イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

セカンドシーズン4 第2章 -2

2013年06月18日 17時13分39秒 | 小説

スニーカー文庫
『機動戦士ガンダム00 セカンドシーズン4アニュー・リターン』
著:木村暢/原作:矢立肇&富野由悠季

「第2章-2」
p.109
後方から接近する敵の総数は十四。ケルディムガンダムとアーチャーアリオスで迎撃を――スメラギからの指示が届いたとき、紅色のパイロットスーツに身を包んだソーマ・ピーリスは、GNアーチャーのコクピットに座り、体の前で指を組み、静かに両のまぶたを閉じていた。彼女は沙慈と同じように人を探している。だが、その目的は真逆であった。彼女が探しているのは――アロウズの元同僚。同じチームで行動したことさえある。そして、彼女の敬愛していたセルゲイ・スミルノフ大佐を殺した男だ。体の前で組んでいた指に力を入れると、グローブがわずかに軋みを立てた。すでにピーリスは、最初に出てきた十二機の中に目的の機体がないことを確認している。これは彼女に比べて沙慈の稚拙さを意味するものではなく、まずピーリスの方が戦闘経験が豊富であること、また彼女自身が戦うために造り上げられた超兵であること、そして敵陣に突入していったダブルオーライザーと違って、アーチャーアリオスの位置が戦闘宙域からやや離れたところにあり、全体を遠方から眺められたことに起因している。嵐の中に飛び込んでいくよりも、嵐の外側から眺めていた方が、その全体像が把握しやすいものだ。だが、彼女は我慢の限界に近づいていた。凶暴な怒気が、そのはけ口を求めている。


「第4章-3」
p.306

アンドレイは離れていく二人を交互に見やり、一瞬の逡巡の後に廊下を出て武人のあとを追った。ブシドーの背中へと話しかける。
「私も同行させてください。グッドマン准将の許可は取ります」
「好きにすればいい」
ブシドーは、振り返る半歩手前といった感じでアンドレイに横顔を見せた。
「私と准尉の機体についてこれるとは思えんがな」
その言葉がアンドレイのプライドを刺激しないではなかったが、彼は自分の実力を承知していたし、不愉快さを飲み込む術も知っていたため、それを表に出すことはなかった。何と言われてもいい。いまはルイスと離れるべきではない。彼はそう思ったのだ。


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