ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

日本最東端の鉄道駅が廃止される?

2024年08月24日 01時00分00秒 | 社会・経済

 時々、日本最▲端の駅は何処か、というようなクイズが出されたりすることがあります。▲には方角を示す漢字一文字が入ります。

 最南端:赤嶺駅(沖縄都市モノレール)

 最西端:那覇空港駅(沖縄都市モノレール)

 最北端:稚内駅(JR北海道の宗谷本線)

 最東端:東根室駅(JR北海道の根室本線)

 今回は東根室駅の話です。私も先程知ったばかりで驚いたのですが、Yahoo! Japan Newsに、2024年8月23日20時30分付で「<独自>日本最東端の北海道・東根室駅、来春の廃止検討 根室駅が新たな最東端に」という記事(https://news.yahoo.co.jp/articles/3926fe1b8ced24a1d3ac7754b87f45216b7f6044)が掲載されています。これは北海道新聞社のサイトに2024年8月23日20時00分付で掲載された「日本最東端の東根室駅、来春の廃止検討 根室駅が新たな最東端に」(https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1053915/)からの転載であるようです。また、Yahoo! Japan Newsには、やはり2024年8月23日の22時28分付で「日本最東端の駅、来春ダイヤ改正での廃止検討 根室本線 東根室駅(北海道根室市)」(https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/f8f7339e08ed30a9573c6b82e9de242105934cac)という、鉄道ライターの清水要さんによる記事が掲載されています。

 北海道新聞社の記事は有料記事であり、会員でないと全部を読めないようですが、Yahoo! Japan Newsに転載された記事を読む限りでは短いものであるようです。経費削減のためにJR北海道が「廃止する方向で検討していることが」判明したという趣旨でした。

 清水さんによる記事には、東根室駅について「ホームだけの無人駅で、駅舎や待合室はない」が「駅周辺には住宅街が広がっており、決して『秘境』などではない」と書かれています。たしかに、地図で見る限りは市の中心街とまでは言えないものの市街地にあるようです(私は根室市を訪れたことがありませんので、詳しいことは知りません)。清水さんは「令和4(2022)年度の一日平均乗車人員は10.8人と、JRが廃止の目安としている3人を大きく上回っている」と書かれていますが、これはJR北海道が2018年から2022年までの5か年平均による平均乗車人員の数字です(残念ながら、現在ではWayback Machineでしか読めません)。ちなみに、JR北海道のサイトにある「駅別乗車人員」には、2019年から2023年までの5か年平均による各駅の乗車人員が示されており、それによれば東根室駅の一日平均乗車人員は3人超10人以下とされています。また、根室市が公表している「根室市地域公共交通計画現状整理編」18頁に「根室駅の1日当たり乗降客数の推移」という図が掲載されていますが、そこには「根室駅以外は無人駅のため、数値公表なし」と書かれています。

 一日平均乗車人員が10人以下であるというのは、鉄道駅としての存在意義が十分に問われるべき数字であるとも言えます。ただ、北海道の場合は、地理的条件などを念頭に置けば10人超であっても存続の必要性があるとも考えられますから、結局は駅周辺の住民の意向にも留意しなければならないということなのでしょう。2025年3月に廃止される見通しであると報じられた抜海駅(宗谷本線にある、日本最北の無人駅)にしても、存廃についてかなりの議論がなされていたのですから。

 これまで、JR北海道は毎年のようにいくつかの駅を廃止しています。一概には言えないものの、これまで廃止されてきた駅の多くは、一日平均乗車人員が3人未満であるようで、所在地の地方公共団体が管理することによって維持されてきたような駅も存在します。根室本線の末端区間というべき釧路駅から根室駅までの区間には花咲線という通称が用いられていますが、その花咲線にあった駅のうち、糸魚沢駅が2022年3月に、初田牛駅が2019年3月に、そして花咲駅が2016年3月に廃止されています。今後も増える見込みはないでしょうし、除雪、野生動物などのことを考えると、経費削減のために廃止される駅は今後も出てくることでしょう。宗谷本線がその状態であり、近いうちに特急停車駅以外の駅がなくなるのではないかとも言われています(とくに名寄駅から稚内駅までの区間がそうで、既に挙げた抜海駅の他に雄信内駅と南幌延駅が2025年3月のダイヤ改正時に廃止されると報じられていますし、今年の3月には初野駅と恩根内駅が廃止されています)。

 人口が減少することによって地域公共交通の役割が問われています。維持する必要があるという声が時に持続可能性と言い換えられたりして高く叫ばれていますが、むしろ、地域公共交通の存在意義を低めているというのが現実的な見方なのでしょう。少なくとも、これまでの鉄道、バスなどという形態での維持は難しくなる一方ですし、こだわりを捨てる必要があるのかもしれません。

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