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ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

平日1本だけの半蔵門行き

2018年05月11日 09時00分20秒 | 写真

 今年3月30日に行われた田園都市線のダイヤ改正でも、平日1本だけ(土曜日および休日には1本もなし)の各駅停車半蔵門行きが残りました。中央林間駅6時15分発、半蔵門駅7時38分着、列車番号032062です。途中の高津駅では7時5分発、二子玉川駅では7時8分発で、桜新町駅で急行の通過待ちをします。

 改正前には東京メトロ車が充てられていましたが、改正後は東急車で運行されています。5月10日、田園都市線に3編成しかない2000系の2001Fが充当されていました。

 1992年、田園都市線の輸送増強用として登場したのがこの2000系です。同年に2編成(2001Fおよび2002F)が製造され、田園都市線と半蔵門線(当時は渋谷〜水天宮前)の直通運転に投入されました。1993年にはもう1編成(2003F)が製造されましたが、当初は8両編成で東横線に登場しました。同線で運用されたのは僅かな期間で、10両編成化されて田園都市線に移りました。それ以来、3編成とも田園都市線・半蔵門線で活躍していますが、東武線に乗り入れることはありません(そのことを示すⓀマークが、正面の貫通扉に付けられています)。

 長らく東横線で活躍し、現在は大井町線の主力となっている9000系のデザインを基調にしているだけに、正面から見ると9000系と区別が付きませんが、屋根のクーラーキセの形状で2000系とわかります。また、音が全く違います。インテリアも異なります。かつては、窓のカーテンに渋谷109などがデザインされたものが使用されていました。

 今年は半蔵門線開業40周年にあたります。1978年に、まずは渋谷〜青山一丁目が開業しました。翌年には永田町まで延長しますが、帝都高速度交通営団(当時)の路線であるにもかかわらず、東急8500系のみが運用されていました。営業区間が短い上に、まだ車庫が完成していなかったためです。営団8000系が登場したのは1981年のことです。

 1982年に半蔵門まで、1989年に三越前まで、1990年に水天宮前まで延伸開業します。長らく渋谷〜水天宮前という時代が続きました。1989年から私は半蔵門線をよく利用するようになり(神保町へ行くことが多かったためです)、1992年4月からは通学路線としていました。当時は朝のラッシュ時によく半蔵門止まりが到着していたので、九段下駅で乗り換える私は時刻表を注視しながら電車に乗っていました。

 2002年に東急5000系が登場し、2003年には水天宮前〜押上が開業し、東武伊勢崎線・日光線との直通運転を開始しました。ちなみに、この水天宮前〜押上が営団最後の新規開業区間です(2004年に営団が民営化されて東京地下鉄株式会社となったため)。

 朝ラッシュ時の半蔵門止まりは少なくなっていき、いつの間にか平日の1本だけとなりました。但し、日中に渋谷止まりが何本かあり、渋谷〜半蔵門で回送運転します。沿線住民としては、この渋谷止まりを半蔵門駅か清澄白河駅まで延長して欲しいと願っています(かつては日中に清澄白河行きがありました)。

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最近思うこと

2018年05月10日 23時53分40秒 | 国際・政治

 最近の(いや、最近に限らないのですが)日本を、内から見て思うこと。

 はしごを外されると、自暴自棄になって何の脈絡もないような行動に出るのでしょうか。

 根拠があるのかないのかわからない大国意識に囚われ続けている、神話が大好きな日本。

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大変な朝でしたが、やっぱり…… 

2018年05月09日 06時00分00秒 | 日記・エッセイ・コラム

 今年度、通常の火曜日は中央大学経済学部の講義「行政法」ですが、本務校である大東文化大学での公務のため、2018年5月8日は休講としました(いつか補講をするつもりです)。

 少しばかり早く起きて、朝食をとり、うちを出ようと思っていたら……。

 私のiPhone8に東京急行電鉄から遅延の連絡が入りました(アプリを経由してメールでの連絡サービスを受けています)。そこでは青葉台駅と田奈駅との間で線路内に人が立ち入った、というようなことが書かれていました。

 御存知の方も少なくないと思うのですが、田園都市線には踏切が一箇所もありません。こうなると、青葉台駅か田奈駅のどちらかから人が線路内に入るか、途中のどこか(トンネルがあるので、その入口付近からが有力でしょう)から入るしかありません。

