DayDreamNote by星玉

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#60.星粒

2018年04月17日 | 星玉帳-Blue Letters-
【星粒】



水の色が濃くなったのは



夕刻が深くなったからだ。




海底の星粒はひとりで数えるのがよいと分かったのは



金星号に乗った人を見送ってから。




海に潜り声を殺して数え続けた。


金星号はとうに通り過ぎたので



もはや二度と会えぬ人なのか、




海の底から夜を見上げ、



数えた粒を撒く。








#59.氷

2018年04月17日 | 星玉帳-Blue Letters-
【氷】


方位の見えない地を往く。




なにものかを



さがしているのかいないのか



わからなくなり



夜の深い氷河にもたれ



氷片を握りしめる。




鋭さに幾度も自分は自分でなくなった。




手に余る心と痛みは



凍りつく宇宙の氷山に置くがいい。




心と名のつくものが



その暗がりの森に溶けてしまわぬよう。



深く深く。