旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

巡航性能

2013年07月30日 | 海外ツーリング
 昨日、巡航という事に少し触れたのでもう少し掘り下げてみましょう。と言っても海外ツーリングを目指す人たちにとっては多分当たり前の話になると思いますが言葉にしてみるといい確認になるかもしれません。

 車やバイクを運転するという観点だけから”巡航ペース”について考えてみると、私の場合、まず、気持ちよくエンジンが回っていて、自分が危険を覚えるほどの速度でもなく、その気になればまだ加速できて、なおかつあまりスロットルに敏感に反応しない領域を探りながら運転しています。たとえばスーパーカブで旅するタイ北部で利用する100ccのカブの場合、おそらく95km/h位の速度は出せるのですが、そうすると操縦性の面で不安を感じるのと、エンジン音が煩すぎ、エンジンの振動も大きくて”気持ちよくエンジンが回っている”からは程遠いので70km/h~80km/hで走る事になります。もちろん、この速度だとハイウェイに出ると後続車に抜かれっぱなしになりますが、ちゃんと道を譲って走る事を意識していれば別にストレスを感じることはありません。

 この点、”ヨーロッパを走るから排気量が大きくないと危険”とか考えている人はもう一考してください。海外ツーリングに際しては遅い乗り物は早い乗り物に道を譲っていれば別に問題ありません。道を譲っても後ろにぴったりくっついて煽ったりするのは日本の独特の文化と言えます。
 
 私の車はバイクを運ぶための古いタウンエースですが、床までアクセルを踏めば平地なら140km/hは出ます。この領域でもそれなりに安定した操縦性を発揮します。でも、そこからはもう加速は効きませんし、第一車内がうるさくて会話もできません。だから結論、高速道路では100km/h前後で巡航して、前方に90km/hとかそれ以下で走っている車両があった時だけ会話を中断し、追い越し車線に出て140km/hを使うという具合。この車、実はとてもよくできていて、高速道路では5速で上記のイメージ。下道では4速で60km/h~65km/hでやはり同じ”巡航”の条件をクリアするので自動的にある程度順法運転できてしまう優れもの。オートマチック車よりずっと便利。

 レンタカーを借りた場合など、もっと速い車に乗る事がありますが、この場合、自制心の無い(と言ってもスピード狂でもありませんが)私は、やっぱりその車の”気持ち良くエンジンが回って....”なところで走ってしまう傾向にあり、時々スピードメーターを見てはペースを落とすという事になり、オービスや覆面パトカーの存在がストレスになって疲れてしまいます。

 その点、ちゃんとスピードメーターを見ながら調整してオーバーパワーの車やバイクを自制心でコントロールしながら走れる人は尊敬に値しますね。私にはとてもできません。

 20代の頃に一瞬、4気筒400ccのロードバイクに乗ったことがありますが、やはり私には完全にオーバーパワーで実際、あまり大きくはありませんが事故も起こしました。ある日信号待ちから発進して”気持ちよく”エンジンを回して2速に入れた所で何気なくスピードメーターを見ると80km/h。このバイクは私には扱いきれないと感じて手放してしまいました。

 今、排気量だけで言えば650ccのより大きなものに乗っていますが短気筒のオフロードツアラー。高速道路で全開にして165km/h位です。このバイクの場合、トップギアで80km/h以下だと少しギクシャクしたり、エンジンの鼓動がはっきりしすぎて振動が多くなりますので、やはり100km/h~120km/h位が私の求める快適巡航ゾーンとなり、日本の高速道路を走っていて徒に免許を失う危険を冒すこともありませんし、イライラするほど遅いわけでもなく、なんとなく自分の感覚と上手くマッチしている乗り物でなかなか他に乗り換える事ができません。私にとってはおそらくこれが”上限”の乗り物で、これ以上速いバイクに乗ると、免許を失ったり、命を失ったりするんだろうと思っています。

 快適に巡航できる領域が自分の感性にぴったり合った乗り物と出会う事はなかなか難しい事なのかもしれません。こと、この性能はエンジン性能だけでなく、トランスミッションや車体やサスペンション等の全体が作り出す”性能”なので、カタログデータからは読み取る事ができません。でも、長距離を走る時に”なんだか疲れるバイク”と”楽なバイク”の違いは私は確実に”巡航性能”が自分の感じ方に近いかどうかにかかわっていると思います。だから、そういう観点でどのバイクや車に乗るか、どんなバイクを借りるかを考えてみるのも良いのではないでしょうか。


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