが
お互いに絡み合って、うまくバランスがとれているのだと思います。
他のプリズンブレイクや24、CSI、
グレイズアナトミーもそうです。
じっくり人物描写をする「LOST」にしても
みっちりとエピソードが入っているので見応えがあります。

そこで「風林火山」です。
武田晴信が嘆くシーン(ほとんど顔アップ)が10分
勘助など他の人物がしみじみと嘆く10分の構成を
それぞれせいぜい3~4分に縮めて
他の違うエピソード(上杉家の話でも今川家の話でも)を
もっとたくさん交えていくと随分違ってたんじゃないかと思いました。
あと最後の板垣が幽霊みたいになって
晴信の前に現れ、一曲歌って踊るストレートな演出よりも
別の人物が踊っている様子を見て、
晴信がそれを板垣と見間違えるような演出にした方が
もっといろいろなカメラワークが生かせただろうし
回想シーンも挿入できて面白かったのに。

な~んて、こうやって文句を言うのは
「風林火山」が割と気に入っているからです。
後半の展開に期待したいと思います。

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櫨マケのこと その4

2007-07-24 20:04:33 | 復活奮闘日記
実際に櫨を育てている農家の方や関係者にお聞きすると
「頭には帽子。長袖の上着。手や顔にはクリーム。」
これで、ほぼ櫨マケは防げるそうです。

防備を固めるのみならず、予防の準備をすることで、
「櫨マケはしない」という気分が、さらに高まりますから
実際に櫨マケすることは、ますます少なくなりそうです。

また、統計をとったわけじゃないんですが、
女性は櫨マケしにくいとも言われています。
化粧をしているせいか、
毛穴が壁(ファンデーション)で埋められて
ウルシオールが入るスキマがないからだとか。
とすると、まずは厚化粧して、
首あたりにはクリームを塗るのも効果的かも。

ところで、自分が櫨マケするアレルギー持ちなのかどうか
一つの目安があるそうですよ。
果物のマンゴーはウルシ科です。
主に果皮の部分にウルシオールが含まれていますが
果肉にも少量含まれているそうです。
もし過去にマンゴーを食べて口元が赤くかぶれた事があるのなら、
櫨マケもおこす可能性があります。
マンゴーでかぶれる人は、
ギンナンでもかぶれる可能性があるそうです。

…と書くと、神経質で暗示にかかりやすい人は
マンゴーやギンナンを見ると、
「かぶれるかも」って不安に思っちゃうんですよね。
まことに心を平常に保つのは難しいものです。

かぶれるといっても、別に死ぬような病気ではありません。
3日から一週間で腫れは治まるそうですし、
皮膚科でも薬を出してくれるので、十分対処できます。

これは私の個人的な意見ですが
一番いいのは「開きなおり」だと思っています。
「櫨マケしてもいいや」と平気なフリをすること。
帽子やクリームで予防すること。
そして自分の中の「自然治癒力」を信じることです。

もしそれでも櫨マケを絶対いやだと思う方は…
櫨の2m圏内は近寄らないことでしょうね。

櫨マケについては、これで終わりです。
何か新情報があったら、ぜひ教えてください。

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櫨マケのこと その3

2007-07-23 20:56:48 | 復活奮闘日記
今日と明日、2回に分けて
櫨マケへの対処法を書きたいと思います。

江戸時代に櫨育成の指導者であった
高橋善蔵の著「窮民夜光の玉」の中で、
よく効く薬として以下のようなものをあげています。

------------引用
○生鰹を食べるとよい。また鰹節を煎じて飲むのもよい。
○しそ、みかんの皮の乾かしたもの、
 香附子(はますげの根を乾燥した生薬)、
 この三種類を等分に合わせ、
 一匁にして普通に煎じて飲んでもよい。
○この二つの方法は『救民妙薬集』という本に出ている。
○また、はっかを煎じて患部を洗ってもよい。はっかは薬種草ともいう。
○また生そばの葉をすりつぶしてつけてもよい。
 そばがらを煎じて患部を洗うのもよい。
○出かかったふきの根をつぶして、すりつけてもよい。
○栗の花を黒焼きにして、ごまの油で溶いてつけてもよい。
○また、塗物師のいうには、櫨にかぶれる者は櫨の実を黒焼きにして飲めば、
 櫨にふれてもかぶれないというが、
 これは根拠のあることなのか怪しいものである。
○櫨のかぶれは漆かぶれと同じことである。漆かぶれの薬を用いるとよい。
○また、大根のある季節には、おろし大根を患部にすりつけてもよい。
----------- 現代語訳 山田龍雄(農山漁村文化協会)

