社長の独り言

資産運用コンサルタントの社長日記です

和魂洋才

2008-09-05 08:57:30 | 日常
 
スポーツジャーナリストの二宮清純氏のコラムからの引用です。
以前、私が北京オリンピック柔道で優勝した石井選手の「JUDO
と柔道」について書きましたが、同じ趣旨だったのでここに
紹介します。二宮氏と同じ見解だったことは嬉しいことです。
二宮氏は常にグローバルに鋭い眼で、スポーツを洞察しています。
日本の良いところ、悪いところを的格に指摘しています。


第1回 石井慧の和魂洋才
二宮 清純

「一番強いヤツっていうのは力が強いやつでも、テクニックがあるヤツでもな
い。その置かれている状況に素早く順応できるヤツが一番強くなれる。柔らか
い考えをもった人が勝つんです」

北京五輪柔道100キロ超級で金メダルを獲った石井慧のセリフだ。顔はコワモ
テだが、考え方は実に柔軟である。

「きれいな一本が見たいなら、体操を見ればいい」「試合は殺し合い」。歯に
衣着せない言葉を連発する石井には敵も多かった。自ら「オレはヒール」とう
そぶくこともあった。

自ら口にするように石井の強さの秘訣は適応力にある。単身ヨーロッパに乗り
込み、徹底してJUDOを学んだ。時代が変われば柔道も変わる。石井は誰よりも
そのことに敏感だった。スポーツの世界は「強者生存」ではなく「適者生存」
であることを知悉していた。

よくヨーロッパのJUODを「美しくない」と批判する者がいる。もはや、あれは
柔道ではない、と。同じような話を米国で聞いたことがある。初回からバント
をする日本の野球は美しくない。あれはベースボールとは似て非なるものだ、と。

柔道とJUDO。野球とベースボール。スポーツはその国の国柄や国民性を反映す
る。日本人がJUDOを、米国人が野球を嘆くのはわからないでもない。しかし、
グローバリズムに背を向け、国際競争力を失えば、置かれている状況はさらに
悪化する。

和魂洋才とでも言おうか。石井は日本の柔道を守るためにJUDOを学び、世界中
から最強の選手たちが集う100キロ超級を見事に制した。

「今はもう漢字の柔道じゃない。横文字のJUDOに変わってきているんです。侍
として心は漢字の柔道をもっておかないといけない。でも、もう横文字のJUDO
になったんです。それを認めないと、生き残れない。自分は生きるか死ぬかの
戦いをしている。だから、こんなところで意地を張っていられない」

石井はこうも語っている。求道の21歳から学ぶことは少なくない。

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