・督促状に加えられたその一文には、何が書かれていたのでしょうか。じつは、単に(そして正直に)大多数の国民は納税期限までに税金を納めているという事実が書いてあっただけなのです。新しい督促状を送ったところ、・・・86%が回収されたのです。ちなみにその前年、・・・つまりたったの57%です。
・「みんながそうしている」ことが、より大きな努力を要する認識や思考にしばしば勝ってしまうという事実は、人間にとっては危険と安全の両面をもっていると言えるでしょう。
・人間に内在する単純でありながらも強力な三つの要求・・・すなわち、①なるべく効率的に正しい判断をしたいという要求、②他者とつながり承認されたいという要求、③自分のことを肯定的にとらえたいという要求です。
・二つのとても効果的な手法があるのです。
一つめは、ある状況下で広く認められた行動を強調するというやり方です。・・・もう一つ効果的なのは、数字を公表してある考えや行動の広い浸透を示すことです。
・問題となる行動に対する社会規範を最初に相手に伝えておき、その後、その規範から外れた人たちの特徴を説明すれば、メッセージの説得直が上がるということがはっきりわかります。スポーツジムが更衣室を清潔に保ちたければ、新規会員に、ほとんどの会員はタオルを床に放ったりせず洗濯カゴに入れていると教えたあと、そうしないごく少数の会員はほかの人に対する敬意に欠けていると指摘するのがいいでしょう。
・「割れ窓理論」
公営住宅や店舗の窓ガラスが一枚割れたまま放置されていると、その小さな無秩序状態が周囲に影響を及ぼし、無秩序や不適切な行いがどんどん拡散されてしまうというものです。
・落書きがない場合は、広告(ゴムバンドで自転車のハンドルに店の広告を結びつけた)を捨てていく人の割合は33%でした。一方、落書きがあると、なんとその割合が69%にもなったのです。
・ほかの人が何らかの社会規範を破ったのを見た人は、自分でもその社会規範を破りがちになるだけでなく、その社会規範と関連した別の規範を破る可能性までもが高まるということです。
・さらにこの研究が示唆するのは、比較的どうでもいいもののように思われる規範違犯の兆候を放置しておくと、それがもっと重大な違反の温床となる可能性です。
・マーケッティング学教授のA・オールスターは、「心理学が教える人生のヒント」で次のような注目すべき事実を指摘しえいます。もし、人が自分の名前の頭文字がついたハリケーンの災害募金に寄付しやすいのなら、ハリケーンの公式名称を決めている気象庁は、アメリカ人にたくさんいる名前をハリケーンにつけることで募金が集まりやすくすることができいる、といのです。
・ベストセラーになった話題作「GIVE&TAKE『与える人』こそ成功する時代」の著者で、ウォートンスクールのA・グラント教授が提唱するのは、見つけようとする共通点の種類をほんの少し変えるというやり方です。・・・新たにできたチームの面々に、積極的に特異な共通点を探すように働きかけるのは、おそらく協力、協調、そして仲間意識の形成を早める、小さくとも大きな手段でしょう。
・顧客対応を主な業務とする組織の人材育成部門であれば、新入社員を最も優秀な社員の下だけでなく、最古参の社員の下にもつけるようにすると、二種類のメリットが見込めます。新入社員が顧客とのやり取りをする貴重な経験を得られる一方、豊富な経験をもつ従業員も、何年ものつきあいがある顧客についての貴重な新しい知見を得られるでしょう。
・(保健センター)予約を取る電話をかけてきた患者さんに、日程決まると予約の詳細を復唱するように求め、それから電話を切るようにしました。・・・すっぽかしが3%減少したのです。
・小さな工夫(患者が消極的にではなく積極的に予約の設定に関わるような工夫)の効果の検証をしました。次回の診察日時を患者さんが自分でカードに記入するよう、受付担当者に頼ませたのです。・・・このやり方を採用したグループのすっぽかし率に、なんと18%もの減少が見られました。・・・節約できる金額は約216億円になります。
・人の行動を変える場合に第一に重視すべき法則は、「変更を人々の行いやすいものにする」
です。
