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女としてのたしなみや慎みを持たず、自分の色情のままに男性遍歴を重ね、淫女とも言えるような奔放な生き方をする母の郁代。そんな母親に悩まされ、憎みさえしながらも、彼女を許し、心の支えとして絶えずかばい続ける娘の朋子。―古風な花柳界の中に生きた母娘の肉親としての愛憎の絆と女体の哀しさを、明治末から第二次大戦後までの四十年の歳月のうちに描く。
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宮尾登美子さん、山崎豊子さん、有吉佐和子さんの描く女性、好きです
奔放な母親に振り回されながらも、許し、かばい、憎しみを感じながらも肉親の愛情を捨てきれない娘の、「女の一生」。
花柳界における風習やしきたりなどの描写も面白く、母親にも、主人公の朋子にも同情したりイライラしたりしながら、引き込まれて一気に読んでしまいます。
花柳界を描いたものでは、宮尾登美子さんの作品がどれも大好きで、何度も読み返していますが・・・有吉佐和子さんの「芝桜」も良かったですねあれも、まじめな主人公が、自由奔放に生きる友達に振り回されながらも離れられない・・・という話。「芝桜」の女の友情が、「肉親への愛情」に置き換えられたのがこの「香華」でしょうか。
「香華」(仏前に手向ける花)というタイトルもいいですね。主人公の朋子は、愛した3人の男性を亡くし、母を亡くした後、仏前に花を供えながら何を考えたのでしょうか。