旅のウンチク

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海外ツーリングに必要な知識や経験

2017年02月25日 | 海外ツーリング
 旅をするのに特に資格が必要なわけではありませんが、少し込み入った旅をしようとしたらやはりそれなりの知識と経験が必要となってきます。

 海外ツーリングを考えた場合、一般的に考えて日本国内で充分なツーリングの経験を積んだ人が次のステップとして海外ツーリングに出かけるものだと思いますし、手配する側の私としても、正直な気持ちとしてそうあるべきだと思っています。

 お問い合わせをいただくお客様の中にはご自身のバイク歴を書き綴って、”こういう経歴で海外をツーリングできるでしょうか。”というご質問をいただくことがありますが、必要なのは経歴よりも経験です。

 バイク歴が浅くてもその間に密度の高い経験を積んでいる人もおられますし、何年もバイクに”乗せられている”だけの人もいますから、経歴だけでは一概に判断できません。

 必要な経験とは上手くいかなくなることをイメージできるだけの経験。つまり、日本でツーリングしている時にいかにうまくいかない経験をした事があるかに関わってきます。

 予定していた道路が通行止めになる、転倒してクラッチレバーやブレーキレバーを折ってしまう、クラッチケーブル(今は油圧の車両も多いですが)が切れる、パンクする、エンジンがかからなくなる、自分が病気や怪我で予定通り動けなくなる....などなど。今パッと考えただけでマズい状況はどんどん浮かんできます。

 但し、考えてみてほしいのは上記全て日本でツーリングしている際にも起こることであって、ある程度の経験があるツーリングライダーなら対策している事です。ツーリングに出かけるならパンク修理キット、左右のレバーのスペア、スパークプラグのスペア、そしてガムテープと針金くらいは積んでいくでしょうし、ロングツーリングならチェーンのコマやスペアケーブルを用意するかもしれません。
 
 ”ロードサービス任せ”という選択肢もあります。もしかすると今のツーリングライダーにはそういう人も多いのかもしれません。レンタルバイクの場合、日本からスペアパーツを持っていくわけにもいかないので、かなりの部分、”ロードサービス任せ”になります。

 その場合、考えておくべき事は日本と違って、ロードサービスのレッカーは100kmの彼方からやってくる事。かなりの時間をロスします。

 たとえば、昼食を食べて一休みしたあと出発しようとしたらエンジンが掛からないというトラブルに見舞われた場合、ロードサービスに慣れな英語で自分のよく判らない現在位置を知らせて100km彼方からレッカーが来るのに軽く2時間位はかかります。ピックアップされるのは夕方。ショップまでまた100kmあって、その日の修理は断られるでしょう。

 経験のあるライダーなら燃料のチェックやプラグに火花が飛んでいるかチェックしたり、メインスイッチやキルスイッチの接触をチェックして原因を探ることができるでしょう。レンタルバイクだからスペアパーツを積んでいなかったとしても、例えば、スパークプラグが原因なら、通りかかった車にお願いして便乗させてもらって最寄りのガソリンスタンドで手に入れる事ができるかもしれません。

 所要時間に差が出ますが、どちらのパターンでもトラブルの解決はできます。大抵の国のレンタルバイクはロードサービスを付帯していますので、前者でも大丈夫スケジュールは狂うでしょうがツーリングはできます。

 ただし、大抵の国のレンタルバイクショップ、及び私、そして大抵の国のライダーにとって、海外ツーリングをするライダーというのは後者に位置するとみなされている厳しい現実も知っておくべきでしょう。

 ”レンタルバイクがトラブルを起こしてひどい目にあった”という話はバイク経験が浅い事を表明してしまうようなものなので自重したほうが良いでしょう。かっこ悪い。

 ”レンタルバイクがトラブルにあって、バイクショップに連絡したけれど何もしてくれなくてひどい目にあった”というのは話としてギリギリ成立します。

 私の友人、知人で海外ツーリングの経験が豊富なライダーの中には、はじめて海外ツーリングに出かける前に何らかの形でバイクショップにお世話になって、数ヶ月かけて修理の技術を教えて貰った人はざらにいます。もちろん私もその1人。

 レンタルバイクでの海外ツーリングは手軽ではありますが、運転を誤れば転びますし、転べば壊れる。そうでなくてもたまにはトラブルに合う事もあります。レンタルバイクだからといって”手軽に海外ツーリングを楽しめる”わけではありません。

 トラブルに見舞われた時、そこからリカバリーするのは能力次第。”運が悪かった”とか、”ひどい目にあった”などと嘆いていても解決することはありません。だから、出発までに、マシンのトラブルだけでなく様々なトラブルに対処できるように知識や技術を高めておく事が大切です。
 
 その知識や技術が今回のツーリングでは無駄になったとしても、その後のバイクライフにはきっと役に立ちますし、実は出発までのそういった準備や、そこで出会った人達も含めて全てが大きな意味で旅の構成要素となるものなのです。

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