・部下を管理する立場の人にお勧めの小さな工夫は、従業員が仕事の意義や重要性を見失いですむような何らかの手段を講じるということです。
・良い仕事をした従業員にはひとこと、「よくやってくれた」と、声をかけましょう。
・ハーバードビジネススクールのM・ベイザーマン教授は、交渉術を教える講座の第一回授業でいつも、ある面白実験をします。財布から20ドル札を取り出して、競売にかけるのです。この競売には誰でも参加できますが、守るべきルールが二つあります。入札は1ドル刻みで行わなければならず、次点の者は何ももらえないうえに、ペナルティとして最後に入札したのと同じ金額を支払わなくてはなりません。・・・入札者の数は一気に減り、最高値の入札額を争っている二人だけが残ります。本当に興味深い現象が生じるのは、ここからです。入札を続ける二人は、自覚のないまま新しい競技に巻き込まれています。今や彼らは、勝つためのではなく、負けないために入札しているのです。・・・ベイザーマンによれば、二百回以上競売を行ってきて20ドルに達する前に入札が決着したことは、ただの一度しかないそうです。ときとして落札価格は100ドルを上回ることもあり、これまでの最高記録は、なんと204ドルです!
・人々が言った通りに行動する可能性を最大化するには、「イエス」と言わせた後に、さらにいくつかの具体的な質問を行い、目指すと約束したゴールまでどうやって到達するつもりなのか、はっきりさせることを考えなくてはなりません。
・誰かの行動を変えるという課題を抱え、しかもその相手がかなり長い間その変更から生じる利益を無視しているなら、そうした相手には、将来の自分に対する義務を指摘するだけでは足りません。将来の自分の姿をみせるべきです。
・食べ過ぎや無駄遣いを減らすよう説得したいときは、罪悪感を強めたり誘因を複雑に組み合わせたりする戦略を使うよりも、将来の自分とのつながりを相手にちょっと思い出させるほうが効果的かもしれません。
・1919年、『カンザスシティ・スター』紙で風刺漫画を描いていたウォルト・ディズニーは、同紙の編集長によれば「創造性が足りなかった」ために解雇されました。
2012年、イギリスの生物学者ジョン・ガードんは、生理学と医学に対する長年にわたる類まれな貢献が評価されてノーベル賞を受賞しましたが、イートン校在籍時には、担任から通知表に「将来の夢は科学者になることのようですが、現在の成績を鑑みるに馬鹿げた話です」と書かれています。
そしてハリウッドの伝説によれば、RKOのスタジオ主任は、まだ駆け出しの映画俳優だったフレッド・アステアをスクリーンテストで不合格にし、「演技ダメ。歌ダメ。頭は禿げかけ、ダンスは少々」と評したと言われています。
幸いこうした初期の挫折があっても、彼らは自ら定めた目標を諦めずに、大きな成功へと駆け上がっていったのでした。
・目標に向かっている人に重要な影響を与える要素が、二つ示されています。
やりがいと到達可能性です。
・インフルエンザの予防接種を受ける機会を提供しました。
最初のグループは「秋のインフルエンザ予防接種を希望する場合は、チェックボックスに印をつけてください」とだけ言われました。
二つめのグループは、一つではなく二つの選択肢のどちらかを選ばせるようにしました。具体的には、次の二つの選択肢から一つを選んでもらいました。
(1)秋のインフルエンザ予防接種を希望します。
(2)秋のインフルエンザ予防接種を希望しません。
その結果、能動的に選択を行ったグループでは、予防接種を希望する割合がずっと高くなりました(42%:62)
さらに
(1)インフルエンザの罹患リスクを減らし、50ドルを節約したいので、秋の予防接種を希望します。
(2)インフルエンザの罹患リスクが増し、50ドルの節約ができなくなるとしても、秋の予防接種を希望しません。
今度は参加者の75%が、予防接種を受けると答えたのです。
・待つ間の「苛立ち」を「楽しみ」に変える。
・将来性を強調するというやり方は、履歴書に書かれた業務経験が強力な競争相手に見劣りしてしまう場合にも役立つと思われます。
・どうすれば情報が惜しげもなく提供され、効果的に交換されるようになるのでしょうか。
1)各出席者に情報提供を呼びかけてから会議を始めるというものです。