 そこで、私は、朝、大幅に遅れ、旧新玉川線の区間では降りようと思っても降りることができないほどに混雑した田園都市線の各駅停車に乗りながら考えました。外れて欲しいけど、誰かが何か悪いことでもして駅から線路に降りたのだろう、捕物帖にでもなるかもしれないようなことが起こっているのではないか、と。

 やはりそうでした(但し、少しばかり外しました。私は窃盗か痴漢かと思っていたのです)。神奈川新聞が「盗撮指摘され線路を逃走 朝の東急青葉台駅、電車に影響」として、8日の20時30分付で報じています(https://www.kanaloco.jp/article/329797)。

 見出しで大体の話はわかるでしょう。

 それにしても迷惑な話です。青葉台駅から線路に飛び降りて田奈駅の方向に走って逃げたのでしょうが、どこまで行ったのかわかりません。いや、どこまで行ったかはどうでもいいことです。線路に降りて逃走したことが問題なのです。これでは電車が動かなくなっても仕方がありません。人身事故でも起こったらさらに悪い話になります。ラッシュ時まるまる運転見合わせとなりかねないのですから。

 私が乗った各駅停車は、30分以上も遅れて渋谷駅に到着しました。いつもであれば、そのまま半蔵門線に入って神保町駅で三田線に乗り換えるのですが、渋谷駅で降りざるをえなくなり、再び乗ることができない程であったのであきらめました(いつもであれば、こんなことはありません)。仮に乗ることができたとしても、神保町に着くまでさらに遅れるかもしれません。そこで副都心線に乗り換えました。

 遅延の理由の一つに、具合が悪くなった乗客への対応というものがあります。誰でも、何時、何処でどうなるかわかりませんから、こういう理由に対して怒ってはいけません。私自身、或る夜、各駅停車に乗って帰る途中に用賀駅1番線ホームで倒れている人を見ました。10号車の近くであったため、すぐに運転士さんがそばに行き、駅員さんも来て対応しました。かなり具合が悪そうであったため、「電車が何時までも動かない」とは思わず、むしろ「あの人は果たして大丈夫だろうか」と心配してみていました。多くの乗客がそうであったはずです。

 5月8日の朝は違います。理由が理由なので、怒りたくなります。「何を考えているんだ?」、と。

 ★★★★★★★★★★

 今回の事件で、青葉台駅へのホームドア導入が早まるかもしれません。

 ★★★★★★★★★★

 そう言えば、先月は青葉台に一度も行っていません。

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これは注目しておくべき法律案では?

2018年05月08日 00時01分00秒 | 国際・政治

 衆議院のサイトを見たら、第196回国会における内閣提出法律案第59号として「法務局における遺言書の保管等に関する法律案」が掲載されていました。

 今年(2018年)の3月13日、衆議院が議案として受理していますが、まだ付託などは行われていないようです。それでも法律案の中身は公開されています。

 詳しい内容は衆議院のサイトを御覧いただくとして、ここではいくつかの条文のみを紹介しておきましょう。

 第2条(見出しは「遺言書保管所」)第1項:「遺言書の保管に関する事務は、法務大臣の指定する法務局が、遺言書保管所としてつかさどる。」

 同第2項:「前項の指定は、告示してしなければならない。」

 第3条(見出しは「遺言書保管官」):「遺言書保管所における事務は、遺言書保管官(遺言書保管所に勤務する法務事務官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者をいう。以下同じ。)が取り扱う。」

 第4条(見出しは「遺言書の保管の申請」)第1項:「遺言者は、遺言書保管官に対し、遺言書の保管の申請をすることができる。」

 第2項:「前項の遺言書は、法務省令で定める様式に従って作成した無封のものでなければならない。」

 第3項:「第一項の申請は、遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所(遺言者の作成した他の遺言書が現に遺言書保管所に保管されている場合にあっては、当該他の遺言書が保管されている遺言書保管所)の遺言書保管官に対してしなければならない。」

 第4項:「第一項の申請をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、遺言書に添えて、次に掲げる事項を記載した申請書を遺言書保管官に提出しなければならない。

