ポーランドからの報告

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ポーランド人の姓 ②

2007年02月20日 | 雑学

ポーランド人の姓の続きです。

ポーランドでは、名字を改姓する人が多いと上の記事で書きましたが、②の「非ポーランド的な姓」ケースはとくに第二次世界大戦終戦直後から1950年代にかけて頻繁に見られました。もっともこれに関しては、戦時中ドイツ語名を占領当局に強制されたポーランド人がもとの名前に戻しただけという事例も含まれています。一方ユダヤ系住民に関しては、現在多くがポーランド系の姓へと改姓していることが知られています。ポーランドでは、過去の不幸な歴史から、他人の出生に関してユダヤ系かどうかを勘ぐる人がいまだに少なくなく、ユダヤ系の姓は聞いてすぐユダヤ系とわかることから、それを理由とした改姓の件数は多くなっています。とはいえユダヤ系住民が改姓していることは広く知れ渡っており、中には「あの人は改姓したけれども改姓前は~さんだったからユダヤ人だ。」などと意地悪いことをいう人もいます。

③の「ファーストネームと間違える可能性のある姓」のケースは、①②のケース、に比べ、最も改姓が認められにくいということです。マレック・ユレック(Marek Jurek)という有名な政治家がいますが、この人の名字ユレックは、ポーランドに頻繁にあるファーストネーム、イェジJerzyの愛称形ユレック(Jurek)とまったく発音が一緒で、いつも紛らわしいなと思っていたのですが、本人は気にしていないのでしょうか。

一般にポーランドでは「~スキ」型の姓は他の姓に比べてよりよい、と考えられているふしがあり「~スキ」型に改姓する人が多いようです。一方で興味深いことにアメリカ・カナダなどに多く住むポーランド系住民の間では、「~スキ」型の名前はあまり好まれていなく、逆に「~スキ」型の姓から改姓する人が多いのです。ある調査によると、ポーランド系米国人の半数以上が「より英語的な姓」を望んだとのこと。実際北米の都市デトロイトには約30万人のポーランド系住民がいますが、このうち毎年3000人が改姓しているそうです。これはユダヤ系についで高い数字です。ちなみにポーランドでは「~スキ」型の姓は女性では「スカ」と語尾変化しますが、海外では「スカ」とはならず「~スキ」のままです。これは「スカ」は夫の姓の女性形という扱いになり、日本を始め世界の多くの国では原則認められていないからです(認められるのは夫の姓または妻の姓のみ)。「~スキ」型の姓は、14世紀前半にさかのぼるまでの長い歴史を持ち、かつては社会上層部とのつながりを示す高貴な姓でしたが、その後一般化し、今日では社会的地位や背景とはとくに関係はないそうです。

ところでアネクドート好きなポーランド人ですが、名前に関しても、こんなアネクドートがあります。

名前を変える役所にて:
A 「ピョートルスキさん、あなたはユダヤ人のようだが名前は十分ポーランド人風じゃないか、どうして名前を変える必要があるんだい?」
B 「改姓前の名前は何か、と尋ねれらた時に、どうどうと答えられるようにだよ。」


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