2)会議の中心人物が、常に一番最後に発言するようにするということです。
3)チェックリストの価値を認識することです。
4)会議での座席配置にほんお少し手を加えると、参加者が何に注意を払うかという点に、ある影響が出ることがわかっています。座席の配置を丸くすると、たいていの場合、参加者の帰属意識が強まります。
・社会心理学者L・ビックマンが行う地位様工夫は同じでした。要求を行う人物ではなく、その人の服装だけを変えるのです。・・・依頼者の制服が人の承諾の意思決定に及ぼす影響を、ほとんどの実験参加者がびっくりするほど低く見積もっていました。・・・その根本原理は、そう、「権威」です。権威という原理は、とりわけ確信をもてない状況下で影響力を発揮し、自分より深い知識があり、信用できると思える相手の助言や提言に従うよう、人に働きかけます。
・説得を行う際に注意すべき二つの教訓が得られます。
1)人が批判的思考と反論を行う力を手放して専門家の助言に従うことが多い以上、あなたが関連した専門知識をもっていることを早い段階で相手に知らせないのはおろかだということです。
2)自分の組織で、情報の受け手とやり取りするかもしれないほかの仲間たちの信頼性についても、何らかの手段を講じてはっきりさせておくべきです。
・(レストランでのチップの量に影響;勘定書の上に置くプレートの形)
プレートの形は三種類用意されていました。円形、四角形、そしてハート型です。プレートがハート型だと、円形だった場合より17%、四角形だった場合より15%、チップが多くなりました。・・・研究者たちの考えによると、愛と結びつくシンボル-今回の実験で言えばハート型のプレート-にさらされると、人間はそれを合図に愛と結びつく行動を起こします。
・同僚から何かの案件への協力を頼まれた場合にそれを引き受ければ、将来自分にとって重要な案件で協力を頼むときには、引き受けてもらえる確率がぐっと高まるわけです。・・・ほかの人に手を貸す人の社会的地位いと生産性とを同時に上げる、一つの小さな要因が判明したのです。それは新設を行った回数ではなく、親切の交換を行った回数でした。
1)仕事では自分から気前良く援助の手を差し伸べるべきだということです。
2)援助や協力したり情報の提供をしたりするときには、将来的にそれがしっかりと報いられる見込みを高めるやり方で特徴づけておくことが大切です。
3)その親切や情報やサービスが、至極当然の公平で互恵的なルールの一部なのだと、はkっきりと言葉で示すことです。
・実験参加者に電子メールを送り、学生が就職活動用に書いた送り状をある程度の時間をかけてチェックし、書いた本人に読んだ感想を送ってほしいと頼みました。参加者は言われた作業を終えた後に、送り状を書いた学生から別の送り状を読んでほしいという第二の依頼を受け取りました。・・・一点だけ違いがあり、感謝の気持ちがはっきりと記されていたのです。・・・なんと、感謝の念をはっきりと示した場合には、新しい依頼に対する承諾率が二倍以上も高くなることがわかりました。
・管理職や組織がはっきりとした感謝を津輝機会を積極的に探せば、そこから利益を得られるということです。
・スティール師は、教会のお金を手放すことにしたのです。牧師は信徒に配った10ポンドは利益が見込めそうなものであれば何に使ってもらってもかまわないが、将来利益が出た場合には、できたらその儲けを協会に戻してほしいと語りました。
ほかの人にまず資金を提供すると、影響力を行使する際の根本原理の一つ-返報性-が作動します。
鍵となるその要素とは、意外性です。・・・レストランのウェイトレスが食事客に伝票を渡す際に、それぞれ一つずつキャンディーをつけて渡すと受け取るチップの金額がわずかばかり(3.3%)増えるという結果が出ました。渡すキャンディーを二つにすると、チップはもっと増えました(14.1%)。
結果と言えば、スティール師が最初に行った550ポンドの投資はどうなったのでしょうか。・・・10ポンドをもらったほぼ全員が、そのお金を有効に利用していました。・・・信徒たちに行った先行投資は、1万ポンド(約180万円)つまり、元本の20倍近い利益を上げていたのです!
