黒い瞳のジプシー生活

生来のさすらい者と思われた私もまさかの定住。。。

「勝つ」のではなく「負けない」

2017-04-30 23:13:21 | 思索系
大河ドラマ「おんな城主 直虎」。このたびの内容は、
綿花の栽培は順調に進んでいるものの、種子島の開発は
なかなか難しく、虎松の教育に心を砕いているうちに
種子島の存在が小野但馬守にバレる――といった内容。
次回の予告を見てみると、寿桂尼はまだ生きているよう
なので今の時点ではまだ1567年頃と考えるべきだろう。
通説として、種子島が種子島に伝来したのが1543年。
そういう、当時としては最新鋭の武器が高級品であった
のは想像に難くないことであるが、前回から栽培が
始まっている綿花から作られる木綿も実は当時、高級
品であった。ウィキペディアの木綿の項によると、
綿花は8世紀末に単発的に栽培され、それから16世紀
以降になってようやく連続して栽培されるのだが、
それまでの長い間は明や朝鮮からの輸入に頼っていた
ので、高級品であったという。ある程度暖かい気候で
ないと、綿花は栽培には適さなかったのであろう。
ちなみに、同時代の越後の大名・上杉謙信は自国でも
育つような繊維素材「青苧」を都に売り出して莫大な
利益を上げていた。

余談が続くが、今年、日曜正午に再放送されるように
なった「風林火山」では、1546年の川越夜戦の際に
「何かの合図」として一発の鉄砲が放たれるシーンが
あるのだが、1543年に種子島に伝来したものがそんなに
早い段階で関東にまで伝えられるものであろうか。
種子島が種子島に伝来する以前からも倭寇の私貿易、
密貿易によって持ち込まれた説が存在するので一概には
言えないが、こうして時系列を追っていくと奇妙な点
ではあると思う。

ところで、柳楽優弥さんが演じている「旅の男」とは
いったい何者だろうか。服装を見るところ、どうやら
堅気のものではないらしい。『歴史REAL おんな城主
井伊直虎の生涯』では彼のことを「孤児を束ねて活動
する盗賊団のかしら」としているが、今のところ彼は
必ず水のあるところに出没し、主人公に知恵を授ける
ところから「竜宮小僧」チックでもあるように思う。


私にはなぜかしら、五目並べを特訓させる主人公が
スフィンクス(ギリシャ神話に登場する半人半獣で、
謎々を人間にふっかけ、間違った者を食った)に
見えた。虎松が五目並べで勝つことは難しくても、
「もう一度!」と言って諦めなければ負けたこと
にはならない。幼少の時分、蹴鞠で何度失敗しても
絶対に引き下がらなかった直虎のことである。
虎松に何度も五目並べをやらせるという特訓も、
結局は勝たせるための特訓ではなく、「諦めなければ
負けではない」ということを理解させるための特訓
だったのだろう。――ただ思うに、種子島の開発に
消極的だった瀬戸方久ではないが、諦めない心には、
成功をたぐりよせるための目算、そして「やるしかない」
という気持ちがある程度必要であるように思う。
ただ体当たりでぶつかり続けるというより、どうすれば
うまくいくのかを考え続け、試行錯誤するのである。
そして、そこでどう考えても必要だと思うことがあれば
助けを求めてみる。しかし、そのうえに「やるしかない」
という何らかの動機づけがなければ、始まらないように
思われる。主人公たちよりも広い世界を知り、しかも
武士でない瀬戸方久の場合、どうしても特産品が種子島で
なければならないという動機づけが、少々薄いのでは
ないだろうか。


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