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「ワーッ!!」「キャーッ!!」
ターニンのすぐ近くで黄色い歓声が上がりました。
久里マスター「騒がしいな・・何事?」
マスターは辺りの様子を伺いに出ていきました。
久里マスター「隣に誰か芸能人が来てるらしいけど、」
「あんだけ人がおったら誰なんかわからんな~」
「照ちゃんラーメン」に来ていたのは、
シブガキ隊の「モッくん」が来ていました。
噂を聞きつけた女性ファンが押しかけ、黒山の人だかりができていました。
夜になり、「照ちゃんラーメン」に顔を出してみました。
上田「いや~、昼間は大変なことになってましたね~」
大将「びっくりしたのう、もっくんて人気あるんか?」
上田「えー!?知らんのですか?」
大将「サインでも貰うとったらよかったかのう?」
上田「そりゃそうでしょう!」
「『モッくんが来たお店』って、しばらくお客さん絶えませんよ~」
大将「そうか、失敗したなぁ~」
上田「いや~、しかしスターは人気が違いますね~」
大将「後から後からオンナばっかり来て、大変やったワ」
「もっくん何処に座ってたんですか?とか」
「もっくんが食べた割り箸ください!とかのう」
上田「割り箸!?好きな奴もおるもんですね~」
大将「横で食っとったオッサンの割り箸あげたワ、コレですって」
上田「ハハハ!そのオンナ、知らんと舐めまわしてますよ~」
ターニン近辺では、
多くの芸能人にも出くわしました。
ターニンの近所に「重ちゃん食堂」という定食屋があり、
たまに昼食時に顔を出しました。
カウンターに座ると、横にいたオバサンが笑顔で小さく笑いました。
その笑顔は壁に張られたポスターと同じ顔でした。
その人は演歌歌手「中村美津子」でした。
着物姿ではなく普段着の中村美津子は、僕と同じB定食を食べていました。
でも、B定食のメインであるハンバーグを食べ残していました。
「(それ残すんやったら何故B定頼んだ??)」
しかし周りの客と気さくに会話する姿は庶民的で嫌味が無く、
とても好感が持てました。
上田「マスター、今『重ちゃん』に中村美津子がいますよ~」
既に昼飯が済んでいるはずのマスターが、定食屋に向かって走りました。
お店のお金の両替に向かう途中、
アメリカ村の裏通りで大物芸能人に遭遇しました。
ボディガードは大柄なデブで、
その横に小さく歩いていたのは、演歌歌手「美川憲一」でした。
上田「あ・・サイン頂けますか?」
美川「いいわよ」(喋り方はTVと同じ)
上田「ありがとうございました・・」
美川「あらアンタ、握手はいいの~?」(喋り方はTVと同じ)
上田「あ、」
温かい言葉とは裏腹に、憲ちゃんの手は冷たく年老いた感じでした。
上田「マスター、今そこで美川憲一に会いましたよ~」
マスター「ちょっと両替行って来るわ」
既に両替済のお金を持って自転車で出て行きました。
仕事帰り、
御堂筋の交差点に立っているのは、吉本漫才師の「西川のりお」でした。
西川「お、サインしましょか・・、これでよろしいでっか?」
随分年下の僕に敬語を使う西川のりおは、
TVで見せる毒舌キャラとは違い、腰の低い「いい人」でした。
カレーショップに入ると、
既に食べ終えた「ジミー大西」がいました。
何のつもりなのか、新聞を逆さまにして読んでいました。
誰もツッコミを入れるわけでもなく、違和感のある空気が流れていました。
小料理屋さんで、
カウンター席に腰を下ろすと、隣には「坂東英二」がいました。
上田「あの~、坂東さんですよね?」
坂東「そうやけど・・」
上田「坂東さん徳島ですよね」
「僕、高知の中村出身なんですけど・・」
「中村高校の星、オリックスブレーブスの山沖投手!」
「今年はどうでしょうね~?」
坂東「フンッ!・・・知らんなぁ」
TVで見せる愛嬌は微塵も感じられず、普段は無愛想なオッサンでした。
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