え~、これはあくまで江戸時代の民間療法です。
試してみたい方はどうぞ。
ただし、効くかどうかは不明ですよ。

それにしても昔の薬って、作るのが面倒ですね。
一番手軽なのは大根おろしを
患部にすりつけるって事でしょうが
私はまだ櫨マケしていないので
もし櫨マケしたら、それを試してみたいと思います。

ところで人間は病気やケガになっても、
ある程度は自然に治る「自然治癒力」を持っています。
江戸時代には薬局なんてありません。
当時の人々は、上記のように身の回りの植物などで対処しており、
櫨マケの特別高価な薬は必要なかったわけですから、
基本的に自分の中の「自然治癒力」によって
自然に回復するのを待ったのだと考えられます。

ま、世の中には櫨マケなんかより、
もっと深刻な病気がワンサカありますしね。

というわけで、明日は現代の櫨マケ対処法について
書きたいと思います。

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櫨マケのこと その2

2007-07-22 20:23:16 | 復活奮闘日記
いったい、櫨マケって本当にあるのでしょうか?
この櫨マケについて、九州大学名誉教授の
池見医学博士が行った興味深い実験があります。

櫨マケ・漆マケの経験者51名に目隠しをしてもらい、
暗示をかけて「ハゼの葉」と「クリの葉」を
各人の左右の手のいずれかに擦りつけました。
「ハゼの葉」と暗示をかけた「クリの葉」でかぶれが生じ、
その反対に「クリの葉」と暗示をかけた「ハゼの葉」では
何の反応もありませんでした。
(参考・池見酉次郎著「心療内科」中公新書)

「櫨はマケる」と小さい頃から言われ続けると
暗示となってかぶれてしまう可能性が多いということです。

しかし、たとえこの実験で証明できたとしても
櫨はマケないとは断定はできません。
もともとアレルギー体質の人の場合は
上記の暗示があっても櫨マケする可能性があるからです。

それに「暗示」ってのは、私はかなり厄介だと思いました。
「櫨はマケない」とわかっていても
「ひょっとしたらマケるかもしれない」と、
少しでも心の中で思っていたらどうでしょう?
櫨マケするかもしれません。

上記の実験では、完全に「クリの葉」と思いこんでいたから
マケなかったのです。
しかし現実問題として、櫨並木を前にして
「櫨マケはしない」と思いこめるものなのか?
よっぽど悟りでも開いて解脱した仏陀か
自己催眠に卓越した人でもないと、
「櫨マケはしない」と思いこむことはできないと思います。

人間は恐れを感じると、揺れ動くものです。

普段は櫨マケしないと思う人でも、
庭に植えてある櫨の木のせいで、
もし可愛い子供や孫が櫨マケしたらと、
ほんのちょっとでも思ってしまったら、
その恐れを消し去るのは、かなり難しいでしょう。

最初の頃、私はいつも櫨に触るたびに、
自分にその恐れがあるのかどうか、
問いかけていました。

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高田町の江浦祇園大蛇山

2007-07-21 21:50:17 | 美しい風景
今日は高田町淀姫神社で
祇園大蛇山の祭りが行われていたので
見に行くことにしました。

大蛇山といえば、大牟田だと思っていたら
ここ江浦の大蛇山も伝統行事として行われていました。
煙をもうもうと出して、首を振る大蛇。
時には火花を散らして、すごい迫力です。

