〝人の命を救うと言うことは、本来踏みこんではいけない領域に踏み込むと言うことだ〟
こういう言葉に説得力があるところが、「Dr.コトー診療所2006」というドラマが他の医療ドラマと決定的に違う点ですね。
今まで何度も難しいオペに成功し、人命を救ってきたコトー先生が、それでも術後に浮かない顔をして海を見ていたりしたのは、そのことが頭をよぎっていたからなのでしょうか。
星野彩佳(柴咲コウ)の手術を、自ら行う決心をしたコトー・五島健助(吉岡秀隆)。
そんなコトーを、鳴海(堺雅人)は「会わせたい人がいる」と自宅に招く。
そこには、鳴海自身が5年前に手術をし、そのまま植物人間となった鳴海の妻が眠っていた。
「妻は生きているのか、死んでいるのか」とコトーに問う鳴海。
家族への(家族のように思っている人への)手術は行うべきではないと助言する。
手術の日。
コトーの様子がいつもと違う。
冷静さを失い、看護師に声を荒げる。
鳴海は見かねて声をかけるが…。
「優秀な外科医は、心を持ってはいけない。
人の命を救うと言うことは、本来踏みこんではいけない領域に踏み込むと言うことだ。
そこに心が介在すると、間違った方向へ進んでしまう」
「家族と言うのは、その人間の全てを背負うということだ」
「君がやろうとしていることは偽善だ」
「医者は患者と家族になれない! なってはいけない!」
鳴海の苦悩を知らされたあとだと、これらの言葉の一つ一つに説得力があります。
コトーが曖昧にしてきた(?)課題の結論を鳴海は迫ります。
彩佳の手術中。
冷静さを無くしたコトーが我に返ることが出来たのも、鳴海の「星野彩佳であることを忘れて、患部だけを見ろ」という言葉のおかげでした。
医者が的確な判断を必要とする時、人間らしさは邪魔になる。
医者とはなんと因果な職業でしょう。
けれど…
的確な治療、的確な手術が出来ても、それだけでは人の心は救えない。
病は、その原因の多くが心の問題に起因している以上、そこを無視はできない筈。
手術を終えたコトー先生が、母(宮本信子)に電話をかけます。
人間味にあふれたシーンでしたね。
鳴海に別れを告げる時、コトーが出した答え。
「人として答えるなら、あなたが生きていると思い続けるかぎり、奥さんは生きています。
そして医師として答えるなら、あなたが治療を続けるかぎり、やはり奥さんは生きています。
そしていつか奇跡は起こせるかも知れない。そこにも、絶対はないと思います」
きっと、その〝絶対ではないこと〟を左右するのは、心の在り方なのでしょう。
で、コトー先生はこれからも患者さんたちの心に添っていくのでしょう。
最終話は〝医師とはどう在るべきか〟に比重が置かれた分、患者側や病そのものについてはあまり描かれていませんでした。
が、視聴者として、一般人として、少し考えてみたい。
〝人の命を救うと言うことは、本来踏みこんではいけない領域に踏み込むと言うことだ〟と鳴海医師は言います。
病というのはきっと、人が本来進むべき方向とは違う方向へ進んでしまう時、本来の道に気づかせるため、神か何かが起こしてくれる現象のような気がします。
病だけに目を向ければ辛く苦しいけれど、その背景には何か大切な意味がきっと隠されているに違いない。
それを、本人(もしくはそこに関わっている人)が気づけないうちに治療してしまうというのは、神に叛く行為になるのかも知れませんね。
病は気づきのチャンス。
すべて気づけた時に、奇跡は起こるのかも知れない。
ゆかりさんがそうであったように、鳴海夫妻にも。
まだ書き足りないこともありますが、これで「Dr.コトー診療所2006」全話のレビューを終わりにします。
連続ドラマを初回から最終話まで欠かさず書いたのは初めてでしたが、正直のところ、しんどい時もありました。
その間、このブログの在り方についても考えていました。
私自身の状況も、ブログを始めた当初よりは多方面に向き、それに伴い忙しくもなってきました。
おそらく、このように一つのドラマについて毎週書くということは、今後なくなると思います。
書きたい時に書く。柔軟に、臨機応変にやっていこうと思います。
毎週、コメントやTBをくださった皆様、ありがとうございました。
共に感動を分かち合えたことを嬉しく思います。
こういう言葉に説得力があるところが、「Dr.コトー診療所2006」というドラマが他の医療ドラマと決定的に違う点ですね。
今まで何度も難しいオペに成功し、人命を救ってきたコトー先生が、それでも術後に浮かない顔をして海を見ていたりしたのは、そのことが頭をよぎっていたからなのでしょうか。
星野彩佳(柴咲コウ)の手術を、自ら行う決心をしたコトー・五島健助(吉岡秀隆)。
そんなコトーを、鳴海(堺雅人)は「会わせたい人がいる」と自宅に招く。
そこには、鳴海自身が5年前に手術をし、そのまま植物人間となった鳴海の妻が眠っていた。
「妻は生きているのか、死んでいるのか」とコトーに問う鳴海。
