DayDreamNote by星玉

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drop53.海馬

2022年09月26日 | 星玉帳-Deep Drops
【海馬】


海の見える丘で知り合った海馬


体を傷めて海で暮らせなくなったのだと


ここで幾日も海を眺めていた


ある日丘に登ると


彼はいなかった


船に乗ったのだろう


遠い星へ往く船に乗るのだと会うたび言っていた


遙か沖に船が往くのが見える


さよならは言わず言えず、


遠い汽笛は消えてゆく



drop53『海馬』



星玉のお話について少し

2022年09月24日 | 自由帳
星玉のお話(星玉幻灯話)

古いepisode順に
(現時点で)

〇BlueLetters編 100話【既刊「星玉幻灯話」(しおまち書房刊)に収録】
〇StarFlakes編 100話(ツイッターとこのブログで読めます)@hoshidamastory
〇DeepDrops編 (現在)50話超え(こちらもツイッターとブログで)

現在進めているのがDeepDrops編です。
50話め(やっと)超えました。
図らずも長い道のりになってしまいました。

書くことは何かしらどこかしらすり減ることなのだと
しみじみと実感。もう何年も実感。


続けられるでしょうか。
いや、続けたいのかさえわからくなってきました。


生き続けていると、不確実なことばかりです。
不確実に浮遊するばかりです。

書くことも生きることも
困難な旅
行き先のない行程は独りひとり コドク




drop52.夢間

2022年09月16日 | 星玉帳-Deep Drops
【夢間】


目の前の霧は瞬く間に広がり白い闇に変わる


方向を失ったまま彷徨うことは幾度もあった


それは大概、夜毎の夢に向かう


この夢があの夜から続く夢であればよいのに


あの人がとうにこの星から旅立ってしまったことを除けば


別れの霧景色はいつも闇の夢間に浮かぶ



drop52『夢間』


drop51.自鳴琴

2022年09月06日 | 星玉帳-Deep Drops
【自鳴琴】


川辺を離れ行き先を決めぬまま歩いていると


どこからかオルゴールの音色が聞こえてきた


そこは乗り物の停留所なのか


ベンチに人が座り小さな木箱を開いていた


声をかけ道を尋ね


音色を聴き


とりとめのない言葉を交わした


時が経ち彼の顔も思い出せないというのに


あの音色だけは今も



drop51『自鳴琴』