実は祭りといえば屋台とかが出てるのかと
想像してたんですが、屋台は出てませんでした。
祭りというより、
どちらかというと神事に近いという印象です。

家々を一件ずつ周り、厄除けをしていきます。
赤ちゃんがいるところは
大蛇の口の中に赤ちゃんを入れます。
悪霊退散、無病息災への祈願だと思います。

こういった3つの大蛇山車の他に
一つの踊り山車が出ていたのですが、
それがまたド肝を抜かれました。

踊り=よさこい、みたいなのを想像していたら、
なんと山車の中に座っている女性(大人2人子供3人)が
家々を一件ずつ立ち寄る度に、舞を奉納していくわけです。
舞の曲は演歌とか歌謡曲とかポップもあって
とにかく人々の好きな曲を選んでるようでした。


その舞い手が踊っている間、近所の方たちや
山車の曳き手(全員男)は、じ~っと踊り手を見つめたり、
手拍子を取ったり、拍手したりして舞い手を讃えています。



観衆の中、艶やかに舞う姿を見てるうちに
どこか出雲阿国を思い出しました。
出雲阿国は京都北野天満宮で、その時代の流行歌に合わせて
踊りを披露し、大人気を得て歌舞伎の発祥となりました。
倖田 來未のテンポの速い曲をものともせず
日本舞踊を舞うスゴさ。
まさに現代の阿国です。

高田町江浦の大蛇山は宝暦年間に始まったと言われ
淀姫神社に至っては、建立450年になるそうです。
このような日本の伝統を受け継ぐ神事やお祭りは
全国的にも次第に減ってきており
田主丸町に昔行われていた「二十日えびす」も、
数年前、どこにでもあるイベント的な
「町民まつり」なってしまいました。
その味気ない事といったら。

今回の祇園大蛇山を見ながら、
田主丸町が失ってしまったものを
つくづくと感じてしまいました。

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櫨マケのこと その1

2007-07-20 23:34:48 | 復活奮闘日記
この画像は櫨じゃなくて「ヌルデ」です。
教えていただいたので区別がつくようになりました。
といっても、葉っぱの間の茎に「翼」がついているかどうかが
ポイントなので、ここさえ見ればわかりやすいですね。

さて、以前のエントリで櫨マケするっちゃんについて書きましたが、
その後、他の方の体験をお聞きしたり、
自分自身の体験をふまえて
もうちょっと櫨マケ(かぶれ)について書くことにしました。

私自身は櫨の写真を撮る時、
非常に近くまで寄って撮っているので
葉っぱが手とか顔に当たる時があります。
春先から夏の今まで、特にかぶれたことはありません。
もちろん、だから櫨はかぶれないと断言はできません。

近くを通っただけでマケるという方もいますし、
雨に濡れた後などは、櫨マケしやすいという方もいます。
櫨の木を燃やした時、煙に当たって櫨マケしたという方もいます。
秋に紅葉する櫨並木を通っただけで
櫨マケしたという方もいらっしゃいます。
山で遊んでいたら、いつのまにか真っ赤にかぶれた。
あれはきっと櫨マケだったんだという方もいました。

医学的にはウルシ科の樹液に含まれる
ウルシオールという成分に
皮膚炎を起こす可能性があるそうですが
個人差が激しいのも事実です。

山野には、かぶれる植物はいっぱいあります。
櫨と同じウルシ科のニワウルシ、ヤマウルシ、
ツタウルシなどは最凶・最悪といわれるほど。
これらウルシ科の外見は非常に似ています。
以前のエントリで「櫨」だと思っていたら
実は同じウルシ科の「ヌルデ」だった事もありました。

また、「蕁麻疹(じんましん)」という言葉は
イラクサの葉っぱに触れて発疹が出ることから生まれました。
イラクサの痛みや毒はかなり強烈で深刻のようです。

というわけで、自分が果たして「ハゼノキ」でかぶれたのか、
他の植物のせいだったのかを見極める必要がありますが、
食中毒になった場合、原因の食べ物を特定するのが難しいように
山野でかぶれた場合、その原因の植物を特定するのは
難しいかと思います。いろんなモンが生えてるわけですし。

個人的な感想ですが、もしかぶれた場合、
全てを「櫨」のせいにされているような気がしてなりません。
「えん罪」の可能性だってあるわけです。
おそらく櫨マケってのは昔からよく知られていたから
櫨マケのせいにすれば、みんな納得するからかもしれません。

