もう随分昔の話となってしまいましたが、以前取り扱っていたオーストラリアのオフロードファンライドでのお話です。
ニューサウスウェールズ州北部、クイーンズランド州との州境にほど近い、インバレルという田舎町を発着点としていたこのツアーの鬼門はシドニーからインバレルへの国内線のフライト。私が手配をかけた時点ではインバレルへのダイレクトフライトだったのに、乗ってみたらタムワースで1ストップ入ったりするようなフライトで、どちらかというと長距離バス的なフライトなのです。しかも、シドニーのキングフォードスミス空港は国際線から国内線への移動手段が少しわかりにくいのです。
カンタス航空で到着してカンタス航空の国内線に乗り継ぐ場合は国際線到着ロビーから国内線乗り継ぎカウンターへ進んで手続きをすれば自動的にシャトルバスへ誘導されるのですが、ローカル航空、”タムエアー”ではそうはいきません。
ターミナル間を繋ぐシャトルバスは1時間に4本あるのですが、乗り場がわかりにくいからか、迷っている日本人目当ての白タクが出没するような具合だったのです。
さすがに私は職業柄、この程度の事では迷いません。タムエアーはアンセットオーストラリア航空が代行チェックインを行っていて、国際線のアンセットのカウンターで乗り継ぎ手続きができる事は過去のツアーで下調べ済みです。乗り継ぎ時間だって5時間以上あるので楽勝な乗り継ぎになるはずだったのですが....。
お客様には”とりあえず乗り継ぎ手続きを済ませて、国内線ターミナルまで行ってゆっくりしましょうね”と説明して到着した足で、アンセットオーストラリア航空のカウンターへ向かいます。窓口でタムエアーのチケットと皆さんのパスポートを提出。
すると、なんだかよくわからない説明。私の知らない英単語が語られています。(今も忘れました。)
"○○○○とは何ですか?、その英語は私にはわかりません”
と尋ねてみると、いろいろ説明してくれるのですが、どうしても理解できません。
その姿に業を煮やしたのか、
”とにかくこの飛行機は飛ばない”
と言われてしまいました。なーんだ。欠航か。そんな事は飛行機で旅するなら日常茶飯事。
”代替便はどの便でしょう?どこ経由になりました?ブリスベンかなぁ?”
カウンターの職員はしばらく考えた結論として、
”多分、代替便はあるんでしょうが、今はどこに確認してよいかわからない。しばらく時間がかかるので1時間後にもう一度、このカウンターへ来てもらえますか?”
との事。
”1時間後に、あなたはこのカウンターに居るんですね?”
と念の為に確認すると、
”残念ながら私はいませんが誰でもわかるようにしておきます”
との事。
これを信じるほど経験不足でない私は、お客様に”8割方、厄介払いされたと思うので、基本的に国内線ターミナルへ自分で移動しましょう。ただし、一応1時間後にカウンターに顔は出してみましょうね。”と説明。
座れる場所を探して皆さんを案内したら、自分は外へ出てセキュリティスタッフにシャトルバスの乗り場と時刻を確認しておきました。
さて1時間後、先ほどのカウンターへ行ってみると案の定、”そんな話は聞いていません”との事。やはり厄介払いされたようです。予定通り(なのか?)シャトルバスに乗って国内線のターミナルへ向かいます。
国内線の発着案内を見てもタムエアーのフライトはありません。インバレル行きで見るとインパルス航空なる航空会社が飛んでいますし、過去にはこの航空会社を利用して手配したことがありますが、インパルス航空のカウンターは無人で電話が1個置いてあるだけなのです。
とりあえず今度は国内線ターミナルのアンセット航空のカウンターへ。
ここでも厄介払いされそうになりましたが、ここは最後の砦なので係の人に喰い下がります。
その結果判明したことはタムエアーは欠航したのではなくて倒産したとの驚愕の事実。そして、代替便はインパルス航空。
つまり私が理解できなかった英単語は”倒産”。あまり使わない単語なので、今でも覚えていませんが、調べてみたらbankruptというようです。
タムの予約はインパルスへ引き継がれているはずなのだけれど、我々の予約は今日のフライトに見当たらず、なおかつ今日は満席で今からでは乗れないとの事なのです。
この辺でさすがに経験豊富な私も少し慌て始めたのですが、まだ冷静さを完全には失っていません。我々の予約だけが代替便に入っていないとは考えづらいので、”ファーストネームとファミリーネームを逆にしてもう一度確認してもらえますか”と聞いてみたのです。
正直、この時点で私の対応をしてくれているアンセット・オーストラリア航空のカウンター職員は完全に自分の仕事ではない事をやらされているわけですが、オーストラリアの人は親切です。電話で確認してくれました。
”ありました。あなた方皆さん、今日の便に予約入っていました。”
との事。一安心。
”それで、インパルス航空の搭乗手続きはどこで行えばよいですか?”
