イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

まどろむヘルマフロディトス

2007年02月22日 07時12分36秒 | 小説
 山藍紫姫子先生は絵葉書で、両性具有神として有名なヘルマフロディトスを見た事があるそうです。、そのヘルマフロディトスは寝そべっていたそうですから、山藍先生が見たのは、このルーヴル美術館にある《まどろむヘルマフロディトス》だと思われました。早速、「お言葉帳」(山藍先生のオフィシャル・サイトのBBS)URLを添えて確認したところ、間違いないとの事です。

 ギリシャ神話数多の愛  を交わす、全ての女性の守護神である美と愛欲の女神アフロディーテ伝令神ヘルメスの息子ヘルマフロディトスは、生まれてすぐにイデの山の洞窟で母親代わりのニンフに養育され、健やかに成長しました。15歳の或る日、イデの山を降りて旅に出たヘルマフロディトスは初めて見る国々、初めて見る風景に心躍らせながら東方を目指しました。リュキアの地を訪れた彼は、森の中を散策していて見つけた滾々と湧き出る美しい泉のほとりで憩い、何処に不埒な目があるとも限らないのに、水浴しようと無用心にも衣服を脱ぎ捨て美しい裸身を晒したのです。

 両親の麗質を受け継いだ輝くばかりの美貌と無防備な姿ニンフのサルマキス一目惚れ 彼女がサチュロスの如く欲情を滾らせて迫ったのか、それともヘルマフロディトス潔癖すぎたのか、彼は激しくサルマキスを拒絶しました。しかし、場所も相手も悪かった!サルマキス“ナイアス(複数形:ナイアデス)”と呼ばれる水のニンフで、しかもヘルマフロディトスが水浴しているのは彼女の支配する泉だったのですから。

 諦めて去ったと見せ掛けたサルマキス が木陰に潜んで様子を窺うと、すっかり安心しきったヘルマフロディトスが泉で泳ぎ始めたのでサルマキスは自分も裸になって彼に抱きついて水中に引きずり込み、慌てふためくヘルマフロディトスに蛇の如く四肢を絡みつかせて、“神々よ…どうか私の願いをお聞き届け下さい。私とヘルマフロディトスが1つになり、永遠に離れる事がありませんようにと祈り、それが“神々の中の酔狂な誰か”に聞き届けられサルマキスの体は溶け出してヘルマフロディトスに融合し、彼は男女双方の特徴を有する両性具有の体に変わってしまいました。

 不快な想いをさせられ水中に引きずり込まれ、その張本人であるサルマキスに融合され 両性具有となり我が身を呪うヘルマフロディトスはその時点では被害者でした。しかし、嘆き悲しむあまり彼は、この泉に身を浸した男は全て不能になるように と呪ってしまったのです。彼の呪いもまた聞き届けられ、その泉は《サルマキスの泉》と呼ばれ、身を浸した男はことごとく不能になったとか。

 神話を知らずにいた方が素晴らしい彫像だなァと素直に感動できますが、そのモデルとなった肝心のヘルマフロディトス八つ当たり  で他人を不幸の巻き添えにするなんて…情けない   しかし、無理もないですね。その後、男でも女でもあり、どちらでもない肉体となったヘルマフロディトス不可思議な魅惑の虜となり、不埒な所業をしでかす輩は後を絶たずでは… 誘惑の霊気を纏う母アフロディーテから、蠱惑の美を受け継いでしまったのも災いしたかも

