画像は20日、谷山中央で写す。
ふくよかに枯れゆく尾花樹木希林
枯尾花は大女優のイメージ。先日テレビで「万引き家族」を観たばかりだったので、下五は迷わずにできた。
画像は18日、谷山中央で写す。
日の丸や白壁を背に木守柿
最近は引きこもりがちなのに、木守柿に三度も接した。鳥に喰われてしまうので、めったにお目にかかれないのだが、鳥が姿をみせなくなった。かつては鶯までやってきたが。下の画像は数年前、谷山中央で写した。
画像は18日、谷山中央で写す。
枯草や焚火もままにならぬ代に
枯草と焚火が季重なり。「ごみ処理や」と上五をすげ替えても、日本の原風景、冬の風物詩をすこしでも汲みとれるだろうか。季重なりの例外を認めるべきだとする説はむかしからあり、賛成だ。
画像は16日、谷山中央で写す。
密避けて餌をさがす烏鷺(うろ)冬の川
「烏鷺の戦い」の熟語を意識してカメラを構えていたが、期待通りにならなかった。やむを得ず途中から、清水寺による一年の世相を表す今年の漢字「密」にテーマを変えた。
画像は15日、谷山中央で写す。
実万両むかしボーナス得しことも
万両と千両の実の違いを覚えるのは簡単だが、毎年、覚えては簡単に忘れしまう。かつて前年にもらったボーナスを何に使ったのか、簡単に忘れてしまったように。
画像は12日、谷山中央で写す。
歳時記の扱ひまちまち佛の座
手許の歳時記では佛の座は「角川大歳時記 全5巻」には新年、「朝日新聞社刊季寄せー草木花 全7巻」では冬季の季語に組み入れられているが、「ホトトギス俳句便覧」と「成美堂出版 俳句の花図鑑」には載っていない。
雑草と言ふ草あらず仏の座 冬男
仏の座を雑草扱いして無視する歳時記への抗議だろうか。
画像は12日、谷山中央で写す。
いつぽんの丸太のベンチ園小春
よく行く小さな公園であるが、隅に転がっている丸太はベンチではないか、と初めて思った。
最近、出かけて座れるような場があると、周囲の眼を気にしないで座ることにしている。
画像は10日、谷山中央で写す。
水仙花哀しいときはモツアルト
入院中の終わりごろはモーツアルトの弦楽五重奏曲(K617)、ピアノ三奏曲(K564)といった晩年の室内楽ばかり聴いていた。
ものの哀れをふかく理解していた山本健吉は「モーツアルトを聴くと悲しくなる」と書き残している。たしか吉田秀和も同様のことをどこかで述べている。
その心境は芭蕉の次の句、
おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな
と通じ合っていると思った。