7月の観劇記録を中心に書きたいことがあるのですが、
まとまらず、時間もなく、間が空きました。
とりあえず、お盆休みに完全に遊びで旅行に行きました。
この街で私がやることは決まっているので、2つ(4つ)観劇記録をば。
1)Lion KingとWicked
Lion Kingは言わずと知れた、アフリカやアジアの芸能の手法をつかって
サバンナを表現しようという趣向で一世を風靡した作品。
使われている技法は日本の文楽やインドネシアの影絵だったりするので、
西洋から見たら全部「オリエンタル」でひとくくりなんだろ?という
気がしてなりませんが…。
当日半額券は絶対出なそうなので日本から予約。
安くならない意味がわかりました。
ただ、おそらくこれだけ見たらアフリカンパワーってすごいのね
と思ったと思うのですが、3年前にイギリスで見たとき、
coloredのキャストのほとんどは演技の基本ができてなくて、
○季の悪名高い母音法が懐かしくなるくらいひどい思いをしたので、
そういうところでブロードウェイは裾野が違うんだなと思いました。
http://www.lionking.com
Wickedはアメリカの国民的物語「オズの魔法使い」を
西の悪い魔女の側から見たら…というポストコロニアルな内容。
(たとえていうなら「桃太郎」を鬼の側から見たらって感じ。)
Lion King(1997)とWicked(2003)の間にちょっと視点が変化?
(前者の元映画は1994、後者の原作は1995で同じ時期だそうですが。)
ただ、日本で見たときも、その着想以上の面白さを感じないというか、
物語は破たんしているのであまり気に入らなかったのですが…。
(↑アリバイ崩しのようにきっちり練り込まれたものが好き。)
でも、これも当日半額券が出ない人気作で、その実力を確かめようと正価で購入。
日本と比べるのもあれですが、とにかく役者のレベルが高かったです。
とにもかくにも曲がいいし、役者のレベルを堪能しました。
でも、観光客主体の観客が話をどう受け止めたのかは結局わかりませんでした。
http://www.wickedthemusical.com/#
2)AvenueQとRent
AvenueQについては来日公演のときに
感想を書きましたが、私はこの話が好きです。
今回オフブロードウェイでやっていて、普段お芝居なんか観ないのに
ブロードウェイだから来てしまいました…みたいなお客さんが少ないので、
みんなと一緒にゲラゲラ笑って、純粋に芝居を見る楽しさを味わいました。
http://www.avenueq.com/
ところで、このAvenueQはNew World Stagesというシネコンみたいに
複数のステージがある場所でやっており、隣はRentでした。
正直、私はRentが得意ではありません。
HIV+、ゲイ、レズビアン、ボヘミアンと自分から遠い人たちの世界を
見せられて、どうしていいかわからなくなったところに
No day but todayと歌われて、強制的に共感させられる感じがするのです。
(←ほんとはこの手の事柄には「共感」とは違うアプローチが必要だと思うのです。)
でも今回もうご当地でも「歴史」になったんだろうなという距離感がありました。
http://siteforrent.com/
For now(いいことも悪いことも今だけ)と歌うAvenueQと
No day but todayと歌うRentが隣でやってるのが興味深かったです。
For now、Tomorrow is another day、明日があるさ系と
No day but today、カーぺディエム(今を生きる)系とは、
※後者2つは文脈は逆ですが
:No day~は明日も知れぬ人の歌、カーペ~は道具的な学校に縛られた若者への言葉
近代社会を生きる人間の「今」のとらえ方の両輪みたいなものなのだと思います。
私は前者のほうにぐっときます。
まだ人生の終わりは近くはないだろうと思える年齢のマジョリティだからでしょうが。
なお、他にも見ましたが(あほですみません)、
英国ミュージカルはやはり英国で見たほうがよかったです。
↑この国の花の色はおかしい(おしゃれなフローリストは違いますが)
※23日深夜ちょっと修正しました。