と最後の質問。すると.....
”ターミナルのあのドアから出て、外に行くと左手に郵便ポストがあるので、そこで待ってればインパルス航空が来ます”
今までどうにか冷静に問題解決にあたっていた添乗員の私もここで完全に度を失いました。
”そんなわけ無いでしょ!面倒な奴らだから追い払おうとしてるだけでしょ!飛行機が郵便ポストなんて!”と声を荒らげるところをお客様にもバッチリ目撃されてしまいました。
アンセット・オーストラリア航空のカウンターの女性は宥めるように私の右腕を優しく叩いて、席から経つと、手招きして一緒にターミナルの外へ。
言葉どおり郵便ポストがあって、ポストの道路側にインパルス航空の看板が出ているのです。ここまで誘導してくれたアンセット・オーストラリア航空の職員は”ここで待って”と言い残してターミナルへ戻っていったのです。
程なくして、まだ状況が飲み込めない私の前にインパルス航空のロゴが入った古びたハイエースがやってきて停まりました。ドライバーが手招きしてるので何かわからないまま乗り込むと、滑走路の外れにあるインパルス航空専用の搭乗場所へ案内され、結局無事インバレルまでの便に搭乗することができたのでありました。
郵便ポストの横から飛行機に乗れたわけですね。
今となってはタムエアーはもちろん、アンセット・オーストラリア航空も消滅してしまい、完全に昔話となってしまいました。
その時ご一緒させていただいたお客様にはご迷惑をお掛けしました。それから、怒っている私を冷静に対応していただいた、完全にとばっちりを受けた感じのアンセット・オーストラリア航空のカウンターの方にもこの場を借りてお詫びいたします。
今でも”あの時は本気で焦ってたね”と冷やかされる痛い思い出です。
旅┃ 行┃ 好┃ き┃ の┃ 夕┃ べ┃ 開┃ 催┃
━┛ ━┛ ━┛ ━┛ ━┛ ━┛ ━┛ ━┛ ━┛
6月17日 19:00~21:00
ぜひご参加ください。
http://www.bekkoame.ne.jp/i/eandg/event/yube.html
ニューサウスウェールズ州北部、クイーンズランド州との州境にほど近い、インバレルという田舎町を発着点としていたこのツアーの鬼門はシドニーからインバレルへの国内線のフライト。私が手配をかけた時点ではインバレルへのダイレクトフライトだったのに、乗ってみたらタムワースで1ストップ入ったりするようなフライトで、どちらかというと長距離バス的なフライトなのです。しかも、シドニーのキングフォードスミス空港は国際線から国内線への移動手段が少しわかりにくいのです。
カンタス航空で到着してカンタス航空の国内線に乗り継ぐ場合は国際線到着ロビーから国内線乗り継ぎカウンターへ進んで手続きをすれば自動的にシャトルバスへ誘導されるのですが、ローカル航空、”タムエアー”ではそうはいきません。
ターミナル間を繋ぐシャトルバスは1時間に4本あるのですが、乗り場がわかりにくいからか、迷っている日本人目当ての白タクが出没するような具合だったのです。
さすがに私は職業柄、この程度の事では迷いません。タムエアーはアンセットオーストラリア航空が代行チェックインを行っていて、国際線のアンセットのカウンターで乗り継ぎ手続きができる事は過去のツアーで下調べ済みです。乗り継ぎ時間だって5時間以上あるので楽勝な乗り継ぎになるはずだったのですが....。
お客様には”とりあえず乗り継ぎ手続きを済ませて、国内線ターミナルまで行ってゆっくりしましょうね”と説明して到着した足で、アンセットオーストラリア航空のカウンターへ向かいます。窓口でタムエアーのチケットと皆さんのパスポートを提出。
すると、なんだかよくわからない説明。私の知らない英単語が語られています。(今も忘れました。)
"○○○○とは何ですか?、その英語は私にはわかりません”
と尋ねてみると、いろいろ説明してくれるのですが、どうしても理解できません。
その姿に業を煮やしたのか、
”とにかくこの飛行機は飛ばない”
と言われてしまいました。なーんだ。欠航か。そんな事は飛行機で旅するなら日常茶飯事。
”代替便はどの便でしょう?どこ経由になりました?ブリスベンかなぁ?”
