トンチキなクーデターをかましているアメリカですが、昨日も書いた通り軍は普通にマドゥロを支持。
マドゥロ政権はアメリカという外国がベネズエラという主権国家内でクーデターを教唆し、自分の支持する男を大統領として承認するという暴挙に出たため、アメリカとの外交関係を停止し、大使館、領事館等の閉鎖を命じた。
しかし、アメリカは自分の承認した男こそ大統領だからマドゥロにはなんの権限もな~いとか言っちゃってそれを拒否。
が、半日たって、一部外交官を退避させる模様。
米国務省、駐ベネズエラ政府職員に退去命令 外交危機受け
https://www.cnn.co.jp/world/35131795.html
これはつまり、先年トルコで起きたクーデター失敗事件を思い出せばいいのではなかろうか。
あの時、エルドアンには支持者が大勢いた。エルドアンはクーデターに気づいた時直ちに、市民に外に出るよう呼びかけ、市民は実際出てクーデター側と戦った。そこでエルドアンの支持者勢力が何百人か死んでる。結果は、エルドアン側が勝った。
ポイントは、エルドアンの体制は実は強かったし、外国人による教唆のクーデターよりもエルドアンについた市民の方が多く、かつ強力だったというところ。
エルドアンを褒めたくはないわけだが、しかし、このクーデター事件のエルドアンはいやいや実に大したものだったというしかない。そして、外に出て戦った市民がすごい。一部は米軍基地に向かってたことが知られているが、その発想が素晴らしい。だってそここそ「基地」だと非常に多くの人が知ってたわけだすよ。だから、ずっとさりげなく見張ってるような恰好。
基地はアメリカの治外法権下にあるとはいえ、水や電気はトルコという国から供給される。そこでトルコは米軍の基地の電気を止めたりしてた。
と、ベネズエラの成り行きもこれが予想されているのではなかろうか。米国大使館等の施設に対する水、電気等の供給を止める、妨害するといったことが起こる可能性は大でしょう。
出て行けといっているのに出て行かないんだから。
ということで、米側も負担を減らすために不要不急の外交官、市民を退去させているのではなかろうか。
ベネズエラ軍、治安機関は、21日だったかに27人の反乱者が出た後は、むしろ膿を出した格好になってるのではあるまいか。
■ マドゥロ支持
アメリカの主流メディアは、アメリカ大統領が指名したらそいつが大統領になるに決まってるみたいな書き方をしている感じがあるが、現状はそうはなかってない。
昨日も書いた通り、支持は限定的。しかし、いつものように、イギリス、フランス、EUが、アメリカ様がおっしゃる通りなのよ!とばかりに、グアイドという議会のリーダーを正統なものとして、選挙で選ばれたマドゥロには正統性はない、などと言っている。
お前らに言われる筋合いはないと多くの欧州人も思っているだろうことは想像にかたくない。
選ばれたこともないEU公人ベネズエラの民主主義を語る
それに対して、マドゥロ支持を表明しているのは、ロシア、イラン、トルコ、そして中国。
プーチンは、今回の一件は、ベネズエラの内政に対する外国の干渉で、それは国際法を大きく侵害している、という立場で、マドゥロとは電話で話してる模様。
Putin: Foreign interference in Venezuela’s internal affairs grossly violates international law
https://www.rt.com/news/449630-putin-foreign-interference-in-venezuela/
エルドアンも電話して、トルコはあなたたちと共にある、と言ってるそうだ。
Erdogan voices support for Venezuelan President Maduro
Maduro brother, stand tall, Turkey stands with you, Erdogan tells Maduro by telephone
https://www.aa.com.tr/en/americas/erdogan-voices-support-for-venezuelan-president-maduro/1373130
外交関係を崩さない国の方が多いわけで、この最中に、米+EUがまたまたどんなヤンチャをしてくるんだろうかというのが今後の焦点。
■ リビアに似てるかも
で、ボトムにあるのは、なんとなくリビアくさいものではなかろうか。
つまり、ベネズエラに中国は既にかなりの投資をしているわけで、もしこうやってクーデターで政権が傀儡になるとしたら、かなりの投資がパーになる。
さらに、ベネズエラは資産凍結をされてるところが痛いわけだよね。そして銀行決済ができないってのもいつものやり口。そして、噂ではロンドンに預けていたゴールドを返してもらえてないという話もある。
ということで、またクリントン的な襲撃がアメリカまたはNATOの肩にかかってくる可能性もある。
国連でのバトルが一つだが、中露が反対するからリビアのようにはいかない。
軍事は、コロンビア側のコントロールを強化して、あとは空域支配を確立しておかないとですね。というところで、去年ロシア軍が行ったことの意味が再び思い起こされる。
アメリカのオプションはイラク型の侵略作戦行動か、ベネズエラ内とあとは中南米に多数いるヤクザっつかマフィアを総動員してベネズエラをかき混ぜて、そのカバーに一般ベネズエラ人を多数動員して、「助けて、マドゥロが酷いの」と言わせてマドゥロを追い出すというカラー革命型かの2つか。
どっちも大変よ。
後者の変形として、マドゥロが悪いの、マドゥロが悪いの、を連発して大統領選挙をやり直しさせ確約を取るという、ウクライナのマイダン広場の騒ぎの時に一瞬あった手法もあり得るだろうが、軍も情報機関もマドゥロについている中でマイダンを再現させるのは難しそう。そこでコロンビア側からの侵入が問題になるんじゃなかろうか。
最終的に、外交的にマドゥロ政権支持が壊れない場合、グアイドは外国勢を頼みにクーデターを仕掛けた国家反逆者となって、マドゥロが勝つというシナリオの方が現時点では強い感じがする。
そうなった場合は、クーデターが失敗したトルコと同じ軌道になるわけだから、エルドアンがやったように、西側に通じていた外交官などの公務員の大量粛清というパターンとなる。いやぁ、南米でそれやるのかぁとか思うと楽しみな気もする。あはは。
このへんは右派というより、左派のみなさん、長いこと待ったかいありましたねというお話になる(笑)。
ボトムラインの問題は、ベネズエラの経済をどうやって作っていくかで、これは実はイランとも重なる。どっちも銀行屋っつか金融屋を使って他国経済を破壊していく手法の話だから。
だから、この悪のネットワークを通さないでベネズエラ、イランという資源大国が商売をできるようにするにはどうしたらいいのだろう、って話。結構楽しみになってきた。
■ オマケ
RTアメリカの報道が冷静でいい。「RTはニュースをやってる数少ない媒体」by ラリー・キング というのを思い出す(CNNはもうずっとニュースをやってない by ラリー・キング)
Putin Warns US: Hands Off Venezuela
チャベスはほんとに楽しませてくれました。病死説はまぁ違うんでしょうね、といつまでもみんな思いますよね。どうしたって。
よくよく考えるとアメリカって「帝国」になれるほどのスキルも経験もない国なんだわなとただそういう感じ。
メキシコ、ベネズエラをどうしてもっと共存できる国にしなかったんだろうかと不思議な感じがするほど。
大枠はイランですし、ロシアでもありますね。資源大国を絶対に自立的に存在させたくない。
だから湾岸諸国があんなへんな王族だけになってるわけですからね。彼らの敵は有意の一般人国家。