旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

旅のうんちく番外編=キッチンカー事業その1車について

2022年10月21日 | その他

 新型コロナウイルスの流行の中で開業したキッチンカー事業もどうやら6か月が過ぎました。旅に関わる仕事は自分にとってとても大切な仕事ですが、新しい事業、新しい人間関係、新しい企業間関係もまた刺激的な世界。そして海外旅行に関わる仕事しかやっていないE&Gにとっては旅に関わる仕事が本格化するのはまだ先の事。

 キッチンカー事業を始めたおかげで、悶々と日々を過ごす必要は無くなりました。目の前にあるのは定期的に問題点を洗い出し、修正方法を考える事や、日々の業務をより効率化するオペレーションを考える事など...そして、それらは私の好きな事だから...。

 ただし、私の嫌いな事も復活。毎日の資金繰りに頭を悩ませる事...まあ事業をやるうえで必ず付きまとう問題なので仕方ないですね。

 さて、開業6か月を何とかクリアしたところで、少しはこれから開業を考える人に役立つかもしれない情報を残していこうと思います。旅のウンチク番外編、キッチンカーの部その1というわけです。今回のテーマは車について。

 ご存知の通り、バイクとか車は私にとって得意分野の一つ。そんな中、私が最終的に選択したキッチンカーはマツダ、タイタンダッシュ LPG仕様の1.35t積みトラックをベースとした中古キッチンカーです。自分の条件に合う車両を手に入れるまで1年を要しました。自分の条件に見合った車両を見つけたのは1年で3台。そのうち1台を手に入れたわけです。

 私の場合、近いうちに郷里へ戻らなければならない可能性が高く、その際にいろいろな縛りを背負いたくないという特殊な条件を背負っているので給排水200リットルを積める事が絶対条件でした。2020年6月以降の移動販売車に関する規定により、給排水200リットルあれば車内での仕込みが認められる事となり、特別な”仕込み場”の申請が必要なくなったのです。

 現在の私の立ち位置なら仕込み場として利用させていただける飲食店はあるのですが、郷里に帰った際には心当たりがないのです。それならばと”車内仕込み”仕様を選択したというわけです。
 
 前に書いたようにここへたどり着くまでに1年を要したわけですが、その間に学んだこと。

 1.キッチンカー、最初は中古車にしておいた方が良い。
 *開業コストがぜんぜん違う

 私の場合、幸運にも開業をとても応援していただける前オーナーから車両を譲っていただく事が出来たおかげで、コールドテーブルや冷凍ストッカーだけでなく、フライヤーやグリドル、更にはLPGの8kgボンベ2本、LPGレギュレーターまで積んだ状態、走行距離5万キロ弱、車検残1年強の車両を120万円で譲っていただきました。他のキッチンカー事業者との話で、この条件なら200万でも”買い”だという意見。350万前後で取引される車両ではないかと思います。こういう好条件を見つけられる可能性があるのが中古キッチンカー。

 一方で、中古のトラックを少し加工して”キッチンカー”として売りに出される車両もたくさんあります。私は結構そういう車両も見てきました。

 ”車検”というと我々庶民にはハードルが高い事に思えますし、”形式変更”とか"8ナンバー"という話になると、もうプロでしかできない領域になりますね。そこで発生して来るのがこの種の中古車。

 キッチンカーとして実働していた車両の中古車ではなくて、トラックとして実働していた中古車をキッチンカー風に加工した中古車。車に関する知識が無いとこの種のキッチンカーを掴んで後で苦労します。

 大雑把な知識としていえば、4ナンバーとか1ナンバーの貨物車両を改造して8ナンバー(キッチンカーや加工車)にするためには荷台が”貨物輸送に使用できない位に他の機材で埋める”という作業だけですみます。ところがこの状態では保健所の営業許可はおりません。

 我々が”神の領域”のように感じている”車検制度”よりも保健所の営業許可は上位にいます。だから車屋さんがチョイチョイとイジった車は8ナンバーは取れても営業許可を取るためにはさらなる改造が必要になるということです。これが注意点。

 私のようにキッチンカーとして実働していた中古車を手に入れたのであれば、その状態で大抵の場合営業許可はおります。特に2020年以降の規格に沿った車両であれば全国どこでも微調整で大丈夫なはずです。

 中古車をキッチンカーに改造した車両を手に入れた場合、あるいは新車をキッチンカーに改造した車両を手に入れた場合はその限りではありません。良心的なキッチンカービルダーの中には営業許可申請に同行までしてくれるところもあるようですが、数は少ないですし、そういう責任感の強い会社はそれなりの金額も取ります。

 何台かの車を見学して、このことに思い当たった私は、キッチンカーを手に入れたあとで更に自分で手を入れるくらいなら、最初からトラックの中古車を買って改造しても手間は変わらないのではないかと考えました。ただ、その途中で現在の車に行き当たる幸運にめぐり逢いました。

 2.キッチンカーのサイズ
 都内で目にすることが多いのは軽バンや軽トラックベースのキッチンカーだと思います。利点はとても多いです。維持費の安さ、駐車場の確保しやすさ、搬入可能な出店先の多さ、運転のしやすさなどなど。

 私は前に上げたような特殊な事情があるため200リットル給排水が必須...つまり軽ベースは無理という流れなのですが、1.35tベースで車高2.81mのお陰で....月極駐車場の確保にも苦戦(結局、理解ある駐車場オーナーに助けてもらいました。)、都心のランチ出店などでは車高のお陰で出店できない出店先は多々あります。ただ、うちの場合、商材が”ハンバーガー”なので、オフィス街のランチ出店にはもともと競争力くて避けております。このデメリットは出店先との兼ね合い。うちにはあまりデメリットとなっていません。

 車両が大きいメリットは単純に積載性。軽のキッチンカーだと、イベントなどで300食とか用意しようとすると搬入車両が別に必要になるケースも出てきます。

 それから、これは私が活かしている部分ですが、大きい車両であれば、いろいろなメニューに冒険できます。うちの場合、夏場の公園出店でアイスクリームを販売したり、その他メニューの調整もスペースがある分で可能ですが、軽ベースだとスペースが少なすぎてある程度的を絞った仕事が必要となります。収容できる人員にも限界があるので軽の場合、1オペ前提か、多くても2オペまでになります。

 どんな事業でも同じですが、設備に関するメリット、デメリットは発生してきます。デメリットで落ち込むのではなくてメリットの部分をどう活かして生き残るかを考えるのも事業における工夫のうち....これもどんな事業でも同じです。

 キッチンカー事業における車の選択は、固定店舗であれば店舗の選択です。何平米の面積の物件を借りるかとか、そういうことと同じことなので、将来的な展開や、うまくいかなかったときの”逃げ道”も考えながら車両を選択すべきなのです。

 それから、変な物件を掴まされないだけの知識は身につけておいたほうが良いと思います。



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