家族への(家族のように思っている人への)手術は行うべきではないと助言する。
手術の日。
コトーの様子がいつもと違う。
冷静さを失い、看護師に声を荒げる。
鳴海は見かねて声をかけるが…。
「優秀な外科医は、心を持ってはいけない。
人の命を救うと言うことは、本来踏みこんではいけない領域に踏み込むと言うことだ。
そこに心が介在すると、間違った方向へ進んでしまう」
「家族と言うのは、その人間の全てを背負うということだ」
「君がやろうとしていることは偽善だ」
「医者は患者と家族になれない! なってはいけない!」
鳴海の苦悩を知らされたあとだと、これらの言葉の一つ一つに説得力があります。
コトーが曖昧にしてきた(?)課題の結論を鳴海は迫ります。
彩佳の手術中。
冷静さを無くしたコトーが我に返ることが出来たのも、鳴海の「星野彩佳であることを忘れて、患部だけを見ろ」という言葉のおかげでした。
医者が的確な判断を必要とする時、人間らしさは邪魔になる。
医者とはなんと因果な職業でしょう。
けれど…
的確な治療、的確な手術が出来ても、それだけでは人の心は救えない。
病は、その原因の多くが心の問題に起因している以上、そこを無視はできない筈。
手術を終えたコトー先生が、母(宮本信子)に電話をかけます。
人間味にあふれたシーンでしたね。
鳴海に別れを告げる時、コトーが出した答え。
「人として答えるなら、あなたが生きていると思い続けるかぎり、奥さんは生きています。
そして医師として答えるなら、あなたが治療を続けるかぎり、やはり奥さんは生きています。
そしていつか奇跡は起こせるかも知れない。そこにも、絶対はないと思います」
きっと、その〝絶対ではないこと〟を左右するのは、心の在り方なのでしょう。
で、コトー先生はこれからも患者さんたちの心に添っていくのでしょう。
最終話は〝医師とはどう在るべきか〟に比重が置かれた分、患者側や病そのものについてはあまり描かれていませんでした。
が、視聴者として、一般人として、少し考えてみたい。
〝人の命を救うと言うことは、本来踏みこんではいけない領域に踏み込むと言うことだ〟と鳴海医師は言います。
病というのはきっと、人が本来進むべき方向とは違う方向へ進んでしまう時、本来の道に気づかせるため、神か何かが起こしてくれる現象のような気がします。
病だけに目を向ければ辛く苦しいけれど、その背景には何か大切な意味がきっと隠されているに違いない。
それを、本人(もしくはそこに関わっている人)が気づけないうちに治療してしまうというのは、神に叛く行為になるのかも知れませんね。
病は気づきのチャンス。
すべて気づけた時に、奇跡は起こるのかも知れない。
ゆかりさんがそうであったように、鳴海夫妻にも。
まだ書き足りないこともありますが、これで「Dr.コトー診療所2006」全話のレビューを終わりにします。
連続ドラマを初回から最終話まで欠かさず書いたのは初めてでしたが、正直のところ、しんどい時もありました。
その間、このブログの在り方についても考えていました。
私自身の状況も、ブログを始めた当初よりは多方面に向き、それに伴い忙しくもなってきました。
おそらく、このように一つのドラマについて毎週書くということは、今後なくなると思います。
書きたい時に書く。柔軟に、臨機応変にやっていこうと思います。
毎週、コメントやTBをくださった皆様、ありがとうございました。
共に感動を分かち合えたことを嬉しく思います。
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鳴海医師がなぜ今のような考えになったのかの経緯が説得力ある形で書かれていて良かったと思います。これがないと、ただの「冷たい医師」ととられかねないですから…。
医師としてどうあるべきか。それは医師によっても色々だし、その答えはこれからも探し続けるものなんだろうな、と思います。
またレビューが重なったときにはよろしくお願いします。
最後はハッピーエンドで良かったですね。
医師としてどうあるべきか。
譲れないところはあっても、コトーも鳴海も、以前よりもお互いのやり方を尊重するようになれたと思います。それは今後の二人にとって、きっと大きなプラスになるでしょう。
こちらこそ、これからもよろしくお願いします。
コメント・TB、有難うございました。
コトー、やっぱり良いドラマでしたね。
皆のその後、が気になる終わり方でしたが、ハッピーエンドでしたし大満足でしたw
続編してほしいなぁ~
URL貼り付けるの忘れちゃいましたッ!
一応はっときますね
失礼しました!
全話を通して、人の繋がりの素晴らしさを実感させてくれたドラマでしたね。
登場人物それぞれの後日談も気になります。
続編、観たいですね!
普段はあまりランク付けをしない主義なんですけど、楽しそうなので邦画部門に投票させてもらいます。