奥方様と呼ばれて欲しい

2007年02月16日 14時57分44秒 | 小説

 兄妹とは名乗れぬマクシミリアンの愛する妹クラウディアを死に追いやったとして彼に憎まれたのがシュリルの受難の、真の愛と幸福の始まり  でした。そして肖像画か彫像のように「生きて」いなかった、それまでの自分に対する訣別でもあったのです。マクシミリアン薄幸な女性だと思い込んでいましたが、クラウディアの実態を何処までマクシミリアンは把握していたのでしょうね? クラウディアの自殺の原因は無謀な旅行を行い、夜盗集団に凌辱されて犯人達の誰かの子種を宿してしまい、夫のシュリルではなくて主君グスタフⅣ世により離縁され尼僧院へ送られようとしたからなのか、本当に自殺したのかさえ怪しい。  アメリス王家の道具として利用された薄幸な、政略結婚でも命懸けで愛したのに踏み躙られ不幸なまま命を絶った哀れな、とマクシミリアンが言う“クラウディア”は実在しなかったかもしれない。明白なのは、1人で旅行に行けば良かったのに侍女を連れていた為に、彼女達まで道連れに凌辱されてしまったのは、紛れもなくクラウディアの罪 です。

 マクシミリアンは憎しみのフィルター越し  に見た虚像シュリル実像だと思い込み、これでもかこれでもかとシュリルの心を…躰を蹂躙しました。その美貌を際立たせる豪奢な衣装を纏っていたのは主君グスタフⅣ世に命じられて仕方なくだったのに、マクシミリアン冷酷で派手好きで心が醜いと思い込み、シュリルの嗜好だと決め付けていました。しかし、そんな悪行の報いか? “目を醒ませ!”との何かの導きなのか?エレオノールの領民には慕われながらも、父には両性具有の体ゆえに殺されかけるまでに忌み嫌われ、その父に溺愛され洗脳された弟には理由もなく憎まれ、使用人達には疎まれ、心の牢獄に閉じ込められた無垢なシュリルの凍てついた哀しみに触れたマクシミリアンは知らずに深みに嵌まってしまい、シュリルを愛してしまいます。

 残念なのは  、シュリル“不完全な両性具有”だという事です。山藍先生によれば、子宮がないから受胎できない  両性具有だとか。官能小説の範疇から、はみ出る事になるからなのか、子供が生まれない設定にするなんて哀しいです。しかしながら、ラモン獣将軍(本当は「戦将軍」だけれど、ケダモノだから  「将軍」と付けるだけマシな扱いをしているつもり )は数え切れないくらい花唇男根で貫き、挙げ句はシュリル体は好き勝手できても心は自由に出来ない…その心からマクシミリアンを消せないと思い知り結婚しようとするなんて!体を奪えば心も従うと思い込み、「手に入れようとするのは征服欲」なのに、それを尽くしていると錯覚したケダモノの子種を宿す、不幸な受胎をせずに済むとは言えるでしょう。何しろ、最も妊娠の確立が高いのは、凌辱(レイプ)です。襲われた衝撃、恐怖と性的刺激が、皮肉にも妊娠に直結してしまうとか。

 それでも、私が心の中でシュリル受胎可能両性具有にと思い描くのは構わないでしょう。お互いをで満たし、次世代へと繋ぐ性行為の結果として子供を産む、その方が私はシュリル&マクシミリアンより一層の至福に得て、素敵だと思います。中世ヨーロッパを基にした架空の国々である3国(その内、ガルシア公国は名前だけ)が舞台ですから、「生産性を伴わない性愛だけの行為を蔑むなんてナンセンス! 」というモノも罷り通るのかもしれませんね。しかし、シュリル&マクシミリアンは、エレオノール&ローランドの領民だけではなくて、領民や市民、その他の誰かの為に生きている訳ではないし、繁栄や豊穣の証を示す為に生まれてきたわけでないから。

 ルーベンス  奥方様と呼ばれて欲しいと、子宮がない両性具有だと分かっても、シュリルには立ち会いがマクシミリアンを育てた執事のルーベンスしかいなくても、マクシミリアンと結婚し沢山の子供の母親になって欲しいと、いろんな小説や漫画、アニメなどを見ながら、文才はないので妄想を掻き立て心の中で描き続けています

 画像は、マクシミリアンが冷酷で派手好きで心が醜いと、看做していた彼の心の中で描かれたシュリルの虚像ピッタリ!ダンテ・ゲイブリル・ロセッティの『モンナ・ヴァンナ』です。


その想いに実体はあったのか?

