オーストリア=ハンガリー帝国の皇后エリザベートの生涯を描いた
ウィーン発のミュージカルです。
ここ10年くらい、ブロードウェーでは受けないウィーンのミュージカルが、
なぜか日本では受けているのですが、その先駆けとも言うべき作品。
破天荒ゆえに死に誘惑されるエリザベートを描くのに、
その死(der Tod)をロックスターのような男性として擬人化してしまった
(性と死の欲動?)ところがポイントです。
さすがフロイトのお国。
ただ、ウィーン版では本当にそれだけだった「トート」に、
宝塚版が(抽象名詞の擬人化が日本には馴染まないからと)
「死神」「黄泉の帝王」という設定を付け加えて
死と皇后のラブストーリーという話にしてしまい、
今回見た東宝版はそれをそのまま男優をつかってやっているので
色々ひずみがある感じに。ビジュアルもすごいことになってるし。
(他にも端役でいいはずの役に見せ場があったりするので、
見づらい原因に。役者の見せ場をつくるための戯曲をつくる宝塚と
システムが違うのだから、変えればいいのになあといつも思います。)
死が皇后とその周りの人々、帝国そのものの回りをうろつき、
ついには破滅に追いやっていく感じがするウィーン版の方が、
私は話としては好きです。
帝国の滅亡(そして、それをもたらした民衆の動きの先に
予感されるナチスドイツという別の破滅)というテーマまで
盛り込んでいる以上、ラブストーリーに矮小化するのはちょっと、と。
(ただし、オペラ由来の演出には「ぽかーん」とするところも多いので、
日本版の演出からラブストーリーを抜けばいいという感じかな?)
2年前は武田真治トートが、色気がありつつ死がちらつく不気味さを
表している気がして、すごく好みだったのですが、今回は降板。
今回見た城田優トートは「死は悠然と待っている」という解釈のようで、
「欲動」というまでに誘惑してくる感じがなく、
ラブストーリーという設定とも矛盾するので、
私はちょっと楽しめませんでした。
(しかし、若いしビジュアルがよいし、歌もきれいなのですごい。)
半音続きの難しい曲を歌いこなせて、
ままならないものを抱えているエリザベートや
色っぽく誘惑してくるトートがそろわないといけない戯曲。
役者がうまくはまったときはすごくおもしろいコンセプトの話なのに、
うまくはまらないとその扮装が微妙な気分になってしまうところが、
この作品にはまりきれない理由かも。
http://www.tohostage.com/elisabeth
ウィーン発のミュージカルです。
ここ10年くらい、ブロードウェーでは受けないウィーンのミュージカルが、
なぜか日本では受けているのですが、その先駆けとも言うべき作品。
破天荒ゆえに死に誘惑されるエリザベートを描くのに、
その死(der Tod)をロックスターのような男性として擬人化してしまった
(性と死の欲動?)ところがポイントです。
さすがフロイトのお国。
ただ、ウィーン版では本当にそれだけだった「トート」に、
宝塚版が(抽象名詞の擬人化が日本には馴染まないからと)
「死神」「黄泉の帝王」という設定を付け加えて
死と皇后のラブストーリーという話にしてしまい、
今回見た東宝版はそれをそのまま男優をつかってやっているので
色々ひずみがある感じに。ビジュアルもすごいことになってるし。
(他にも端役でいいはずの役に見せ場があったりするので、
見づらい原因に。役者の見せ場をつくるための戯曲をつくる宝塚と
システムが違うのだから、変えればいいのになあといつも思います。)
死が皇后とその周りの人々、帝国そのものの回りをうろつき、
ついには破滅に追いやっていく感じがするウィーン版の方が、
私は話としては好きです。
帝国の滅亡(そして、それをもたらした民衆の動きの先に
予感されるナチスドイツという別の破滅)というテーマまで
盛り込んでいる以上、ラブストーリーに矮小化するのはちょっと、と。
(ただし、オペラ由来の演出には「ぽかーん」とするところも多いので、
日本版の演出からラブストーリーを抜けばいいという感じかな?)
2年前は武田真治トートが、色気がありつつ死がちらつく不気味さを
表している気がして、すごく好みだったのですが、今回は降板。
今回見た城田優トートは「死は悠然と待っている」という解釈のようで、
「欲動」というまでに誘惑してくる感じがなく、
ラブストーリーという設定とも矛盾するので、
私はちょっと楽しめませんでした。
(しかし、若いしビジュアルがよいし、歌もきれいなのですごい。)
半音続きの難しい曲を歌いこなせて、
ままならないものを抱えているエリザベートや
色っぽく誘惑してくるトートがそろわないといけない戯曲。
役者がうまくはまったときはすごくおもしろいコンセプトの話なのに、
うまくはまらないとその扮装が微妙な気分になってしまうところが、
この作品にはまりきれない理由かも。
http://www.tohostage.com/elisabeth