・助けが必要なとき、助けを求めればよい!
・最初の提示が交渉を制する。
・最初の提示額に端数を入れる。
・「二週間で返事をください」ではなく、「13日で返事をください」と指示した方が、遅れずに返事が戻ってくると考えられます。
・募金活動を行う団体が、寄付をしてくれる人数と一人当たりの寄付金額の両方を増やすのに使える方法の一つは、支援を必要とする人の個性がはっきりするような具体的な特徴-その人の年齢、性別、あるいは髪の色でもかまいません-に、人々の意識を向けさせることです。呼びかけの早い段階で、こうした細かな、それでいて大変重要な情報を出せば、人々の意識は危険にさらされている人の生命に向きます。その命の価値をより重く感じるようになります。
・二つ目のグループが読んだ文章は、これにもう一つ、こんな一文が付け足されていました。
「集まった寄付は、たとえば、人々がきれいな水を利用できるようにするのに使われます」
三つ目のグループが読んだ文面な「きれいな」が「ペットボトル」に変えられていました。二つめのグループでは、その金額が37%も多かったのです。ペットボトルと書いたのは、何も書かなかったグループよりも、さらに少なかったのです。
結論としては、何かの目標を達成するために人を説得して資源を提供させる場合は必ず、「その資源をどのような相手に使うのか」を識別可能にする特徴と、「その資源で何をするのか」を識別可能にする特徴の両方に、説得する相手の意識を向けさせるべきなのです。
・他人の失敗から学ぶ成功への大きな一歩
・C・マンガ―は世界的な投資家ウォーレン・パフェットの参謀
「愚かな行動のリストを見直します」
1)「耳を傾け、そこから学び、利用するのは、肯定的な情報よりも否定的な情報であることのほうがずっと多い」
2)否定的な情報はより記憶に残りやすく、たいていの場合は意思決定に重要な役割を果たすからです。
3)その愚かな行動のリストにずらりと並ぶのはほかの誰かが犯した失敗なので、それらが間違いなく失敗だと判断するのが非常に簡単だからです。
ビジネスで正しい行動を導く小さな工夫の一つは、ほかの人の誤った行動のカタログをいつでも利用できるようにしておくことである。
・エラー・マネジメント・トレーニングに欠かせない要素
1)訓練の受講者に「学ぶべき」作業を積極的に行わせて間違いと遭遇させ、いつどのようにして間違いが起こるのかを学ばせることです。
2)間違いを犯したときどう反応するのが心理学的に最善なのかを受講者に指導し、失敗を学びの機会ととらえることです。
「間違いを犯すのは学習段階では当然です」
「間違いを犯した分だけ学ぶことができます」
「間違いからどんなことを学ぶ余地が残っているかがわかります」
・メールの書き方ひとつで変わる交渉結果
・電子メールを交換し始めたときに、笑える漫画を送られた人は、最初の提示額を相手の受け入れ可能な範囲に収める見込みが二倍以上になることがわかりました。
1分余計に時間をかけてでも、最初に送る電子メール交換を温かみのあるものにするのは大切だと考えられます。
感想;
ビジネス書ですが、人間関係のコミュニケーションを円滑にそして自分が希望するような結果に少しでも導くためのノウハウが詰まっているように思いました。
一つでも実践できると大きな成果が得られるように思いました。
・「みんながそうしている」ことが、より大きな努力を要する認識や思考にしばしば勝ってしまうという事実は、人間にとっては危険と安全の両面をもっていると言えるでしょう。
・人間に内在する単純でありながらも強力な三つの要求・・・すなわち、①なるべく効率的に正しい判断をしたいという要求、②他者とつながり承認されたいという要求、③自分のことを肯定的にとらえたいという要求です。
・二つのとても効果的な手法があるのです。
一つめは、ある状況下で広く認められた行動を強調するというやり方です。・・・もう一つ効果的なのは、数字を公表してある考えや行動の広い浸透を示すことです。
