ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

この閣議決定は生きているのか? (生きているはずであるが)

2015年10月16日 09時00分32秒 | 法律学

 私は、ここ何年間か、大東文化大学法学部で法学特殊講義2A(財政法A)・2B(財政法B)という講義を担当しています。2003年に熊本県立大学総合管理学部で、2007年、2009年および2011年に福岡大学法学部で行った集中講義と、基本的な構造は同じです(勿論、年度によって内容を変えています)。

 10月20日か27日の講義で、今も施行されていない財政法第10条を取り上げます。それに関連するものとして、「官公庁における寄附金等の抑制について(次官通達)」という文書があります。1948(昭和23)年1月30日の閣議決定で、国立国会図書館のサイトに掲載されています(https://rnavi.ndl.go.jp/politics/entry/bib00855.php)。今回は全文を紹介しておくこととしましょう。何か問題がありましたら、すぐに削除しますので、御連絡をいただければ幸いです。

 「財政の窮迫化に伴い、最近諸官庁(学校を含む。)においてその経費の一部を諸種の寄附に求める傾向が著しいが、寄附者の自由意志によると言われる揚合においても、その性質上半強制となる場合が多く、或いは国民に過重の負担を課することとなり、或いは行政措置の公正に疑惑を生ぜしめる恐れなしとしない。

 よつて、極力かかる傾向を是正するため、次の方針によるものとする。

 1 官庁の諸経費は、予算でもつて賄い、寄附金等の形によつて他に転嫁することは、極力これをつつしむこととし、これがため行政諸政策は、国家財政との関連において実行可能のものに限定するよう努めること。

 2 官庁自身による場合はもとより、後援団体を通じてなす場合においても寄附金の募集は厳にこれを禁止すること。

 3 自発的行為による寄附の場合においても、割当の方法によるものでなく、旦つ主務大臣が弊害を生ずる恐れがないと認めたものの外その受納はこれを禁止すること。

 4 前項によつて主務大臣が寄付の受納を認めた場合には、

 (イ)醵金にあつては、これを歳入に繰入、醵金の主旨を考慮の上予算的措置を講ずるものとすること。

 (ロ)公共施設の寄附(適正賃貸料を下廻る借入の場合を含む。)にあつては、所定の手続をなし、且つこれを公表するものとすること。

 5 主務大臣は前各項の趣旨を部内に徹底せしめる措置を講ずること。

 6 地方公共団体に対しても前各項に準ずるようその自粛を求めること。」


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