DayDreamNote by星玉

創作ノート。ショートストーリー、詩、幻想話、創作文など。

drop5.無数

2020年08月04日 | 星玉帳-Dream Drops
【無数】


池のほとりで大きな籠を背負ったキツネに出会った


籠の中には細かく千切られた紙切れが入っている


重そうですねと声をかけると


これらはすべてさよならを書いた手紙ですよ


と言いながら


キツネは籠の中身を池に撒いた


紙吹雪は束の間宙を舞い水に沈んだ


底は深く濃く


別れの無数が眠る




drop5.『無数』

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drop4.青兎

2020年07月27日 | 星玉帳-Dream Drops
【青兎】


ぬかるみで跳ねる兎に尋ねられた


見かけませんでしたか青兎を


星を何周も回り


捜し続けて


随分時が経ってしまったので


もしかしてもう青くはなく


この星にも居ないかもしれませんが


もし見かけたら


あの兎穴に手紙を


と兎は雲の先を指さす


ええと頷くと


兎は青く青くと鳴いて跳ね


穴に消えたのだった





drop4.『青兎』



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drop3.無色

2020年07月22日 | 星玉帳-Dream Drops
【無色】


雨降る草原はまるで無色の沼のようだ


朽ちた扉の小屋を見つけ


雨よけにと中に入った


奥に濡れた子ヤギがうずくまっていた


体を拭いてやるとヤギは目を閉じ


震え鳴いた


身を寄せ


私も目を閉じる


私たちは


夜が来ることを知っている


けれど


雨が止む時を知らない


朝が何時来るのかも知らない




drop3.『無色』




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drop2.甘雨

2020年07月18日 | 星玉帳-Dream Drops
【甘雨】


遙かな星の離島


港には激しい雨が降っていた


どうぞこれをと港の管理人が傘を手渡してくれた


が、かつての傷が疼き


それを広げ持つことができない


程なく甘雨に


と背中に聞こえた声は誰


振り返っても煙る雨しかなく


慈雨よりも優しく記憶の雨に打たれるなら


このままで


濡れたままで





drop2.『甘雨』


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伝言~樹木たちの声~

2020年07月16日 | 自由帳
歌詞を書きました。

『伝言~樹木たちの声~』

YouTubeで公開しました。

https://www.youtube.com/watch?v=XFvWkXJkSY8
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想送夏

2020年07月14日 | 自由帳
作詞をしました。

『想送夏』

https://www.youtube.com/watch?v=cj3JFSDxDIo
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drop1.星灯

2020年07月13日 | 星玉帳-Dream Drops
【星灯】


星灯を頼りに港へ急ぐ。


深夜発つ船は季節の最終便だ。


出航間際


船に乗り込む頃


霧が海を覆い始めた。


汽笛が何度も鳴る。


別れの笛と旅立ちの笛は同じ音色なのですね


と乗り合わせた楽師がぽつりと呟く。


港へ導く淡い星はとうに消えた。


船も私たちも深夜の霧に包まれる。


星灯を思う毎に深く。



drop1.『星灯』



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星は巡り君と

2020年07月13日 | 自由帳
歌詞を書きました。

https://www.youtube.com/watch?v=jRIetmyAzAk

YouTubeで公開しました。

「星は巡り君と」


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梅雨の晴れ間に夢を見た

2020年06月22日 | ソネット帳
梅雨の午後 僅かな晴れ間の
そのすきに 
夢だとわからず
そこに在るものたちに 手を伸ばし 身体を預けた


けれど どうしても
触れることができず 手は折れ 身体は傾き
心はしくしくとしたのだけれど
他に場所はなく わたしはそこに居続けた


居たのはどれくらいなのか 
永くなのか 一瞬なのか 
時は計れない 夢なので


それが夢だと
知ったのは
随分あとになってからだった






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道の先に

2020年06月14日 | ソネット帳
花占いをしながら
道を選んできたのだと
花のない枝を
あの人は握り 道を標した


そうすると
花が舞うのだと
咲いて散り
咲かず散り


行くも行かぬも
進むも引くも
守るも背くも


道の先に
花が
舞うのだと




#深夜の二時間作詩




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ハザマ

2020年06月13日 | ソネット帳
詩を口ずさみ続け

眼を凝らし耳を澄ませていると

辿り着くのは

小さな小さなハザマなのだった



詩と死の間に横たわる

ハザマなのだった

ひとひとりがやっと立っていられる

ハザマなのだった



つめこまれたあなたとわたしは誰かとわたしは

向き合うことはせず 尋ね合うこともせず

透明な影のように ただそこに立つことを選び


吐息は聞こえるというのに

鼓動は速くなっているというのに

紡ぐ祈りの意味さえ知らず 薄く平らに 透過させていくのだった










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【星夜航】/100

2020年02月05日 | 星玉帳-Star Flakes-
【星夜航】


旅人を乗せた船は星の水平線へ向かう。


星を旅する間ずっとペンを握っていた。


物語りを閉じる言葉をさがしあぐねて。


目を上げると星が流れた。


いつかの明け方に見た夢に降る雨のように。


ペンを置く。


ノートを閉じる。


星を数えよう。


流れる星夜は美しいままに。


さまざまの夢になるよう。



#100『星夜航』


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【霧中】/99

2020年02月02日 | 星玉帳-Star Flakes-
【霧中】


すれ違ったのは小さな兎だった。


星船に乗り青の星から来たという。


この星は霧ばかりではぐれてしまいましたあなたはどうですかと尋ねられたが


答えは出ず青の星に青はまだありますかなどと訊いてみる。


兎は答えず北の方角で霧笛が、


と言い鳴き鳴き跳ねて霧の森に消えた。


ああもう海が近いのだ。



#99『霧中』

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【星樹】/98

2020年02月01日 | 星玉帳-Star Flakes-
【星樹】


土星の旅人と道を分かち宿を出た。


迷いながら歩き星樹の森に辿り着いた。


樹に小さな光る実がなっている。


月の光を反射して光っているのだ。


実は固くてとてつもなく苦い。


かつて噛んだことがある。


霧が出てきた。


月も隠れた。


霧の向こう。


何処へ。


虚と情を歌う詩を携えていたはずなのだ。


何処へ。




#98『星樹』

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【夜曲】/97

2020年01月25日 | 星玉帳-Star Flakes-
【夜曲】


一夜。


星の宿で土星の旅人と過ごした。


惑星の森へ帰る鳥の鳴き声を聞き


静寂の底に墜ちた。


どこからなのか森の奥か宙の彼方か。


淡い旋律が聞こえた。


あれは夜曲と土星の人は呟いた。


一度だけの曲になった。


旅の途中繰り返し記憶の曲は奏でられる。


あの夜の深さに墜ちる時。


遙かなセレナーデは。



#97『夜曲』
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