・問題となる行動に対する社会規範を最初に相手に伝えておき、その後、その規範から外れた人たちの特徴を説明すれば、メッセージの説得直が上がるということがはっきりわかります。スポーツジムが更衣室を清潔に保ちたければ、新規会員に、ほとんどの会員はタオルを床に放ったりせず洗濯カゴに入れていると教えたあと、そうしないごく少数の会員はほかの人に対する敬意に欠けていると指摘するのがいいでしょう。
・「割れ窓理論」
公営住宅や店舗の窓ガラスが一枚割れたまま放置されていると、その小さな無秩序状態が周囲に影響を及ぼし、無秩序や不適切な行いがどんどん拡散されてしまうというものです。
・落書きがない場合は、広告(ゴムバンドで自転車のハンドルに店の広告を結びつけた)を捨てていく人の割合は33%でした。一方、落書きがあると、なんとその割合が69%にもなったのです。
・ほかの人が何らかの社会規範を破ったのを見た人は、自分でもその社会規範を破りがちになるだけでなく、その社会規範と関連した別の規範を破る可能性までもが高まるということです。
・さらにこの研究が示唆するのは、比較的どうでもいいもののように思われる規範違犯の兆候を放置しておくと、それがもっと重大な違反の温床となる可能性です。
・マーケッティング学教授のA・オールスターは、「心理学が教える人生のヒント」で次のような注目すべき事実を指摘しえいます。もし、人が自分の名前の頭文字がついたハリケーンの災害募金に寄付しやすいのなら、ハリケーンの公式名称を決めている気象庁は、アメリカ人にたくさんいる名前をハリケーンにつけることで募金が集まりやすくすることができいる、といのです。
・ベストセラーになった話題作「GIVE&TAKE『与える人』こそ成功する時代」の著者で、ウォートンスクールのA・グラント教授が提唱するのは、見つけようとする共通点の種類をほんの少し変えるというやり方です。・・・新たにできたチームの面々に、積極的に特異な共通点を探すように働きかけるのは、おそらく協力、協調、そして仲間意識の形成を早める、小さくとも大きな手段でしょう。
・顧客対応を主な業務とする組織の人材育成部門であれば、新入社員を最も優秀な社員の下だけでなく、最古参の社員の下にもつけるようにすると、二種類のメリットが見込めます。新入社員が顧客とのやり取りをする貴重な経験を得られる一方、豊富な経験をもつ従業員も、何年ものつきあいがある顧客についての貴重な新しい知見を得られるでしょう。
・(保健センター)予約を取る電話をかけてきた患者さんに、日程決まると予約の詳細を復唱するように求め、それから電話を切るようにしました。・・・すっぽかしが3%減少したのです。
・小さな工夫(患者が消極的にではなく積極的に予約の設定に関わるような工夫)の効果の検証をしました。次回の診察日時を患者さんが自分でカードに記入するよう、受付担当者に頼ませたのです。・・・このやり方を採用したグループのすっぽかし率に、なんと18%もの減少が見られました。・・・節約できる金額は約216億円になります。
・人の行動を変える場合に第一に重視すべき法則は、「変更を人々の行いやすいものにする」
です。
・部下を管理する立場の人にお勧めの小さな工夫は、従業員が仕事の意義や重要性を見失いですむような何らかの手段を講じるということです。
・良い仕事をした従業員にはひとこと、「よくやってくれた」と、声をかけましょう。
