イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

罪を罪とも思わぬ輩-少年陰陽師編

2008年07月16日 15時54分41秒 | 小説

 他の人もそのように書いているかもしれませんが、結城光流は《少年陰陽師》シリーズの風音編で智鋪の宮司の戯言を真に受けて紅蓮(騰蛇)と晴明を父を殺し母を生きながら黄泉に堕とした仇だと思い込んだ単純馬鹿の風音が、道具として穂積諸尚を都に放ちました。諸尚は藤原一門ではなかったがゆえに頭角を現して罠に嵌められ憤死した男でした!同じ藤原の親兄弟でさえ殺し合い、罠に嵌めて己が欲望を満たす藤原なのですから、一門以外の立身出世を黙って見ている筈がない腐れ外道が揃っています。

 主人公・昌浩の加冠役を彼の祖父・晴明への恩返しに道長に願い出て後見人となった藤原行成。彼も所詮は腐れ外道揃いの藤原一門にすぎないと言えるかもしれませんね。何故なら、彼の祖父が諸尚を罠に嵌めて死に追いやった張本人なのです!それを行成が知らなかったとは信じられません。知っていながら、罪の償いに冤罪を晴らして償うとかしなかったのは所詮は我が身可愛さゆえに保身を図り祖父の罪を隠匿することを選んだからでしょう。

 昌浩も、如何に罠に嵌められた被害者とはいえ都を脅かし、生きている人間を脅かすのは悪と決め付け、諸尚の心の闇を癒して浄化するのではなくて問答無用で葬り去るなんて最低です。