カウンターの職員はしばらく考えた結論として、
”多分、代替便はあるんでしょうが、今はどこに確認してよいかわからない。しばらく時間がかかるので1時間後にもう一度、このカウンターへ来てもらえますか?”
との事。
”1時間後に、あなたはこのカウンターに居るんですね?”
と念の為に確認すると、
”残念ながら私はいませんが誰でもわかるようにしておきます”
との事。
これを信じるほど経験不足でない私は、お客様に”8割方、厄介払いされたと思うので、基本的に国内線ターミナルへ自分で移動しましょう。ただし、一応1時間後にカウンターに顔は出してみましょうね。”と説明。
座れる場所を探して皆さんを案内したら、自分は外へ出てセキュリティスタッフにシャトルバスの乗り場と時刻を確認しておきました。
さて1時間後、先ほどのカウンターへ行ってみると案の定、”そんな話は聞いていません”との事。やはり厄介払いされたようです。予定通り(なのか?)シャトルバスに乗って国内線のターミナルへ向かいます。
国内線の発着案内を見てもタムエアーのフライトはありません。インバレル行きで見るとインパルス航空なる航空会社が飛んでいますし、過去にはこの航空会社を利用して手配したことがありますが、インパルス航空のカウンターは無人で電話が1個置いてあるだけなのです。
とりあえず今度は国内線ターミナルのアンセット航空のカウンターへ。
ここでも厄介払いされそうになりましたが、ここは最後の砦なので係の人に喰い下がります。
その結果判明したことはタムエアーは欠航したのではなくて倒産したとの驚愕の事実。そして、代替便はインパルス航空。
つまり私が理解できなかった英単語は”倒産”。あまり使わない単語なので、今でも覚えていませんが、調べてみたらbankruptというようです。
タムの予約はインパルスへ引き継がれているはずなのだけれど、我々の予約は今日のフライトに見当たらず、なおかつ今日は満席で今からでは乗れないとの事なのです。
この辺でさすがに経験豊富な私も少し慌て始めたのですが、まだ冷静さを完全には失っていません。我々の予約だけが代替便に入っていないとは考えづらいので、”ファーストネームとファミリーネームを逆にしてもう一度確認してもらえますか”と聞いてみたのです。
正直、この時点で私の対応をしてくれているアンセット・オーストラリア航空のカウンター職員は完全に自分の仕事ではない事をやらされているわけですが、オーストラリアの人は親切です。電話で確認してくれました。
”ありました。あなた方皆さん、今日の便に予約入っていました。”
との事。一安心。
”それで、インパルス航空の搭乗手続きはどこで行えばよいですか?”
と最後の質問。すると.....
”ターミナルのあのドアから出て、外に行くと左手に郵便ポストがあるので、そこで待ってればインパルス航空が来ます”
今までどうにか冷静に問題解決にあたっていた添乗員の私もここで完全に度を失いました。
”そんなわけ無いでしょ!面倒な奴らだから追い払おうとしてるだけでしょ!飛行機が郵便ポストなんて!”と声を荒らげるところをお客様にもバッチリ目撃されてしまいました。
アンセット・オーストラリア航空のカウンターの女性は宥めるように私の右腕を優しく叩いて、席から経つと、手招きして一緒にターミナルの外へ。
言葉どおり郵便ポストがあって、ポストの道路側にインパルス航空の看板が出ているのです。ここまで誘導してくれたアンセット・オーストラリア航空の職員は”ここで待って”と言い残してターミナルへ戻っていったのです。
程なくして、まだ状況が飲み込めない私の前にインパルス航空のロゴが入った古びたハイエースがやってきて停まりました。ドライバーが手招きしてるので何かわからないまま乗り込むと、滑走路の外れにあるインパルス航空専用の搭乗場所へ案内され、結局無事インバレルまでの便に搭乗することができたのでありました。
郵便ポストの横から飛行機に乗れたわけですね。
今となってはタムエアーはもちろん、アンセット・オーストラリア航空も消滅してしまい、完全に昔話となってしまいました。
その時ご一緒させていただいたお客様にはご迷惑をお掛けしました。それから、怒っている私を冷静に対応していただいた、完全にとばっちりを受けた感じのアンセット・オーストラリア航空のカウンターの方にもこの場を借りてお詫びいたします。
今でも”あの時は本気で焦ってたね”と冷やかされる痛い思い出です。
旅┃ 行┃ 好┃ き┃ の┃ 夕┃ べ┃ 開┃ 催┃
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6月17日 19:00~21:00
ぜひご参加ください。
http://www.bekkoame.ne.jp/i/eandg/event/yube.html