・ハーバードビジネススクールのM・ベイザーマン教授は、交渉術を教える講座の第一回授業でいつも、ある面白実験をします。財布から20ドル札を取り出して、競売にかけるのです。この競売には誰でも参加できますが、守るべきルールが二つあります。入札は1ドル刻みで行わなければならず、次点の者は何ももらえないうえに、ペナルティとして最後に入札したのと同じ金額を支払わなくてはなりません。・・・入札者の数は一気に減り、最高値の入札額を争っている二人だけが残ります。本当に興味深い現象が生じるのは、ここからです。入札を続ける二人は、自覚のないまま新しい競技に巻き込まれています。今や彼らは、勝つためのではなく、負けないために入札しているのです。・・・ベイザーマンによれば、二百回以上競売を行ってきて20ドルに達する前に入札が決着したことは、ただの一度しかないそうです。ときとして落札価格は100ドルを上回ることもあり、これまでの最高記録は、なんと204ドルです!
・人々が言った通りに行動する可能性を最大化するには、「イエス」と言わせた後に、さらにいくつかの具体的な質問を行い、目指すと約束したゴールまでどうやって到達するつもりなのか、はっきりさせることを考えなくてはなりません。
・誰かの行動を変えるという課題を抱え、しかもその相手がかなり長い間その変更から生じる利益を無視しているなら、そうした相手には、将来の自分に対する義務を指摘するだけでは足りません。将来の自分の姿をみせるべきです。
・食べ過ぎや無駄遣いを減らすよう説得したいときは、罪悪感を強めたり誘因を複雑に組み合わせたりする戦略を使うよりも、将来の自分とのつながりを相手にちょっと思い出させるほうが効果的かもしれません。
・1919年、『カンザスシティ・スター』紙で風刺漫画を描いていたウォルト・ディズニーは、同紙の編集長によれば「創造性が足りなかった」ために解雇されました。
2012年、イギリスの生物学者ジョン・ガードんは、生理学と医学に対する長年にわたる類まれな貢献が評価されてノーベル賞を受賞しましたが、イートン校在籍時には、担任から通知表に「将来の夢は科学者になることのようですが、現在の成績を鑑みるに馬鹿げた話です」と書かれています。
そしてハリウッドの伝説によれば、RKOのスタジオ主任は、まだ駆け出しの映画俳優だったフレッド・アステアをスクリーンテストで不合格にし、「演技ダメ。歌ダメ。頭は禿げかけ、ダンスは少々」と評したと言われています。
幸いこうした初期の挫折があっても、彼らは自ら定めた目標を諦めずに、大きな成功へと駆け上がっていったのでした。
・目標に向かっている人に重要な影響を与える要素が、二つ示されています。
やりがいと到達可能性です。
・インフルエンザの予防接種を受ける機会を提供しました。
最初のグループは「秋のインフルエンザ予防接種を希望する場合は、チェックボックスに印をつけてください」とだけ言われました。
二つめのグループは、一つではなく二つの選択肢のどちらかを選ばせるようにしました。具体的には、次の二つの選択肢から一つを選んでもらいました。
(1)秋のインフルエンザ予防接種を希望します。
(2)秋のインフルエンザ予防接種を希望しません。
その結果、能動的に選択を行ったグループでは、予防接種を希望する割合がずっと高くなりました(42%:62)
さらに
(1)インフルエンザの罹患リスクを減らし、50ドルを節約したいので、秋の予防接種を希望します。
(2)インフルエンザの罹患リスクが増し、50ドルの節約ができなくなるとしても、秋の予防接種を希望しません。
今度は参加者の75%が、予防接種を受けると答えたのです。
・待つ間の「苛立ち」を「楽しみ」に変える。
・将来性を強調するというやり方は、履歴書に書かれた業務経験が強力な競争相手に見劣りしてしまう場合にも役立つと思われます。
・どうすれば情報が惜しげもなく提供され、効果的に交換されるようになるのでしょうか。
1)各出席者に情報提供を呼びかけてから会議を始めるというものです。
2)会議の中心人物が、常に一番最後に発言するようにするということです。
3)チェックリストの価値を認識することです。
4)会議での座席配置にほんお少し手を加えると、参加者が何に注意を払うかという点に、ある影響が出ることがわかっています。座席の配置を丸くすると、たいていの場合、参加者の帰属意識が強まります。
