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京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

2022年3月 京都童心の会 通信句会結果 その1

2022-04-08 07:50:24 | 俳句
2022年3月 京都童心の会 通信句会結果  その1
【選評】
○白松いちろう特選
63 ざわざわと北帰行の小白鳥  三村須美子
平和な日本ですくすく育っている白鳥たちのロシアへの旅立ちが迫ってきた。白鳥たちの心配な気持ちがざわつきとなって伝わる。NO WARは地球全体の悲願!
並選 49 「ゲルニカ」を再び描くウクライナ  金澤ひろあき
共産主義者であったピカソは戦争反対の立場であの作品に想いを込めたと聞きました。今また涙を流しながら訴えていることでしょうね。
○金澤ひろあき選
特選三句(天地人)
天 1 柱時計のような親父が消えた日本のお正月 暉峻康瑞
 「柱時計の親父」で私の父親を連想しました。昭和一桁です。家の中心にいて見守っている。そういう存在ですね。
昭和の頃の家のありさま、匂い、それらがふっと思い浮かんだのです。
地 13 春の虹若人達は辿り着ける   青島巡紅
 希望を捨てずに生きてゆくと、「虹の立つところ」にたどりつくことがあります。「虹の立つところ」とは、追っかけてもなかなかたどり着けない見果てぬ夢のようなものかもしれませんが、若い人達へのエールですね。
 なお、古代の日本人も、虹の立つところに神秘な力を感じていたようです。虹が立つと、そこに市場を開かなければならなかったのです。藤原道長の邸宅に虹が立ったので、市を開いたという話が残っているそうです。
人 29 私は生きてますよ小粒の梅   白松いちろう
 病で弱った時など、身の回りの小さな物、ささいなものが語りかけてくれることがあります。もしくは、私が語りかけたくなることがあります。それだけ心が敏感になるのでしょうが、小さな命、小さな存在同士の共感を感じます。
 他、印象に残る句。
7 ただのフーテンじゃねえー寅さんは凍てついた人の心をあたためる 遠藤修司
 最近BSで過去の作品を流していますが、今見ても面白いです。変わらない人情、笑い、挫折と立ち直り、懐かしい当時の雰囲気に、じんときます。
 渥美清さんのはまり役、ライフワークでした。「はまり役「を持つことができた幸せも感じます。なお、渥美清さん、「風天」の号を持つ俳人でもありました。
20 地下街凍てつく山積みの「ガロ」  野谷真治
 地下街と漫画誌「ガロ」の組み合わせが絶妙です。常識への反逆、逃走が身近に感じられた時代を映し出していました。今も私の中に、つげ義春さんや永島さんの影響が強く残っています。
40 コロナ死の最多建国記念の日    中野硯池
 コロナは、いつになったら終わるのだろうと思っていたのが、終わるどころか「最多」を更新しています。
 「建国記念の日」に「最多」というのも皮肉です。
59 草餅や母の手作り愛おしき     野原加代子
 こういう春ののどかな光景。長く続いてほしいですね。
62 灯油販売雪やコンコン値上がりす  三村須美子
 「雪やコンコン」の曲をかけて灯油販売の車が回っていますが、戦争の影響で原油高。他、パンなどの小麦製品も上がっています。
 こんな形で苦しむのは、いつも庶民。
80 婆さんと笑われても叫びたい戦争反対 蔭山辰子
 まさしく本当のことばです。この句を読んで、亡くなった瀬戸内寂聴さんを思い出しました。
○野谷真治特選
46 戦争起こすな春満月大地照らす  金澤ひろあき
 ロシア軍のウクライナ侵攻が起こった。今も、戦争が続いている。悲しい。その夜も、満月は大地を照らすのだろう。―。
○蔭山辰子特選
55 また春が来る気はするか古都キエフ  金澤ひろあき
 今回の作品句集では皆様が、コロナ禍戦争苦の何とかならないものかと、心を痛めていること深く感じました。
10 一つひとつていねいに生命を拾って逃げた1945・8・9山に向かって
   林京子さん筆      遠藤修司
 過去の戦争で、空襲で、私は小学校3年生でした。当時を覚えている最後の世代かも知れません。平常をとりもどすことはどうすればいいのかお思いますが、悲しいかな、高齢、身体の弱りで、ただ平和を天に祈るのみです。
○野原加代子特選
27 いぬふぐり青く目覚めて春となり  白松いちろう
 道ばたにいぬふぐりを見かけると春が来てるんだなあと毎年思います。心ワクワク感と和やかにつつまれます。また何かに頑張ろうと思わせてくれます。大好きな野草です。
○暉峻康瑞特選
7 ただのフーテンじゃねえー寅さんは凍てついた人の心をあたためる 遠藤修司
 現今の世界、ウクライナへの戦争独裁者は悪魔なり。ヒットラー、スターリン、プーチン、そのほか、歴史をみるとすべて権力者は亡びる也。フーテンの寅さんのテレビ、小生見ます。昔あった日本人の義理、人情ぬくもりがあります。ほっとして心より安心します。現代日本が失った温情の世界ですね。
○三村須美子特選
46 戦争起こすな春満月大地照らす   金澤ひろあき
この句はロシア軍によるウクライナへの侵攻前夜の願いでしょう。誠に残念なことになってしまいました。毎日戦場の悲惨な状況が届いています。月は世界中を隈なく照らします。また、人の心の奥底をも照らします。[民族の自決]ウクライナ国民の権利、意思の尊重を願わずにはいられません。