岸田戯曲賞受賞の名作26年ぶりの再演!ということで勢いで。
わっかんないストーリー!引き込まれる熱気!
何かが伝わり、残る「見た!」感。
いじめる側といじめられる側、生と死、現実と魔境――。
交錯する世界、ダークファンタジー、鬼太郎――。
取り返しのつかない過去、否の人生、酸っぱい枇杷の実吐き出せない――。
生きることの禍々しさと輝き、向こうの世界の怖さと魅力、逆もまた真なり――。
ぱっと見ただけではなにもわからなくて、
断片だけが強烈に脳裏に焼きつけられるその感じは
小劇団の醍醐味だなと思います。堪能。
ただ、後から後からじわじわ考えてみるに、
体当たりの演技が生むパワーに満ち満ちているにもかかわらず、
「逢魔が時」というには全体に清潔な気がしました。
「禍々しい」というよりは、「バーチャル」。
入れ替わって交錯する世界が何かを垣間見せるのではなく、
平板に羅列され、戯曲の「わからなさ」がすっと入ってこなかったという印象。
初演(1982)以降生まれのキャストが多いことが原因にも思えます。
自分の甚だ怪しい実感では、その後急速に消えていく習俗的なものと
消費的なものが交錯するあの時期特有の時代感覚に乗った
戯曲のような気がしたのです(戦争の影、茶の間でジュリー、閉塞した学校)。
(「ちなみに、当該戯曲は、演劇部だった高校生のころすでに
「読んでも読んでもわからない名作」でした。
80年頃の「小劇団ブーム」の戯曲は、早熟でも文学少女でもない90年代の
凡庸な高校生にはリアリティのとっかかりがなくて読めなかったのです。)
描かれている「いじめ」を、「今につながる問題」と評する劇評もありましたが、
少なくとも教師も加担するそのいじめは今よりもっと露骨で泥臭いかなと。
今それが不可視化されていることこそが問題なのかもしれないけれど、
その巧妙さ、リアリティのなさしか知らない世代が演じる「泥臭いいじめ」は、
騒々しくパワーにあふれているけどどこか清潔でした。
あと、鬼太郎役者の歌声ファンとしては言いづらいのですが、
半端に音楽劇にしたのもよくなかった気がします。
その虚構的でキッチュな感性は1982年的なものとかみ合わない気がするのです。
3・11の喪失体験と引き付ける語りも見られたけれど、
1982年と2011年のギャップをつなぐ必要がある気がしたのでした。
いやいやでもとにかくすごかったし、見られて心底よかったです!
http://za-koenji.jp/detail/index.php?id=479
http://office300.co.jp/top_page.htm
わっかんないストーリー!引き込まれる熱気!
何かが伝わり、残る「見た!」感。
いじめる側といじめられる側、生と死、現実と魔境――。
交錯する世界、ダークファンタジー、鬼太郎――。
取り返しのつかない過去、否の人生、酸っぱい枇杷の実吐き出せない――。
生きることの禍々しさと輝き、向こうの世界の怖さと魅力、逆もまた真なり――。
ぱっと見ただけではなにもわからなくて、
断片だけが強烈に脳裏に焼きつけられるその感じは
小劇団の醍醐味だなと思います。堪能。
ただ、後から後からじわじわ考えてみるに、
体当たりの演技が生むパワーに満ち満ちているにもかかわらず、
「逢魔が時」というには全体に清潔な気がしました。
「禍々しい」というよりは、「バーチャル」。
入れ替わって交錯する世界が何かを垣間見せるのではなく、
平板に羅列され、戯曲の「わからなさ」がすっと入ってこなかったという印象。
初演(1982)以降生まれのキャストが多いことが原因にも思えます。
自分の甚だ怪しい実感では、その後急速に消えていく習俗的なものと
消費的なものが交錯するあの時期特有の時代感覚に乗った
戯曲のような気がしたのです(戦争の影、茶の間でジュリー、閉塞した学校)。
(「ちなみに、当該戯曲は、演劇部だった高校生のころすでに
「読んでも読んでもわからない名作」でした。
80年頃の「小劇団ブーム」の戯曲は、早熟でも文学少女でもない90年代の
凡庸な高校生にはリアリティのとっかかりがなくて読めなかったのです。)
描かれている「いじめ」を、「今につながる問題」と評する劇評もありましたが、
少なくとも教師も加担するそのいじめは今よりもっと露骨で泥臭いかなと。
今それが不可視化されていることこそが問題なのかもしれないけれど、
その巧妙さ、リアリティのなさしか知らない世代が演じる「泥臭いいじめ」は、
騒々しくパワーにあふれているけどどこか清潔でした。
あと、鬼太郎役者の歌声ファンとしては言いづらいのですが、
半端に音楽劇にしたのもよくなかった気がします。
その虚構的でキッチュな感性は1982年的なものとかみ合わない気がするのです。
3・11の喪失体験と引き付ける語りも見られたけれど、
1982年と2011年のギャップをつなぐ必要がある気がしたのでした。
いやいやでもとにかくすごかったし、見られて心底よかったです!
http://za-koenji.jp/detail/index.php?id=479
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