ウクライナは、ロシアによる脱軍事化、脱ナチ化作戦の1幕は終わっている、みたいな感じと言っていいと思う。脱軍事化の方は施設類、空港、港湾類は使い物にならないようになっているのでほぼ達成。現在のフェーズは、ナチ組を街から追い出す作戦なので、こっちは安全策を取りながら時間をかけて行われているといった感じか。
昨日、突然西部のルーツィクの飛行場が爆破されていたけど、あれはポーランドあたりからモノを運ぶの人を運ぶのと騒いでいることへの警告ではなかろうか。来たらホントに撃つといっている中で来るなら本当に撃たれると思うべき。基本的に、ロシア軍は東ウクライナでの活動が専ら。
マリウポリは周辺から解放された地域が増えていっている感じなので、中のおにーちゃんたちがどう降参するんだろう、という恰好が切羽詰まってきた。とはいえ、みんなそう思ってるがなかなかそうはならない。でも、いずれにしてもアゾフのにいさんたちが長期戦を戦えるような話でもない。
しかし、マリウポリはウクライナの巨大なオリガルヒ、アフメトフの私領みたいになっているところなので、そことの「調整」みたいなのはどうなるんだろうか。そして、その成り行きによっては、世界の半導体業界はどうなるのだ????という問題が付随する。結構、たいへんな状況なのでは? 折衷案として(私が考えてどうする ^^;)、住民を解放して私領は廃止されるが、それを認める代わりに特別に関係者A、Bには出荷できるようにする、みたいな話はどうだろう。
さらに、ニコライエフ、オデッサが焦点になっていくでしょう。ここは基本的にNATO諸国が作った施設などは爆破されているのでロシア優位の世界になっているけど、ここもまたオリガルヒ問題があると思う。長期化するかも。
だいたい、ウクライナのオリガルヒって要するに西側のビジネスにとって都合のいいところを地元民から独立して抑えちゃってるところが多い感じ。
で、この私領化をウクライナ南東部のそもそもソ連時代先進工業地帯だった、技術もあり誇りもあったところの人たちが面白く思っているわけもない、ってところも今回の隠れた見どころかしら、と思ったりもする。
いろいろ考えるに、要するに西側の過去30年というのはソ連の技術資産、天然資源資産を食い物にして、安価な供給先にすることで肥えてきた部分が多分にあるわけで、それがチャラになりつつあるのが現在のフェーズ、とも言えますね。
自分で撤退するっていうんだから、いいんじゃないの?
■ 長くくすぶってきたバイオラボ問題
で、このある種の解放作戦の中で、大きな問題として登場している、バイオラボ問題。
中国によれば、アメリカは世界30か国で300?ぐらいのラボに金を出しており、そのうち26がウクライナにある、という。この数字自体はよくわからないんだけど、なにしろ控えめにいっても10カ所以上あることは間違いない。
米国防省のThreat Reduction Agency (DTRA)とかいう部門が資金を出しているのが11カ所あるらしい。
で、ウクライナなどで米/NATOがバイオラボに資金を提供し、その中身を公開してくれない、という話については、ブルガリア人のDilyana Gaytandzhievaさんが最も熱心に長く追いかけている、といっていい模様。前から何度か見たことがあったけど、今回、こんなに長く追いかけていたのかと改めて知りました。
そのディリアナさんが、2018年に欧州議会で質問をして、アメリカ保健相のおっさんが答えている動画がtwitterにあった。
ディリアナさんの疑問など全然聞く気がない。笑ってる。
ウクライナのバイオラボ問題はもうずっと問題になってきたもの。EU/USAが疑いを退けてきたもの。この傲慢な態度が象徴的。 https://t.co/gzzE2Ige4k
— DEEPLY JAPAN (@DTJTakumi) March 12, 2022
ローカルなジャーナリストの発言など気にすることはないよ、みたいな感じだったんだろうなぁ。この態度に、さらに腹が立つ。
■ 国連
で、昨日はロシアの要請っで国連安保理でこの話題が取り上げられた。
Network of biolabs in Ukraine dealt with amplification of pathogens — envoy to UN
ロシアの国連大使ネベンジアさんの言によれば、
ロシア国防省はいくつかの文書を入手、それによれば
- 少なくとも30の生物学研究所のネットワークがウクライナに設立された
- 疫病、炭疽菌、野兎病、コレラ、その他の致死性の高い疾病の病原性の特徴の増幅するを目的とした非常に危険な生物学的実験が合成生物学の助けを借りて行われていた
- こうした作業は、米国国防総省の国防総省の国防脅威削減局(DTRA)によって資金提供され、直接監督されている
で、こういうことを国連で話したわけですが、その様子を見た人のレポートによれば、アメリカは何も隠してないと主張し、イギリス、ノルウェーなどがロシアへのヘイトをまき散らしていたらしい。
動画はここ。私はヘイトの泉などのぞき込みたくないので見ない(笑)。
結果的に、ロシア、中国、インド、ブラジル、ケニアが調査が必要だと主張してお終い。
拒否権ありの人たちの話なのでこれは最初から想定通りでしょう。しかし、このメンツは無視できないほどパワフル。
■ ハバロフスク再びか
で、今後どうなるのか。
多分、ロシアはウクライナのどこかで、これ関連のフォーラムみたいなものを作るのではなかろうか。そして、中国、インド、ブラジルなど各国の代表者、研究者も含めて、資料を集めて公開できるものを公開して、米国資金によるラボを持つ国にも注意を呼び掛ける、提言を行う、みたいなことをするのではなかろうか。
私の勝手な想像ですが、これはつまり、ハバロフスク裁判のようなものになるのではないか。
つまりつまり、西側諸国はすっとっぼける。大日本帝国のように(笑)。
実効値として、NATO/USA/EUの実験材料にされている人の解放が目標なら、アメリカ人が善人になるまで待ってる必要はない。だったら、解放できるところを解放する方にエネルギーを注いだ方が良い。
こういう別れ方をした世界にあっては、まぁそういう経緯も頭に入れておく必要は大有りだと思うわけです。
西側の人間にとっての問題は、西側には1945年ほどの圧倒的なパワーはなく、言論・メディア支配も青いところ以外は完璧とは言えないところ。