・社会心理学者L・ビックマンが行う地位様工夫は同じでした。要求を行う人物ではなく、その人の服装だけを変えるのです。・・・依頼者の制服が人の承諾の意思決定に及ぼす影響を、ほとんどの実験参加者がびっくりするほど低く見積もっていました。・・・その根本原理は、そう、「権威」です。権威という原理は、とりわけ確信をもてない状況下で影響力を発揮し、自分より深い知識があり、信用できると思える相手の助言や提言に従うよう、人に働きかけます。
・説得を行う際に注意すべき二つの教訓が得られます。
1)人が批判的思考と反論を行う力を手放して専門家の助言に従うことが多い以上、あなたが関連した専門知識をもっていることを早い段階で相手に知らせないのはおろかだということです。
2)自分の組織で、情報の受け手とやり取りするかもしれないほかの仲間たちの信頼性についても、何らかの手段を講じてはっきりさせておくべきです。
・(レストランでのチップの量に影響;勘定書の上に置くプレートの形)
プレートの形は三種類用意されていました。円形、四角形、そしてハート型です。プレートがハート型だと、円形だった場合より17%、四角形だった場合より15%、チップが多くなりました。・・・研究者たちの考えによると、愛と結びつくシンボル-今回の実験で言えばハート型のプレート-にさらされると、人間はそれを合図に愛と結びつく行動を起こします。
・同僚から何かの案件への協力を頼まれた場合にそれを引き受ければ、将来自分にとって重要な案件で協力を頼むときには、引き受けてもらえる確率がぐっと高まるわけです。・・・ほかの人に手を貸す人の社会的地位いと生産性とを同時に上げる、一つの小さな要因が判明したのです。それは新設を行った回数ではなく、親切の交換を行った回数でした。
1)仕事では自分から気前良く援助の手を差し伸べるべきだということです。
2)援助や協力したり情報の提供をしたりするときには、将来的にそれがしっかりと報いられる見込みを高めるやり方で特徴づけておくことが大切です。
3)その親切や情報やサービスが、至極当然の公平で互恵的なルールの一部なのだと、はkっきりと言葉で示すことです。
・実験参加者に電子メールを送り、学生が就職活動用に書いた送り状をある程度の時間をかけてチェックし、書いた本人に読んだ感想を送ってほしいと頼みました。参加者は言われた作業を終えた後に、送り状を書いた学生から別の送り状を読んでほしいという第二の依頼を受け取りました。・・・一点だけ違いがあり、感謝の気持ちがはっきりと記されていたのです。・・・なんと、感謝の念をはっきりと示した場合には、新しい依頼に対する承諾率が二倍以上も高くなることがわかりました。
・管理職や組織がはっきりとした感謝を津輝機会を積極的に探せば、そこから利益を得られるということです。
・スティール師は、教会のお金を手放すことにしたのです。牧師は信徒に配った10ポンドは利益が見込めそうなものであれば何に使ってもらってもかまわないが、将来利益が出た場合には、できたらその儲けを協会に戻してほしいと語りました。
ほかの人にまず資金を提供すると、影響力を行使する際の根本原理の一つ-返報性-が作動します。
鍵となるその要素とは、意外性です。・・・レストランのウェイトレスが食事客に伝票を渡す際に、それぞれ一つずつキャンディーをつけて渡すと受け取るチップの金額がわずかばかり(3.3%)増えるという結果が出ました。渡すキャンディーを二つにすると、チップはもっと増えました(14.1%)。
結果と言えば、スティール師が最初に行った550ポンドの投資はどうなったのでしょうか。・・・10ポンドをもらったほぼ全員が、そのお金を有効に利用していました。・・・信徒たちに行った先行投資は、1万ポンド(約180万円)つまり、元本の20倍近い利益を上げていたのです!
