京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

2024年2月 京都童心の会 通信句会結果 選評後半

2024-04-03 07:55:58 | 俳句
2024年2月 京都童心の会 通信句会結果
【選評】後半
○青島巡紅選
特選 42 風花や天地返して小石灰  三村須美子
 中句の「天地返して」が生きてます。震災後晴天で雪が風に舞ってちらちらと降っている。何事もなかったかのように。しかし起きた現実は変わらない。それでも畑が使えるようなら、使えるようにするのが本来。本来の作業を淡々と行っている。元には戻らなくても。そんな様を連想しました。
5 八代亜紀死ぬ掻っ込むカツ丼  野谷真治
 彼女の歌にはガツンとくるものがあった。インパクトがあった。その歌が彼女からは発せられなくなった。カツ丼は胃にガツンと来るものがある。掻き込むことで、その空白を埋め冥福を祈っているのだと思いました。
20 生きている歩けていると去年今年 野原加代子
 自分の足で「歩けていると」が効いている。高齢になると足腰が弱まりベッド生活を余儀なくされることも少なくない。僕も死ぬまで自分の足で歩きたい。
28 道路 水道 電気 家 一日も早くとりもどし 蔭山辰子 
 震災後の復興、本当にその通りです。客観的な運びが効果的で、「道路 水道 電気 家」という名詞間の空白で目を止められ、頷きながら読ませられます。
37 スーパー出てひんやり外気心地よく 岡畠真理子
 真冬ならではのこと。店内の暖房、人の熱気に当てられた体が蘇ります。でも、長時間は続きません。その一瞬の切り取りが鮮やかです。
44 地の新酒飲み回しする同窓会 三村須美子
 同窓会の雰囲気がよく伝わってきます。学生時代に戻り楽しい一時を謳歌してるのですね。
46 節分や水槽の魚追っかけこ  三村須美子
 「水槽の魚追っかけこ」が可愛くていいなあ、そしてリアルだなと思いました。鬼に扮装した大人から逃げる子供は半泣きなって逃げます。魚だって自分より図体のでかい魚に追いかけられたらたまったものではありません。上手く捉えていると思いました。
53 高速のところどころで寒椿 私あなたの道案内 遠藤修司
 人生でも高速でも何かが先を示唆しているように感じられることがある。こう言う感覚は大切にするのがいいです。イメージはまず目に飛び込んで来たものから広がるのですから。
55 寒い時耳が痛い身に沁みる忠告なぜに耳痛い 遠藤修司 
 そうだねと頷いてしまいます。どちらも不意に訪れるもの、この通りですね。
58 津波です逃げて下さい 元旦暮れる  金澤ひろあき
 能登半島地震の瞬間を捉えている句です。警報が元旦のしかも夕食前だったことがなんとも言えなかった。こんなことあるのかよと思った。
60 なるようにしか仕方ないという息白し 金澤ひろあき
 震災後茫然自失となっている状況。認めたくない現実風景が広がるが受け入れるしかない。それでも吐く息が白い。生きている。頑張って下さいとしか言えない。
62 「復興頑張ろう」何度言っただろう平成から 金澤ひろあき
 阪神淡路大震災から能登半島地震までで、震度7は計7回もあった。阪神淡路の時には海外メディアが復興の速さに舌を巻いていたが、その都度よく復興を成功させここまで頑張ってきたものだと思う反面、本当につくづく地震が多い国だと思ってしまう。地震は決して他人事ではありえない。
66 焼き芋包む新聞に震災の太い文字  金澤ひろあき
 新聞でも大きく報道された事件も、次か次に起こる事件に掻き消されていく様が悲しいですね。影響のなかった地域の人にはもう過去の出来事になっている。ところが、いろんな拍子に思い出させらることが起こる。ハッとする。ギョッとする。そんな一瞬を捉えた句です。
○遠藤修司特選
68 白山の雪より白い加賀の梅 金澤ひろあき
 山と桜の絵柄は多いかな?
 梅も頑張れ!北陸にエール
○岡畠真理子特選
57 なぜ周囲にふりまわされる私しっかり軸だけはふりとばされないで 遠藤修司
 私軸(自分軸)は大切ですが、なかなか難しいですね。でも目指したい姿です。

お知らせ
句会
日時 毎月第3日曜(4月は第4日曜に変更)午後2時
場所 阪急長岡天神駅東口 喫茶 アーバンにて
投句 毎月第2週まで 10句前後ですが、少なくても可です。
 84円切手3枚同封下さい。
選評  来月第1週までに頂けるとありがたいです。
京都童心の会  年会費 3000円
月句会参加の方は句会で頂いておりますので、不要です。

※写真は奈良東大寺二月堂下、お水取りの井戸。