DayDreamNote by星玉

創作ノート ショートストーリー 詩 幻想話 短歌 創作文など    

drop98.幸歌

2023年11月23日 | 星玉帳-Deep Drops
【幸歌】


野花を見て


海を見て


夕暮れを見て


銀河を見て


何かがどこかにあると


思うようになったのはなぜ


追いかけても追いかけても


それは夢幻を追うような


彼方に向かう旅のような


ペンを下ろした紙の上


かけらを散りばめて


銀色に塗ることが


ただ一つ出来ることだった


(銀のかけらを歌う最終章に)



drop98『幸歌』



drop97.星物語

2023年11月18日 | 星玉帳-Deep Drops
【星物語】


海鳥の鳴き声を頼りに海へ向かう


あれは星の港を往き来する鳥


港で出会い別れる誰かの痛みを


嘆き


時に喜び


朝な夕な絶えることなく鳴いているのだ


その物語は星の物語を綴った本に語られている


ただ一つの物語を残し


作者は遠い航路に


旅立ってしまったという




drop97『星物語』



drop96.星音

2023年11月14日 | 星玉帳-Deep Drops
【星音】


星がひとつ流れた時


音が聞こえた


「あれは星の流れる音でしょうか


それともどこかで誰かが歌い奏でているのでしょうか」


あなたの問いかけにずっと答えられず


流星に音があるのなら


過ごした季節に流れた音であってほしいと


ただそれだけを願い


深い夜に耳を澄ます




drop96『星音』



drop94.銀色の彼方

2023年11月03日 | 星玉帳-Deep Drops
【銀色の彼方】


雨に星の欠片が混じっているのだろうか


旅の途中


銀色の欠片が幾つも刺さった


忘れたことは忘れていなかったのだと


欠片が降る度に気づく


すべてが美しい水の上に浮かぶように


世界が浮かべばいいのに


濁ってしまった雨の先さえ


銀の灯りで照らし出される世界が


浮かべばいいのに



drop94『銀色の彼方』