DayDreamNote by星玉

創作ノート ショートストーリー 詩 幻想話 短歌 創作文など    

flake36.鈴

2019年02月23日 | 星玉帳-Star Flakes-
【鈴】


いつからだろう。


鈴の音が聞こえるようになったのは。


昨夜からなのかもうずっと長いことどこかで鳴り続けていたのか。


気がつくと音は部屋に入っていた。


誰の鈴なのか誰の鈴でもないのか何のためになぜ。


大方の知らなくてよいことは鈴の音に化けるのですよと


昨夜すれ違った猫の囁きを思い出した。




flake36『鈴』



flake35.砂浜

2019年02月18日 | 星玉帳-Star Flakes-
【砂浜】


砂浜を歩いていると


何時現れたのか足元に砂と同じ色の猫が一匹、


こちらを見上げていた。



やわらかいふわふわの毛に包まれた体。


抱いたと思ったのは一瞬だった。


猫はするりと身をかわし膨大な砂に紛れて見えなくなった。


抱いた猫のやわらかさを夢幻とするならば


それを願うならば


きっとそれはまた




flake35『砂浜』


flake34.魔術

2019年02月08日 | 星玉帳-Star Flakes-
【魔術】


魔術にかかっていると思い当たったのは


21番目の星へ往く船の中だ。


船底から音が聞こえた。


あの音はこの星に来てたびたび耳にしていた。


繰り返す波のような懐かしい子守唄のような。


海の魔術に使う道具を作る音だと


船乗りが教えてくれた。


海が見せるまどろみの中、醒めないままいられるようにと





flake34『魔術』