・助けが必要なとき、助けを求めればよい!
・最初の提示が交渉を制する。
・最初の提示額に端数を入れる。
・「二週間で返事をください」ではなく、「13日で返事をください」と指示した方が、遅れずに返事が戻ってくると考えられます。
・募金活動を行う団体が、寄付をしてくれる人数と一人当たりの寄付金額の両方を増やすのに使える方法の一つは、支援を必要とする人の個性がはっきりするような具体的な特徴-その人の年齢、性別、あるいは髪の色でもかまいません-に、人々の意識を向けさせることです。呼びかけの早い段階で、こうした細かな、それでいて大変重要な情報を出せば、人々の意識は危険にさらされている人の生命に向きます。その命の価値をより重く感じるようになります。
・二つ目のグループが読んだ文章は、これにもう一つ、こんな一文が付け足されていました。
「集まった寄付は、たとえば、人々がきれいな水を利用できるようにするのに使われます」
三つ目のグループが読んだ文面な「きれいな」が「ペットボトル」に変えられていました。二つめのグループでは、その金額が37%も多かったのです。ペットボトルと書いたのは、何も書かなかったグループよりも、さらに少なかったのです。
結論としては、何かの目標を達成するために人を説得して資源を提供させる場合は必ず、「その資源をどのような相手に使うのか」を識別可能にする特徴と、「その資源で何をするのか」を識別可能にする特徴の両方に、説得する相手の意識を向けさせるべきなのです。
・他人の失敗から学ぶ成功への大きな一歩
・C・マンガ―は世界的な投資家ウォーレン・パフェットの参謀
「愚かな行動のリストを見直します」
1)「耳を傾け、そこから学び、利用するのは、肯定的な情報よりも否定的な情報であることのほうがずっと多い」
2)否定的な情報はより記憶に残りやすく、たいていの場合は意思決定に重要な役割を果たすからです。
3)その愚かな行動のリストにずらりと並ぶのはほかの誰かが犯した失敗なので、それらが間違いなく失敗だと判断するのが非常に簡単だからです。
ビジネスで正しい行動を導く小さな工夫の一つは、ほかの人の誤った行動のカタログをいつでも利用できるようにしておくことである。
・エラー・マネジメント・トレーニングに欠かせない要素
1)訓練の受講者に「学ぶべき」作業を積極的に行わせて間違いと遭遇させ、いつどのようにして間違いが起こるのかを学ばせることです。
2)間違いを犯したときどう反応するのが心理学的に最善なのかを受講者に指導し、失敗を学びの機会ととらえることです。
「間違いを犯すのは学習段階では当然です」
「間違いを犯した分だけ学ぶことができます」
「間違いからどんなことを学ぶ余地が残っているかがわかります」
・メールの書き方ひとつで変わる交渉結果
・電子メールを交換し始めたときに、笑える漫画を送られた人は、最初の提示額を相手の受け入れ可能な範囲に収める見込みが二倍以上になることがわかりました。
1分余計に時間をかけてでも、最初に送る電子メール交換を温かみのあるものにするのは大切だと考えられます。
感想;
ビジネス書ですが、人間関係のコミュニケーションを円滑にそして自分が希望するような結果に少しでも導くためのノウハウが詰まっているように思いました。
一つでも実践できると大きな成果が得られるように思いました。
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