DayDreamNote by星玉

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#62.毒

2018年04月18日 | 星玉帳-Blue Letters-
【毒】


蠍の星人から絡まった糸と熟した酒をもらった。



ほぐしながら飲んでください、と。



糸も酒も艶やかでとても美しかった。



持ち帰り糸をほぐしたが簡単ではない。



幾晩かけてもほどけそうになく



ほどけないことが分かっていても



毎夜、糸をほぐして熟した艶を味わう。



「それらは毒のせいですよ」



星人の言葉をなぞりながら。







#61.蠍

2018年04月18日 | 星玉帳-Blue Letters-
【蠍】


この時期、蠍の星の港には赤い雨が降る。



知り合いになった星の人はわたしの言葉を好んでくれた。



が、どんなに好んだものでもすぐに忘れてしまうのだと言う。



明日には忘れる話でも、と蠍は物語を抱きしめ泣く。



その赤い涙はひとすじ光り海に漂い



わたしたちを打ち濡らす雨になる。