 一 遺言書に記載されている作成の年月日

 二 遺言者の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)

 三 遺言書に次に掲げる者の記載があるときは、その氏名又は名称及び住所

  イ 受遺者

  ロ 民法第千六条第一項の規定により指定された遺言執行者

 四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項」

 第5項:「前項の申請書には、同項第二号に掲げる事項を証明する書類その他法務省令で定める書類を添付しなければならない。」

 第6項:「遺言者が第一項の申請をするときは、遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。」

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青山ブックセンター六本木店が閉店する

2018年05月07日 21時09分40秒 | 日記・エッセイ・コラム

 一時期は広尾や自由が丘などにも店舗があった青山ブックセンター、略称ABCですが、名称に反してというべきか、最も古い店舗は六本木店です。日比谷線六本木駅の近く、麻布警察署のすぐそばにあります。

 私も、1984年、高校1年生の夏に初めて六本木に行った時から、WAVEとともに何度となく入っていました。故植草甚一氏は六本木へ行くと古書店の誠志堂に必ず寄っては何冊もの古本・古雑誌を買っていましたが、私は晶文社から刊行されている「植草甚一スクラップ・ブック」の大半を青山ブックセンター六本木店で購入していました。特別にコーナーを設けていたのがこの店くらいしかなかったことを覚えています(この頃には神保町などにも行っていました)。

 その六本木店が、6月25日(月)をもって閉店するとのことです。Yahoo! Japan ニュースにCINEMA.NET配信の記事として掲載されており、青山ブックセンターのサイトにもツイッターによる発表として掲載されていました(今、かなりつながりにくくなっています)。

 これで、青山ブックセンターの店舗は表参道の本店のみとなります(六本木店は本店に統合されるという形を採るそうです)。

 六本木店がオープンしたのは1980年のことでした。そのため、38年間の営業期間であったということになります。

 私が寄っていた頃は、朝の5時まで営業していました。そのためか、六本木で夜遊びした人などが日比谷線の始発(長らく、5時8分発東武動物公園行きと決まっていました)まで時間を潰したりするところとしても有名であったのです。

 現在は六本木ヒルズノースタワーとなっている所はかつて東日ビルで、そこの地下に、古書店ではない誠志堂書店がありました。勿論、六本木交差点のそばにあった誠志堂書店(建物は今でも誠志堂ビルというそうです)の支店です。高校生時代、学部生時代、そして院生時代に、六本木へ行くとまずはWAVEでLPやCDを探し、購入してから、ラピスラズリ、誠志堂書店、 ABCをまわっていました。

 青山ブックセンター六本木店といえば、とくに芸術関係の書物に強いというイメージがありますが、今はどうでしょうか。WAVEが閉店してから、あまり六本木に行かなくなったこともあって、最後にABCに入ってからもう2、3年が経過します。

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ようやく新車に乗ることができました

2018年05月07日 00時00分30秒 | 写真

この連休の期間中に田園都市線に乗る機会があり、ようやく、新車の2020系に乗ることができました。

 田園都市線・半蔵門線渋谷駅で撮影しました。田園都市線では急行でしたが、押上行きということもあり、半蔵門線では各駅停車に種別変更されます(このようになったのは東武線直通開始後です。それまでは種別変更がなかったのでした)。

 私は二子玉川駅から渋谷駅まで乗りました。乗客も多かったので車内を撮影していませんが、床が木(あるいは木目調)になっており、網棚の上の広告スペースも全て液晶画面(?)になっています。落ち着いた雰囲気の車両です。もっとも、座席の色など、インテリアの良さは東急の伝統です。

 正面の窓をよく御覧になるとおわかりであると思いますが、Ⓚというシールが貼られています。これは、長津田検車区に所属する田園都市線用の車両で東武線に乗り入れないものを意味します。2020系は、既に東武線内を試運転として走行しているのですが、3編成しかないのでしばらくの間、ということでしょうか。

 Ⓚと言えば、8500系の8606Fおよび8642F、8590系(8694Fおよび8695F)、そして2000系の全編成が該当し、これらは東武線に乗り入れません。東武線用の機器を搭載していないのです。しかし、2020系は搭載しているはずです。

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2018年5月5日、溝口緑地

2018年05月06日 00時00分00秒 | まち歩き

お昼頃に買い物へ行き、その帰りにiPhone8で撮影してみました。

 

