製品回収が多いです。製品回収の理由は次のように分類することができます。
① 承認書齟齬&業更新不備などのレギュレーション違反
② GMP不正
③ GMP不備(GMP適合性調査&無通告査察)
④ 安定性モニタリング不適合などの本当の品質の問題
⑤ 健康被害リスクがある異種品コンタミ(健康被害につながる表示間違い含む)
⑥ 異物(虫・毛髪・金属など)コンタミ
⑦ ラベル無しなどの製造上の問題
⑧ 健康被害につながらない表示間違い
⑨ NDMAなど発がん性物質のコンタミ
従来は①と③での製品回収はありませんでした。承認書に製造方法など記載させたために齟齬が生まれました。そしてちょっとした齟齬で回収させている(基本は自主回収)ので齟齬での回収が増えています。
GMP適合性調査での不備があっても過去は「改善してくださいね」⇒「このように改善します」で終わっていましたが、今は回収になっています。
本来品質に問題なければ、承認書齟齬などでの回収をかけなくてもよいのではないでしょうか?
和歌山県の山本化学のアセトアミノフェンでは、中国産のアセトアミノフェンを混ぜていました。
ところがこの中国産は
①MFにも記載がありません。
②GMPの製造指図記録には中国産アセトアミノフェンを使っているとの記載がなく、偽造・偽証です。
③かつ製造販売承認書にも中国産のアセトアミノフェンを使うとの記載がなく、承認書違反です。
和歌山県がや山本化学に業務停止、改善命令を出しています。しかし、問題のあるアセトアミノフェンを使った製品の回収はなく、かつ問題のあるアセトアミノフェンを使った製造販売会社に改善命令などありませんでした。
その理由は山本化学工業のアセトアミノフェンは7割のシェアを持っていたからです。
つまり、欠品になる場合は製品回収をせず、欠品にならない場合は製品回収をさせているのです。
通常、違反した原薬を使って製剤を製造することは違反行為になりますが、在庫の原薬を使わないと欠品になるので、使って良いとしました(事務連絡は、「正しく受入検査をして正しく製造して、正しく出荷試験をする」を行えばよい)。
違反した在庫の原薬は品質に問題がないことを言うために、「日本薬局方の試験をして適合した」とのことで「品質は問題ない」としました。GMPは試験だけでなく、GMPに基づいて製造・試験など行って初めて「品質は問題ない」と言えるのです。つまりGMP無視を監麻課が自ら言わざるを得なかったのです。
今の製品回収の大きな一つの理由は、
「製造販売書に詳細な製造方法を記載させた」
「軽微変更という後出しジャンケン制度というルールを作った」
「ちょっとした承認書との齟齬で回収をさせている」
からです。
つまり、品質に貢献しないルールを作って欠品を増やしただけでなく、品質に貢献しない仕事を増やし、そのためにそれを死守するために現場に負担を増やしているのです。
小林化工の健康被害は、ひょっとしたら、その新しいルールを課さなければ起きなかったかもしれません。
守るために最初承認書通り計量しプリントアウトして、その後に追加計量するなど、製造販売承認書通りの記録に意図的にしていたのです。
医薬品製造所にも製造販売会社にも問題がありますが、ルールを作った当局の責任も大きいように思います。ところが医薬品欠品ではこのことを言っている人がいないというより、言えないのかもしれません。
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