京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
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松尾芭蕉『笈の小文』口語訳 四 名古屋の仲間たちと

2024-09-11 11:58:47 | 俳句
松尾芭蕉 『笈の小文』 口語訳 
          金澤ひろあき
四 名古屋の仲間たちと
 鳴海に泊まって
  星崎の闇を見よやと鳴く千鳥
 飛鳥井雅章公がこの宿にお泊まりになって、「都も遠くなるみがたはるけき海を中にへだてて」とお詠みになったのをご自身でお書きになられて、お与えになったことを語る時に、
  京まではまだ半空や雪の雲
 三河の国、保美という所に、弟子の杜国がしのんで暮らしているのを訪れようと、まず名古屋の越人に便りを送り、鳴海より後ろへ二十五里ほど訪ねるために帰って、その夜は吉田に泊まる。
  寒けれど二人寝る夜ぞ頼もしき
 あまつ縄手は、田の中に細道があって、海より吹き上げる風がとても寒い所である。
  冬の日や馬上に氷る影法師
 保美村より伊良古崎へ一里ばかりもあるだろう。三河の国の地続きで、伊勢とは海でへだてている所であるけれども、どういう理由だろうか。
 『万葉集』には伊勢の名所の内に選び入れられている。この洲崎で碁石を拾う。世に「いらご白」というそうな。
 骨山という所は鷹をとる所である。南の海の果てで、鷹がはじめて渡る所と言っている。いらご鷹など歌にも詠んでいたなあと思うと、なおしみじみとした趣を感じたちょうどその時、
  鷹一つ見付けてうれしいらご崎
 熱田神宮御修復
  磨ぎなをす鏡も清し雪の花
 名古屋の人々に迎え入れられてしばらく休息するうちに、
  箱根越す人も有るらし今朝の雪
 ある人の会
  ためつけて雪見にまかる紙子かな
  いざ行かむ雪見にころぶ所まで
 ある人の興行
  香を探る梅に蔵見る軒端かな
 この間、美濃、大垣、岐阜の風流人が訪れ来て、歌仙あるいは半歌仙など、たびたびに及ぶ。


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