 

 

 

 

 

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第196回国会における参議院議員提出法律案第5号

2018年05月05日 00時00分00秒 | 国際・政治

 昨日に続いて第196回国会に提出されている法律案を取り上げますが、今回は、おそらく第196回国会で成立することはないであろうと予想されるものです。

 私は、「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律」について、憲法第86条に違反するとまで言えなくとも問題が多いと考えています。従って、この法律を廃止することには賛成なのですが、この意見が通らないであろうということもわかっています。

 参議委員議員提出法律案第5号として今年の3月29日に参議院に提出されたのが「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律を廃止する等の法律案」です。やはり衆議院のサイトに掲載されているので、ここでも取り上げてみます。

 第1条には「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の廃止」という見出しが付けられており、次のような規定となっています。

 「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律(平成24年法律第101号)は、廃止する。」

 第2条には「平成30年度における特例公債の発行等」という見出しが付けられています。

 第1項:「政府は、財政法(昭和22年法律第34号)第4条第1項ただし書の規定により発行する公債のほか、平成30年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができる。」

 第2項:「前項の規定による公債の発行は、平成31年6月30日までの間、行うことができる。この場合において、同年4月1日以後発行される同項の公債に係る収入は、平成30年度所属の歳入とする。」

 第3項:「政府は、第1項の議決を経ようとするときは、同項の公債の償還の計画を国会に提出しなければならない。」

 第4項:「政府は、第一項の規定により発行した公債については、その速やかな減債に努めるものとする。」

 附則は省略します。

 提案理由は、次の通りです。

 「特例公債の発行は、必要とされる年度ごとに制定される法律に基づいて行われる必要があることに鑑み、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律を廃止するとともに、あわせて平成30年度における特例公債の発行に関する措置を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」

 私がこの法律案に賛成するのは、提案理由に示されている「特例公債の発行は、必要とされる年度ごとに制定される法律に基づいて行われる必要がある」という部分にあるのですが、今国会で成立することはないでしょう(今国会で廃案となる可能性もないとは言えません)。

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第196回国会における衆議院議員提出法律案第12号

2018年05月04日 23時42分13秒 | 国際・政治

 現在、参議院において審議中とのことですが、今国会(第196回国会)における衆議院議員提出法律案第12号として「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案」があります。衆議院のサイトに掲載されていますが、ここで取り上げさせていただきましょう。

 法律案の提出者は「内閣委員長」となっています。衆議院が受理したのは4月11日で、委員会における審査が省略され、翌12日は衆議院本会議において全会一致で可決されています。同日に参議院に受理されていますが、その後の経過は示されていません。

 第1条には「目的」という見出しが付けられています。次のような条文です。

 「この法律は、社会の対等な構成員である男女が公選による公職又は内閣総理大臣その他の国務大臣、内閣官房副長官、内閣総理大臣補佐官、副大臣、大臣政務官若しくは大臣補佐官若しくは副知事若しくは副市町村長の職(次条において「公選による公職等」という。)にある者として国又は地方公共団体における政策の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること(以下「政治分野における男女共同参画」という。)が、その立案及び決定において多様な国民の意見が的確に反映されるために一層重要となることに鑑み、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)の基本理念にのっとり、政治分野における男女共同参画の推進について、その基本原則を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、政治分野における男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、政治分野における男女共同参画を効果的かつ積極的に推進し、もって男女が共同して参画する民主政治の発展に寄与することを目的とする。」

 第2条には「基本原則」という見出しが付けられています。

 第1項:「政治分野における男女共同参画の推進は、衆議院議員、参議院議員及び地方公共団体の議会の議員の選挙において、政党その他の政治団体の候補者の選定の自由、候補者の立候補の自由その他の政治活動の自由を確保しつつ、男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指して行われるものとする。」

 第2項:「政治分野における男女共同参画の推進は、自らの意思によって公選による公職等としての活動に参画し、又は参画しようとする者に対するこれらの者の間における交流の機会の積極的な提供及びその活用を通じ、かつ、性別による固定的な役割分担等を反映した社会における制度又は慣行が政治分野における男女共同参画の推進に対して及ぼす影響に配慮して、男女が、その性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮できるようにすることを旨として、行われなければならない。」

