ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

大分市内7駅の無人駅化は先送りされるが……

2018年02月17日 10時59分50秒 | 社会・経済

 このブログでは、2017年12月17日0時52分31秒付で「JR九州の減量ダイヤ改正」、同年10月5日23時42分0秒付で「JR九州、いっそうの無人駅化促進 ローカル線の廃止についての議論も開始か」、同年9月2日11時41分29秒付で「大分市内の駅でも無人駅化が進められるか」を掲載しました。今回はこれらの記事の続編ということになります。

 今日(2018年2月17日)の3時0分付で、朝日新聞社のサイトに「大分)無人化7駅は先送り 削減は予定通り 憤る障害者」という記事(https://digital.asahi.com/articles/ASL2J54WCL2JTPJB00T.html)が掲載されました。住んでいたことがある者としては気になりましたので、取り上げておきます。

 JRグループは、3月にダイヤ改正を行います。今年のダイヤ改正では、運行本数の削減と無人駅化の促進が目玉(?)となっていますが、それだけに大きな問題を投げかけています。

 2017年9月の段階では、大分市内にある駅のうち、日豊本線の牧、高城、鶴崎、大在、坂ノ市、豊肥本線の敷戸、大分大学前、中判田の各駅が無人化の対象とされていました。しかし、12月にJR九州が行った説明会で反対意見が相次いでいたところです。

 昨日(2月16日)、大分市内のコンパルホールで障害者団体の関係者などを対象とした説明会が行われました。そこでJR九州は、上記の8駅のうち、牧駅のみを3月17日のダイヤ改正に合わせて無人駅化し、他の7駅については無人駅化を先送りすると表明しました。しかし、本数の削減は予定通りの38本であることも表明されています。

 この説明会そのものも問題があります。案内が関係者の多くに届いたのは前日であったとのことです。これでは「そちらからの意見はご無用」と受け取られかねません。実際に、出席者は30人くらいしかいなかったそうです。せめて一週間くらいの間を置くのが筋でしょう。事情がよくわからないのですが、会社の体質によるのかもしれません。

 無人駅化から先に取り上げましょう。牧駅のみが予定通り無人駅化するのは、このブログでも何度か登場しているSSS(スマートサポートステーション)が先行導入されるためです。既に、滝尾駅や幸崎駅には導入されていますが、この二つの駅は無人駅です。

 また、敷戸駅と大分大学駅は、今年の秋に無人化されるようです。牧駅、敷戸駅および大分大学駅は1面1線の駅、つまり、単線に1本のホームがあるのみの駅です。列車交換はできません。敷戸駅と大分大学駅の場合、点状ブロックの整備が終わっていないために、無人駅化が3月から秋に延期される、ということです。ただ、点状ブロックの整備を済ませたとしても、両駅のホームはカーブの途中にあり、バリアフリーという点では疑問が残ります。もとより、ホームドアの設置予定もありません。これらの設備は、設置にも維持にもそれなりの費用が必要であるため(補助金が出される可能性もあるとはいえ)、現在のJR九州には荷が重いのかもしれません。

 日豊本線の高城、鶴崎、大在および坂ノ市の各駅、ならびに豊肥本線の中判田駅については、バリアフリー化の工事(エレベーターの設置など)の進捗状況などを見ながら、無人化の検討を続けるとのことです(これらの駅では列車交換ができます)。

 次に運行本数の削減です。38本の内訳は、日豊本線の普通列車が15本、久大本線の普通列車が15本、豊肥本線の九州横断特急2本と普通列車が6本です。また、単純に本数が減らされるだけでなく、運行区間の短縮も進められますので、区間によっては本数がさらに減るということにもなりえます。日豊本線の県南地域(大分県南部)、久大本線および豊肥本線のいずれも乗客が減少しているとのことで、既にワンマン化も進められていました。

 ただ、本数の削減についても、JR九州からは具体的な情報が示されてこなかったこともあり、大分市は独自に調査(?)を行い、結果を公開していたようです。また、上に内訳を記しましたが、記事に書かれていたことをここに写しただけであり、具体的にどの区間について削減されるのかはわかりません。大分市内ということなのでしょうが、話は大分市内に留まらないためです(日豊本線、久大本線および豊肥本線のいずれにも、大分市内のみ運行される便はあるのですが)。

 また、九州横断特急の運行本数が削減されるとのことですが、現在、大分駅の時刻表を見ると、九州横断特急は9時35分発の72号(阿蘇行き)と14時6分発の74号(阿蘇行き)しかありません。これは、本来であれば3往復であるところ、熊本地震による被害のために豊肥本線の肥後大津駅から阿蘇駅までが不通となっているために運行本数が削減されているのです。従って、上記記事は本来の運行本数を示しており、3月のダイヤ改正によって1往復になる訳です。もっとも、大分市から熊本市までは高速バスの利用者が多く、鉄道は苦戦を強いられてきていました(これは九州全体に言えることでもあります)。 

  今回は大分市内のみを取り上げました。同市内の駅で有人駅として残るのは、遅かれ早かれ、大分駅、西大分駅および南大分駅のみということになります。大分市内でこの状況ですから、大分県内全体でも運行本数の削減、無人駅化がさらに進められることでしょう。但し、無人駅化は既にかなりの程度で進められています。今後は簡易委託の廃止なども考えられます。

 ★★★★★★★★★★

 この記事を書き終えて最後にふと思ったのは、「大分大学は何をやってきたのだろう」ということでした。バリアフリー化をテーマとした卒業論文を作成した学生がおり、私が指導したことを思い出したのです。

 私が就職した1997年に教育学部に人間福祉科学課程を設置し、1999年には教育学部を教育福祉科学部に改組しました。私自身も学校教育課程の社会科と人間福祉科学課程の社会福祉コースの双方、さらには大学院教育学研究科と大学院福祉社会科学研究科(2002年設置)の双方を担当しました。学部は学校教育過程に、大学院は人間福祉科学課程に籍を置いていました。こんな状態であったのは私だけです。

 


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