この櫨マケの話、もうちょっと続けますね。

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山本町柳坂曽根、夏の櫨並木

2007-07-19 21:30:49 | 復活奮闘日記
先日、久留米市山本町柳坂曽根の櫨並木を通ったので、
撮影してきました。
青々とよく茂って迫力がありますね。

ここの櫨並木は昭和40年代、
伐採されそうになった事件がありましたが
保存運動に尽力した故・香月徳男さんなど、
周囲の方々の協力で、なんとか生き延びてきました。

もっと過去を遡ってみますと
興味深い事がわかりました。

江戸時代、松山櫨の発見者である大庄屋竹下武兵衛の書いた
「農人錦の袋」は、有用な櫨の技術書として
関心のある人々の間で写本されていたようですが、
肝心の竹下家には既に存在していません。

唯一現存したのは、
旧山本郡柳坂組の大庄屋を勤めた上野包淑が、
天保九年に久留米藩士吉田家所蔵本を筆写し、
それが明治四十五年に「有馬文庫」として転写されたものです。
(その後上野家の写本は紛失)

つまり上野包淑が筆写して、
その後、明治まで上野家が大事に持っていなければ
「農人錦の袋」は幻の書のまま終わっていたわけで、
山本町という所は、櫨並木の保存ばかりでなく、
竹下武兵衛の貴重な著作をも保存してくれた
櫨の守り神がいるような土地なのです。



7月も半ばを過ぎて、実もだんだん大きくなってきました。
去年はあまりぱっとしなかった紅葉ですが
今年はぜひ真っ赤な紅葉が
見られるといいなと願っています。

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久しぶりに櫨苗の様子

2007-07-18 21:11:09 | 復活奮闘日記
久しぶりに櫨苗生長日記です。
私が無節操に水やりした結果、
ほとんど葉っぱが落ちて
枯れそうになっていた苗が、復活してきました。
新しい葉っぱが出てきています。
梅雨のおかげかもしれません。
よかったよかった。
Himenoさんとこのふくよかな苗と比べると
かなり出遅れた感がありますけど
なんとか生き延びただけでも…。



こちらは一番成長のいい苗です。
こちらもかなり危うい時期がありましたが
梅雨のおかげか、状態はよくなってきました。
それにしても生き物って正直ですな。

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新潟上越地方、余震相次ぎ震度6弱

2007-07-17 21:59:57 | ニュース
新潟上越地方、余震相次ぎ震度6弱(朝日新聞) - goo ニュース

今回、新潟地方でおこった震度6の地震。
亡くなられた方のご冥福をお祈りすると同時に、
被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。

記事引用-----------------------------

安倍首相、被災地視察へ出発

 安倍晋三首相は16日午後3時すぎ、地震の被災地視察などを行うため、首相官邸からヘリコプターで現地へ向かった。出発前、記者団に「人命の安全確保、ライフラインの確保、不安を払しょくするため全力を尽くす」と述べた。〔共同〕(15:22)

------------------------------引用終わり

首相が遊説を取りやめて、
すぐにヘリで現地に向かった事を
救助の邪魔になるとか、
人気取りだとか批判する方がおられますが
やはり私は日本の首相として、すぐに現地に向かい、
現場の状況を実際にその目で見ることは
一番重要なことじゃないかと思います。

現場が落ち着いてから行くなんて、
それこそ大名旅行じゃあるまいし。
被災地の今の状態を首相自身の目で見ることで
他人事ではない身近な人々の置かれた状況や気持ちが
肌身で感じ取れて、
有効な対策に繋がるのではないでしょうか。

2004年の新潟県中越地震で、
TV局の車が避難所の建物の正面にどっかと横付けしてたせいで
物資を乗せた車が離れた場所に駐車せざるを得ず、
避難所の方々が、わざわざ遠くに停めた車から、
重い物資を運んでおられました。
被災地で一番邪魔になってたのは、
マスコミじゃないかと思ったほどです。

安部首相がどのような視察をしたのかは、
そのうち週刊誌にでも出るでしょうから、
首相が行くことで、どれほど邪魔になるのかは、
後の記事を待ちたいと思います。

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