 第3項:「政治分野における男女共同参画の推進は、男女が、その性別にかかわりなく、相互の協力と社会の支援の下に、公選による公職等としての活動と家庭生活との円滑かつ継続的な両立が可能となることを旨として、行われなければならない。」

 第3条には「国及び地方公共団体の責務」という見出しが付けられています。

 「国及び地方公共団体は、前条に定める政治分野における男女共同参画の推進についての基本原則(次条において単に『基本原則』という。)にのっとり、政党その他の政治団体の政治活動の自由及び選挙の公正を確保しつつ、政治分野における男女共同参画の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めるものとする。」

 施策の策定および実施が努力義務となっています。従って、策定がなされなかったとしても、または策定はされたが実施されなかったとしても、法的に問題があるという訳ではありません。法的拘束力を持たせることに問題があるということも考えられますが、或る程度の数値目標を設ける必要性はあるのではないでしょうか。諸外国の例がどのようになっているかも参照しなければならないでしょう。

 第4条には「政党その他の政治団体の努力」という見出しが付けられています。

 「政党その他の政治団体は、基本原則にのっとり、政治分野における男女共同参画の推進に関し、当該政党その他の政治団体に所属する男女のそれぞれの公職の候補者の数について目標を定める等、自主的に取り組むよう努めるものとする。」

 ここも努力義務となっています。政治団体が基本的に自主的組織であり、また、政治的信条が様々である以上、努力義務とせざるをえなかったのでしょう。

 第5条には「実態の調査及び情報の収集等」という見出しが付けられています。

 第1項:「国は、政治分野における男女共同参画の推進に関する取組に資するよう、国内外における当該取組の状況に関する実態の調査並びに当該取組に関する情報の収集、整理、分析及び提供(次項及び第九条において『実態の調査及び情報の収集等』という。)を行うものとする。」

 第2項:「地方公共団体は、政治分野における男女共同参画の推進に関する取組に資するよう、当該地方公共団体における実態の調査及び情報の収集等を行うよう努めるものとする。」

 ここでは、第1項において努力義務とされていないのに対し、第2項において努力義務とされています。まずは国から、ということでしょうか。

 第6条には「啓発活動」という見出しが付けられています。

 「国及び地方公共団体は、政治分野における男女共同参画の推進について、国民の関心と理解を深めるとともに、必要な啓発活動を行うよう努めるものとする。」

 ここを努力義務としたのはいかなる理由によるものでしょうか。政治団体への干渉になるのでなければ、むしろ啓発活動を積極的に行うべきではないかと思われます。衆議院で全会一致により可決されたのが、私には不思議なことに思われます。どの政党も真剣に考えていないのかどうかはわかりませんが、そう思われても仕方がないでしょう。

 第7条には「環境整備」という見出しが付けられています。

 「国及び地方公共団体は、政治分野における男女共同参画の推進に関する取組を積極的に進めることができる環境の整備を行うよう努めるものとする。」

 ここも、努力義務に留めた理由を知りたいものです。

 第8条には「人材の育成等」という見出しが付けられています。

 「国及び地方公共団体は、政治分野における男女共同参画が推進されるよう、人材の育成及び活用に資する施策を講ずるよう努めるものとする。」

 これについても、努力義務に留めた理由を知りたいものです。予算の都合によるのかもしれません。

 第9条には「法制上の措置等」という見出しが付けられています。

 「国は、実態の調査及び情報の収集等の結果を踏まえ、必要があると認めるときは、政治分野における男女共同参画の推進のために必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。」

 努力義務に留められていませんが、不確定概念や裁量でおなじみの「必要があると認めるとき」という言葉が使われています。「とき」ですから「必要があると認められるならば」という意味です。

 提案理由は、次のように述べられています。

 「政治分野における男女共同参画が、国又は地方公共団体における政策の立案及び決定において多様な国民の意見が的確に反映されるために一層重要となることに鑑み、政治分野における男女共同参画を効果的かつ積極的に推進するため、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとり、政治分野における男女共同参画の推進について、その基本原則を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、政治分野における男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」

