京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
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離任式のあいさつ

2019-04-08 17:50:47 | 日記
離任式のあいさつ
                 金澤 ひろあき
退職までのさいごの8年間、お世話になった高校へ行き、お別れのあいさつをしてきました。こんな話です。

 皆さん、おはようございます。お時間をいただきありがとうございます。
 実は、皆さんとは、授業では一回も接したことがありません。顧問であった放送部の皆さんとは、毎日会っていましたが。ただ、皆さんの多くの先輩たちと、8年間接してきました。
 60年の人生のうち、33年、教員をしてきました。人生の半分を越えています。
 その最後の8年間を、この京都すばる高校でお世話になりました。働いてきた歳月の4分の1を過ごしました。最後の4分の1です。
 今、思い返すと、かけがえのない4分の1でした。とはいえ、私のやってきたことは、実にささやかなことです。「毎日、寄り添って、見守る。」 それだけをやりました。見守って、寄り添い、心を開き、話を聴く。いっしょにやってみる。
その中で皆さんの先輩たちが、大きく成長する姿をたくさん見てきました。それが私にとって、大きな喜びになりました。大きな喜びの中で、私も成長させてもらいました。
毎日の当たり前の日々の中で、大きな喜びに会える。これは幸せのひとつだと思っています。
 最後に私は、朗読が好きです。退職のこの場で、手紙を1つ、朗読をしようと思っておりますので、お許し下さい。その手紙は、宮澤賢治が人生の最後に書いた手紙です。宮澤賢治も、4年間ですが、教師をしていました。かつての教え子に書いた手紙。つまり、自分より若い人達へのメッセージです。この手紙で、ここにいらっしゃる若い皆さんへのメッセージにしようと思います。
 『風のなかを自由にあるけるとか、はっきりした声で何時間も話ができるとか、じぶんの兄弟のために、何円かを手伝えるとかいうようなことは、できないものから見れば神の業(わざ)にも均(ひと)しいものです。
そんなことは、もう人間の当然の権利だなどというような考えでは、本気に観察した世界の実際と余り遠いものです。
どうか今のご生活を大切にお護(まも)り下さい。うわのそらでなしに、しっかり落ちついて、一時の感激や興奮を避け、楽しめるものは楽しみ、苦しまなければならないものは苦しんで、生きて行きましょう。』

ここまでが、宮澤賢治の手紙です。本当に、「どうか今のご生活をおまもり下さい。」そしてぜひ、皆さんのこれからの長い人生のどこかで、かけがえのないものを得て下さい。
本当にこれまで、ありがとうございました。

 このお話を済ませて、お別れを告げました。向島の田んぼの中にある学校です。田んぼの用水路ぞいに通学路があります。用水路ぞいの桜が満開でした。
長い列 別離止まらぬ花吹雪   ひろあき