2007年02月16日 14時50分55秒 | 小説

 角川書店の文庫として復活した『アレキサンドライト』で感じた疑問が幾つもありますが、その1つはシュリル処女妻にして、旅行先で暴漢に凌辱されて、その中の誰かの子を身籠り、シュリル主君であるエスドニアの国王グスタフⅣ世離縁されたクラウディア  です。

 如何に政略結婚とはいえ、愛妾を次々に娶り庶子を増産する夫であるアメリス国王の不実に激怒した王妃が、自分も宰相愛人とし“そっちがその気なら、私だって楽しんじゃえ!” 奔放な人生を選び、マクシミリアンとその妹にしてシュリル正室クラウディア兄妹として生を受けました。

 初老の執事ルーベンスに育てられたマクシミリアンは妹の事を知っていましたが、クラウディアは彼という兄を知らずに国王に可愛がられたとはいえ実はアメリス王家の血を引かぬ第4王女として育ちましたが、果たしてクラウディアマクシミリアンが思うような哀れな女性だったのでしょうか?確かに夫であるシュリルに省みられず、暴漢に凌辱され自殺しましたが、兄妹という血の繋がり故の虚像を作り、その実像とは異なる心の中に創り上げた虚像の妹を見ていたのではないかと思うのです。

 シュリルが彼女を愛していれば、こういう理由があって抱けないと告げていれば、本当にクラウディア自殺するような事にはならなかったのでしょうか?マクシミリアン唾棄し嫌悪する王族や貴族階級の輩の中で育ったクラウディアが、彼らの同類ではないと断言できない筈です。夫王が死んでも憎み続けているレティシア王妃マクシミリアン達の母であるアメリス国の王妃のような女性  になっていないという保証は何処にもないのですから。

 画像は山藍先生のオフィシャル・サイト【山藍紫姫子の世界】「イベントレポート/アレキサンドライトパーティ」に掲載されていた、白夜書房&白夜書房の耽美系が分離したコアマガジンの時に表紙&挿絵を担当した漫画家舞方ミラさん(白夜書房刊時の旧名:岸田黎子)によるシュリルイメージ・イラストです。『山藍紫姫子 両性具有の世界』にも、ピンナップとしてあります。


山藍流 愛と官能のロマンス小説

2007年02月16日 09時45分23秒 | 小説

 の、おススメ耽美・官能小説山藍紫姫子(やまあい・しきこ)先生の作品です。全ての作品が好きというワケではありませんが、素晴らしい作品がたくさんあります。私のイチオシは、この『アレキサンドライト』(画像は角川書店の文庫版白夜書房より刊行された単行本での舞方ミラさんに代わり小島文美さん)です 2番目は、『アレキサンドライト』に巡り逢う前に一番好きだった『長恨歌[上・下]』です。 文庫版の『アレキサンドライト』の欠点は素敵な表紙イラストだけれど、シュリル曰く“褐色の男”ラモンを思わせる、シュリルの頬を愛撫する濃すぎる色の手ですね。

 詳しくは山藍先生のオフィシャル・サイト【山藍紫姫子の世界】&ブログ山藍紫姫子の世界、 そして説明や山藍先生のコメント、購入した人達のコメントなど、とても参考になるAmazonn.Co.Jpを、良かったらご覧下さい  しかし、山藍先生の作品達は購入が困難な、諦めざるを得ないモノも少なからずあります。 いいなァと思って購入しようとしても、「残念ながらご注文いただけません」という無情なメッセージが目立ちます。そんな時は、Amazon.co.jpへ!Go!!


中村友也?中村正弥?(2) いいえ、中村昌弥でした

2007年02月06日 04時14分29秒 | 漫画
 中村文弥(通称:文さん)さんの息子さんの名は「友也」でも「正弥」でもなくて、正しくは「昌弥」だとの事です。 どうして、こんな事になったのでしょうね? 週刊《少年マガジン》編集部には、しっかりして欲しい。

 謝罪文脇に小さく載っていたけれど、重要な間違いなのだから、1ページ使って謝罪してもおかしくないと思う。