 地方議会では女性議員の比率が高いところもあります。神奈川県の大磯町が代表的な例です(他に隣の二宮町も有名でした)。しかし、全体的にみれば、世界的にも低いほうです。「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案」の「案」がとれて「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が成立したとして、どの程度の効果があるのでしょうか。長期的な視点を持つ必要があるのですが、徐々に比率を高められるならば効果がある、と判断すべきなのでしょう。

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寡婦(寡夫)控除のあり方

2018年05月03日 15時18分00秒 | 国際・政治

 平成29年度、平成30年度と、税制改正では「個人所得課税改革」が行われてきましたが、これこそ再検討の必要性が高いと思われるものがあります。所得税法第81条に定められる寡婦(寡夫)控除です。単純に税制の問題であるというだけでなく、子育て、保育などの問題にもつながります。

 このブログでも2014年10月21日11時06分22秒付で「川崎市の『みなし適用』」という記事を掲載しましたが、世界、少なくともOECD加盟諸国で一番と評価される程、一人親世帯の問題は深刻で、税制においても何らかの対応を迫られています。しかし、話が進んでいません。むしろ、一部の地方公共団体による取り組みが先行している状況です。その例が、川崎市で2014年8月1日から実施された「みなし適用」なのです。

 行政法においては、国より地方が先行するという事例がいくつかあります。情報公開はその典型ですが、ひとり親問題への対処もその一つなのかもしれません。

 このようなことを書いてきたのは、西日本新聞社が4月30日6時付で「同じシングルマザーなのに…「非婚の母」に冷たい税制 「不公平」の指摘にも改正先送り、なぜ?」(https://www.nishinippon.co.jp/nnp/anatoku/article/412626/)として報じていたからです。

 寡婦(寡夫)控除は、夫と別れた妻、または妻と別れた夫について適用される所得控除です。ここで「別れた」と書きましたが、生き別れ(つまり離婚)でも死に別れでも、とにかく婚姻関係が終了すればよいのです。言い換えれば、同じ母子家庭であっても、不倫が原因で夫と別れた妻Aさんについては寡婦控除が適用されるのに対し、子供はいるが何らかの理由により一度も結婚をしたことがないBさんについては寡婦控除が適用されません。

 相変わらず、六法を参照しないで講義に出ている学生が多いので困っていますが、それはともあれ、所得税法第2条は同法において用いられる用語についての定義をおいています。同第1項第30号は次のように規定しています。

 「三十 寡婦 次に掲げる者をいう。

 イ 夫と死別し、若しくは夫と離婚した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、扶養親族その他その者と生計を一にする親族で政令で定めるものを有するもの

 ロ イに掲げる者のほか、夫と死別した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、第70条(純損失の繰越控除)及び第71条(雑損失の繰越控除)の規定を適用しないで計算した場合における第22条(課税標準)に規定する総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額(以下この条において『合計所得金額』という。)が500万円以下であるもの」

 また、同第31号は次のように規定しています。

 「三十一 寡夫 妻と死別し、若しくは妻と離婚した後婚姻をしていない者又は妻の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、その者と生計を一にする親族で政令で定めるものを有し、かつ、合計所得金額が500万円以下であるものをいう。」

 ここで、先程のAさんとBさんに再び登場していただきましょう。この二人は同じ職場に務めており、給与収入は同じ200万円です。なお、子供の人数などは問わないこととします(扶養控除の額など、適用される所得控除の違いを考慮に入れると、それこそ千差万別になり、比較の意味をなさなくなるためです)。

すると、給与所得控除は78万円ですので給与所得は122万円となります。

 (∵200−〔72+(200−180)×0.3〕=200−72−6=122)

 ここまではAさんとBさんは同じです。また、両人に基礎控除が適用されますから、基礎控除を適用した後の所得金額は84万円となります。

 ここからが違ってきます。Aさんには寡婦控除が適用されますから、さらに27万円が控除され、合計所得金額(但し、扶養控除などの適用前のもの)は57万円となります。これに対し、Bさんには寡婦控除が適用されませんので、合計所得金額(やはり扶養控除などの適用前のもの)は84万円のままです。勿論、この27万円の差は小さくありません。

