近況報告。

・・・のつもりではじめたのですが・・・。
ゼミについては、学科公式ブログで報告しています。

翻訳リリース。

2014-07-19 20:02:57 | お仕事とか。
翻訳の仕事をしました。

アラン・プロウト2011=2014(元森絵里子訳)「子ども社会研究はモダニティからいかに距離をとるか:「新しい子ども社会学」再考」『子ども社会研究』20:119-135

オリジナルは、Prout, Alan 2011 "Taking a Step Away from Modernity: reconsidering the new sociology of childhood" Global Studies of Childhood 1(1):4-14 http://dx.doi.org/10.2304/gsch.2011.1.1.4 です。

思うところあってさして得意でもない翻訳をしました。

日本において「子ども社会学sociology of childhood」という分野名は人口に膾炙していないと思います。ヨーロッパにおいては、new sociology of education、解釈的パラダイムやポスト構造主義、社会史といった思潮とも関係しながら、new sociology of childhoodというムーブメントが起き、それが反省される時期に達しています。アメリカも、多文化社会における社会化にethnographyから迫ろうという研究潮流があります。翻って日本の子ども研究は、その四半世紀以上の流れをフォローする教科書すらない状況です。

子ども研究というのが各学問領域の狭間に入ってしまっているということですが、子どもを研究している人は少なくないのに、その枠組みは社会科学全体の理論的研究動向とは一線を画したところで展開されている感があります。

新しく学ぼうと思った人が、「子ども社会学」で検索した時に、社会科学的な視点にあふれたわくわくするような枠組みの教科書がない現状を憂慮しています。

自分ですぐに教科書を書くことはできないので、まずは英国でnew sociology of childhoodを牽引し、さらにそれの脱構築に入ったAlan Prout(ご本人に聞いたらプロウトと読むそうです)の論考を翻訳しました。一応手短な訳者解説つきです。(プロウトのこれまでの著作についても言及しています。)

日本語にすることで、少しでも多くの日本の研究者や学生に読んでほしいです。射程は、教育社会学に限らず、保育や家族、生殖医療、文化人類学、メディア研究等広いと思います。

刻一刻と変わる制度や技術の中で、「子ども」をどう概念化するか、子ども研究にどういう切り口がありえるかを学際的に広く話し合う場をつくりたいと、研究会を組織したりしています。この翻訳も何か新しい動きにつながればいと思います。

残念ながら子ども社会研究はWeb公開していません。久しぶりにきちんと抜き刷りを注文しましたので、欲しい方は、訳者名字@soc.meijigakuin.ac.jpまで遠慮なくご連絡ください。若干お時間をいただきますが、何冊でも送ります。翻訳能力にはすこぶる自信がありませんが、少しでも多くの方に読んでいただきたいと思っています。