イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

カイエンとサヒャン -02

2013年05月15日 08時57分28秒 | 小説

「9 くちづけ(Ⅱ)」

あの方には、いつも不思議な雰囲気があって、お側にいると家に帰ったような気がする。それは寛げるとか、緊張がなごむとかそういった感じとも違っている。そんなにたくさん逢ったわけではないのだが、たとえれば毎年の大祭の後にお許しを頂いて久しぶりに家に帰ると、最初は違和感があるのだが、少しずつそれが薄らぎ休暇の終わりには離れがたく思える。そんな郷愁のような気持ち。お逢いした最初はただドキドキするのだがしばらく庭園を散策しポツリポツリとおしゃべりしているとお別れする頃には屈託なく笑っていられる。


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