明日へのヒント by シキシマ博士

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「風のガーデン」 償いそして赦すこと

2008年12月01日 01時42分35秒 | 明日のためのドラマ
良く晴れた日には、秋留台公園から富士山がくっきりと見えます。
やはり夏とは明らかに鮮明度が違う。
踏みしめるイチョウの落ち葉も、秋の終わりを教えてくれます。
こんな当たり前の季節の変化を、特別に慈しむようになったのも、母をリハビリのためにここへ連れて来るようになってから。
ひとつのモノの見方・捉え方。それは普通の人より深いほうだと自負しています。
これも母の病がもたらしてくれたものと思えば、それもまた有り難いことです。
でも、まもなく、外出するのがつらい冬。
あと何度、この季節を母と共に迎えられるんだろう。
そんなことを思うと、この一瞬一瞬の掛け替えの無さに、いっそう密度が増していくのです。


現在、フジテレビで放送中の「風のガーデン」は、今シーズン、私が唯一見ているドラマです。
毎週、実感と緊張感を持ちながら噛み締めるよう見てしまうのは、そこに、今の自分の心境とよく似たものを見てしまうからでしょうか。
これまでのストーリーを要約すると…

6年前、不倫関係から妻を自殺させてしまった主人公・白鳥貞美(中井貴一)は、父親・貞三(緒方拳)から勘当され、北海道富良野にいる二人の子(黒木メイサ・神木隆之介)とは絶縁となり、東京の医大病院の麻酔科医として暮らしていた。
ある日、貞美は姉から、富良野に帰ってくるように誘われる。
しかし同じ頃、貞美は自分が癌の末期であることを知る。
富良野に戻った貞美は、キャンピングカーで寝泊まりしながら密かに家族の様子を伺っていたが、すぐに二人の子に気づかれてしまう。
そして父・貞三もまた、貞美が富良野に帰っていると知る。
和解のためにキャンピングカーを訪れた貞三は、点滴を打ちながら熟睡している貞美を見、散らばった書類やエコー写真から、彼が癌の末期であることを知ってしまう。

ざっと、これまでの流れです。

人は最期に何処に還るのだろう。
…というのが、このドラマのホームページにも載っている言葉です。
そして、私がこのドラマから受けとるのは、
人は死ぬ前に、何をどう償い、誰をどう赦すのか…ということです。
死んで逝く者もそうですが、のこる者も。

貞美はまもなく死にます。
家族が絶縁状態にあった期間は、もう決して戻ってきません。
6年前に勘当を言い渡した貞三の後悔は、どれほどのものでしょう。

その貞三を演じる緒方拳さんが、肝臓癌を煩いながらこのドラマに参加され、第一回の放送を持たずして亡くなられたことも、感慨を深くさせます。
緒方さん自身、どのような心境でこの役に取り組まれたのでしょう。

今年は「おくりびと」をはじめ、〝死〟をあつかったドラマや映画は多いですが、この「風のガーデン」が考えさせてくれることの意義深さはまったく別格です。
12年前に我が母が脳梗塞を煩い、右の手足が不自由になったのは、私のことでの心労によるところが大きいと思います。
けれど、それでも生きていてくれる有り難さを噛み締めながら、共に過ごす限り有る日々を、一日一日大切に有意義に送って行きたいものです。


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