 平成30年度与党税制改正大綱は「働き方の多様化」を指摘していますが、社会全体に照らせばやや狭いでしょう。「生き方の多様化」のほうがしっくりくる表現かもしれません。もとより、時代が進むにつれて多様化したのではなく、最初から多様性があったのです。働き方についても同じで、多様化の指摘が意味するのは、これまでいかに社会の様々な側面を無視してきたか、または気づかなかったか、了見が狭かったか、という事実です。多様化が全くなかったという訳ではありませんが、世の中の変化はゆっくり進むために目に見えてこなかった、ということでしょう。

 ともあれ、同じシングルマザーでも婚姻歴の有無で税額にも差が出てきてしまうのです。なお、以上は国税たる所得税のみの話なので、都道府県住民税、市区町村住民税を含めていません。

 上記西日本新聞記事には、厚生労働省によって2016年に行われた調査が取り上げられています。母子家庭となった原因は、離婚が79.5%、死別が8%、非婚(未婚)が8.7%です。1983年の調査によれば、離婚は不明ですが死別が36%、非婚(未婚)が5%であったとのことですから、33年間に大きく変化したということでしょう。

 また、2016年の年間就労所得をみると、離婚した母親の世帯が205万円、非婚(未婚)の母親の世帯が177万円です。私が大分大学在職中から講義で繰り返してきた「子は親を選べない」という言葉に照らしても、また平均年収の差に照らしても、所得の多い方よりも少ない方が所得税額が多いという逆転現象が生じている訳です。

 平成30年度税制改正において、寡婦(寡夫)控除の適用の範囲を広げようという意見はあったようです。しかし、適用を拡大すれば「非婚の出産を奨励することになり、家族の在り方が崩れる」という意見が強かったために、非婚(未婚)の母親については適用されないままとなりました。

 しかし、少し考えればわかりますが、「非婚の出産を奨励することになり、家族の在り方が崩れる」という意見はおかしいと言えます。少なくとも、寡婦(寡夫)控除を非婚(未婚)の親に適用しないことへの理由にはなりません。

 第一に、「家族の在り方が崩れる」のであれば離婚も同じことです。離婚は、それがどのような理由によるものであれ、一般的には当事者である夫婦が家庭を壊すものと言えます(この点が死別と異なります)。従って、寡婦(寡夫)控除を離婚した元妻または元夫に適用するのは筋が通らないためにおかしい、ということになります。また、少子高齢化に悩んでいるならば、「非婚の出産を奨励する」とまでは言いませんが(流石に奨励する訳にはいかないからです)「非婚の出産を」保護する、というくらいの政策こそが必要でしょう。何も「家族の在り方」にこだわって少子高齢化を促進する必要はないからです。

 (書名などを覚えていませんが、「家族の在り方」にこだわる国ほど少子高齢化が進みやすいという趣旨を読みました。「なるほど」と思っています。)

 さらに記しておきますと、所得税法第2条第1項第30号および第31号の定義の妥当性も検討しておく必要があるでしょう。手元の電子辞書に入っている『大辞泉』によると、寡婦は「夫に死に別れて再婚しないでいる女性」を意味する言葉です。言い換えとして「後家」、「未亡人」という言葉が出ています。これに対し、寡夫は電子辞書版『大辞泉』に掲載されていないのですが、「妻に死に別れて再婚しないでいる男性」を意味する言葉であると理解できます。立法および改正の経緯がわかりませんが、寡婦または寡夫を「夫と離婚した後婚姻をしていない者」または「妻と離婚した後婚姻をしていない者」にまで広げるのは、国語としては行き過ぎであるとも言えます。

 税制だけで一人親世帯の貧困率などを解消または改善できる訳ではありませんが、できることはやるのが筋でしょう。寡婦(寡夫)控除の見直しは必至であると言えます。その際には、次の二つのいずれかを採るべきです。

 ①適用対象を結婚歴の無い母親または父親にも拡大する。ともあれ、扶養する子どもがいれば適用する。

 ②適用対象を狭め、配偶者と死別した寡婦または寡夫にのみ寡婦(寡夫)控除を適用する(但し、死別の原因によっては適用の対象外とする)。これに対し、「夫と離婚した後婚姻をしていない者」および「妻と離婚した後婚姻をしていない者」に対しては寡婦(寡婦)控除の適用対象としない。

 ①が最善ですが、②も検討に値するはずです。

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